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黄金の日日
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鈍化する米住宅市場
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今年に入って住宅価格の上昇は鈍っています。
住宅価格が上昇する中で所得の伸びが低迷しているため、新築住宅に対する需要が頭打ちになっているためです。
6月までの12カ月間、新築住宅価格の平均上昇率は8.3%で、前年同期の12.6%を下回っています。また、先ほど発表された6月のケース・シラー住宅価格指数の米20都市圏の住宅価格指数は、季節調整済みで前月比変わらずと見込んだ予想に反し、0.2%低下しています。
新築住宅は売れずに在庫が増加しています。
住宅在庫は4.1%増の20万5000件で、2010年8月以来約4年ぶりの高水準。販売ペースに基づく在庫期間は6.0カ月で、前月の5.6カ月から拡大、2011年10月以降で最大となりました。6カ月の期間を超えると需給がゆるみます。
もっとも、住宅価格は前年比でみればまだ8%上昇しています。これに対して、平均時給の伸びや米雇用コスト指数は、前年比2%上昇しているのにすぎません。6%ものギャップがあります。
賃金は、金融危機後の短期の景気循環で景気が上向きになった期間でもほとんど上昇せずに、横ばい状態が続いています。これから目先の景気回復があったとしても賃金の大幅上昇は期待できないでしょう。米国経済は、成熟経済、人口動態、格差拡大による需要減で、成長鈍化が構造的・不可逆的になっています。そのため、短期の景気循環で景気高揚感があっても賃金はなかなか上昇しません。
米中小企業の業界団体、全米独立事業者協会(NFIB)が発表した7月の中小企業楽観度指数によると採用募集がなかなか埋まらないと回答した割合が低下しています。労働市場がゆるんできていることから賃上げ圧力はかかっていません。
むしろ、今後は、海外から米国への資金流入が趨勢的に細ってきていることや、QEの終了で社債による資金調達が厳しくなった中小企業のキャッシュが減少していくことなどが要因となって、ますます労働分配率は低下し、平均時給は趨勢的に下落していく可能性が高いです。労働分配率は、中間選挙で共和党が勝てば更に低下すると思います。
アメリカの大学の学費は高騰しています。1993年を基準にして、大学授業料は3.3倍です(日本は1.3倍)。
一般の家庭の子が大学にいくには借金するしかありません。アメリカではこの学生ローンバブルが社会問題になっています。
不況期に求められるのは自己投資と金融危機後に大学進学が増加し、学生ローン残高は危機前の二倍になりました。しかし、知的労働の多くは、飽和して価格破壊が進んだITによって代替されているので彼らに合った仕事がありません。卒業した彼らに仕事はなく借金だけが残りました、
アメリカの学生ローンは自己破産による免責が認められていません。学生ローンの負担があるのでアメリカの若者には更に住宅ローンをして家を買う余裕がありません。
NY連銀が09〜12年に行った調査では、学生ローンを借りた人の30歳時点の持ち家比率は、借りていない人に対して2分の1程度に低迷しているそうです。
持ち家を持てないため、親との同居率が増えて世帯数が増えず、少子化に拍車をかけています。
米国は、サブプライム住宅バブル時の建設ラッシュで、過剰な中古住宅在庫が発生しています。そのため、新築住宅の競争力が相対的に低下しています。中古住宅販売数と新築住宅販売数の比率は平常時の2倍強のギャップが存在し、そのギャップは更に拡大する傾向にあります。
新築販売が伸びないため、住宅投資は加速しません。民間住宅投資の対GDP比は、戦後平均5%に対し、3%に過ぎません。
また、中古住宅の回復自体もすでにピークアウトして販売数、価格ともに伸びが鈍化しています。中古住宅の回復が鈍化すれば家計のバランスシート調整の進展が進みません。
住宅ローンのうち返済期間を30日経過している「延滞ローン」の割合は、最悪だった2010年第1四半期の11.3%から改善はしたとはいえ、2013年第4四半期時点で8.2%と、金融危機以前の2000 年代平均2.2%からは著しく高い水準にとどまっています。金融危機後のバブル経済の恩恵を受けた上位1%〜5%の家計の得た利益は莫大なため、家計全体のバランスシートの調整は平均値では進展しているようにみえます。しかし、中間所得層以下の世帯の家計はまだ厳しい状態のようです。
住宅ローン、学費ローン、自動車ローン、カードローンなどの家計の債務残高は重く、デレバレッジのターンはまだまだ続きそうです。そのため、ディスインフレで金利は低下していくと予想します。
中間層以下の家計は、バランスシートの改善が進まないだけでなく、賃金も上昇していないので可処分所得が増えていません。金融危機後、賃金が上昇したのは全従業員のうちの幹部5%だけです。
いくら金持ちが贅沢に消費しても、物理的限界があります。そのため、富裕層は海外のタックスヘイブンに貯蓄するだけです。消費性向の強い中間層以下の個人消費は弱含みのままです。
コンファレンス・ボード(CB)が先ほど発表した8月の消費者信頼感指数は92.4で、前月の90.3(改定)から上昇、2007年10月以来約7年ぶりの高水準を記録しましたが、イケイケなのは株高で資産所得が増えた富裕層と、メディアの景気絶好調のプロパガンダに騙されてサププライムローンを借りまくって消費している貧困層だけで、大多数を占める中間層は弱気なままです。
個人消費が弱いため、企業の設備投資も伸びません。コア資本財受注(非国防、航空機を除く)は平均時間給と同様、金融危機後、低位で横ばい状態です。
もちろん個人消費がGDPの7割を占めますので景気回復や経済成長が加速しません。
個人消費が増加しないことにより経済が成長しないので、今後の医療費・年金の負担急増でアメリカの財政の破綻は必至です。
そのため、個人は貯蓄に走り、ますます消費しないことになる悪循環になっています。
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