01. 2014年8月27日 09:19:29
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>地政学的リスクでは原油価格が上がらない二つの理由 >国際原油需給における地政学的リスクのインパクトが大幅に軽減 >「地政学的リスク」と「原油供給トラブル」との間に、大きな距離他にも欧州が代表だが、中国など新興国も含め、世界的な景気減速が大きい http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20140825/270307/?ST=print 新緩和策で欧州金融政策は新しい領域に入った
2014年8月26日(火) 田村 賢司 マイナス金利や使途を限った長期資金の供給など、ECBが大胆な金融緩和政策に踏み込んで2カ月余り。他国の債券市場にマイナス金利が飛び火するなど、影響も懸念される一方、欧州景気は次第に落ち着きを取り戻した。ユーロ圏の禁輸宇佐喜作の先行きと、圏内の銀行行政を一元化する「銀行同盟」の効果などについて、ドイツ連銀理事のアンドレアス・ドンブレット氏に聞いた。 (聞き手は主任編集委員 田村賢司) ECBは今年6月、マイナス金利の導入や金融機関への長期資金供給など、新たな金融緩和策を決めた。南欧諸国の景気は回復してきたのか。 Dr Andreas Dombret(アンドレアス・ドンブレット)氏 1960年1月生、54歳。87年、ドイツ銀行入行。JPモルガンなどを経て2005年、バンクオブアメリカ入行。欧州部門副会長。2010年5月からドイツ連銀理事。銀行・金融監督部門とリスク管理部門などの責任者。 Dombret:ユーロ圏全体としては景気後退から脱出し、2014年1〜3月期まで4四半期連続でプラス成長を続けている。また、ECBの最新経済見通しでは、ユーロ圏のGDP(国内総生産)成長率は2014年が前年比1%、2015年が1.7%となっている。
重要な点は、ドイツのような中心国だけでなく、危機に見舞われた(南欧などの)国々が回復し始めているということだ。 危機に陥った国でも競争力が回復し始めている。今年は、キプロスを除いて輸出が伸び始め、経常収支も改善している。 もちろん、自己満足している余裕はない。多くの国で構造改革はまだ道半ばであり、公的債務レベルが高すぎる。(囲み参照) 超金融緩和のリスクは理解している 南欧諸国の構造改革とは具体的に何か。歳出削減も中途半端なようだが。 Dombret:構造改革の内容はそれぞれの国によって異なるが、基本的にはGDPの成長を促すものだ。もちろん、公的債務レベルを下げることは必要だが、同時に経済の成長力も強化しなければならない。 国によっては、EUおよびIMFの援助を受けると同時に(財政赤字削減など経済・財政ガバナンス強化策を実施する)プログラム国になっている。これらの国は、それぞれがどういう改革を行うか、どういう時間軸でそれを進めるかが決まっている。そして、これまで既にアイルランド、ポルトガル、スペインがこの調整プログラムを終えている。 マイナス金利と最長4年の長期資金供給など追加の金融緩和策の効果をどう評価しているのか。 Dombret:実施された施策は低インフレが長引くリスクに対応するものだ。例えば、長期資金の供給は(期間を最長4年とした)低利の資金を銀行に供給し、かつそれを「国債や不動産への投資に充ててはいけない」「実体経済に融資する」と使い方の対象を定めた。 これまでもECBは長期的なリファイナンスを提供してきたが、実体経済への供給に対象を定めたのは今回からだ。 その長期資金が実体経済に回ることをどのように担保するのか。それは可能なのか。 Dombret:我々は今、未知の領域に入りつつあるのだろう。これについては今後、徹底的に分析する必要がある。もちろん、銀行がその資金を活用するかどうかは、彼ら自身が決めることだ。しかし、私は使い方の対象を定めたことはいいことだと思っている。 マイナス金利政策の方は、その影響が外国の債券市場にも及んでいる。日本でも短期国債がマイナス金利となるなど影響がある。どう見ているか。 Dombret:金融政策の策定者は、それぞれの国民の負託に従わざるを得ない。従って他国経済への波及効果については、それが翻って自国経済に影響を及ぼす場合に限って考慮することが可能だ。 ユーロ圏内の経済不均衡は修正へ だが、ECBの金融緩和政策継続は、ドイツにとってはインフレリスクになるのではないか。 Dombret:ドイツのインフレ率は、今年に入って2四半期連続して1%に留まっている。また、ドイツ連銀の予測も2016年で1.9%というものだ。つまり、今のところドイツにインフレリスクが生じているようには見えない。 いずれにしてもEUのユーロ圏の金融政策はECBの政策理事会が決めるものだ。理事会はユーロ圏全体に関して金融政策を決定するのであって、個別の国に関してではない。とは言え、ドイツはユーロ圏最大の経済であるため、ここにいくらかのインフレリスクがあれば、全ユーロ圏にとってのリスクになる可能性は最も大きいだろう。 ドイツの経常黒字は過大過ぎるとの指摘もある。南欧諸国の経済を強化するためにももっと支援策を講じるべきという意見もあるが。 Dombret:確かにドイツは経常黒字国だ。しかし対ユーロ圏で見ると、ドイツの経常黒字は2007年から大幅に減っており、GDP比で4.5%の規模から昨年は2%になっている。ただしドイツの支出増加が南欧のEU諸国に目立った影響を及ぼすことはないだろう。そうした国々からドイツが輸入している量はごくわずかだからである。その点はIMFや欧州委員会の調査でも確認されている。 同盟発足で銀行政策は変化する ECBが、ユーロ圏各国が銀行の監督を一元化するために設ける「銀行同盟」の準備に関わってきた。どのような効果を期待しているのか。 Dombret:銀行同盟の発足は、ユーロが導入されて以来、ユーロ圏の金融市場統合に向けた最も重要なステップだ。私はこれまでも、単一の金融政策のためには、銀行監督の一元化を含めた金融市場の統合が必要だと言い続けてきた。 銀行同盟の役割は今のところ、2つある。1つは銀行の監督制度であり、これは今年11月に発足することが決まっている。従来、銀行の監督は各国の機関がそれぞれ行ってきたが、それを一体化するわけだ。これによって、自国行に優遇的になるような銀行監督が中立になる効果がある。 2つ目は、破綻処理のメカニズムを導入することだ。これも現在は、各国の金融規制当局が経営の悪化した銀行の破綻処理を行っている。それを一体でやれるようにしようというわけだ。同時に、銀行の所有者や債権者によるベイルイン(内部救済)に関する規則も新設し、銀行破綻のコストから納税者を守れるようにする。 同盟発足前の銀行への包括査定など、どのように準備は進んでいるのか。主要128行への包括査定はどうなっているのか。 Dombret:現在、銀行同盟の準備として貸借対照表の点検を進めている。会計上の点検を行って銀行の貸借対照表上でレガシー資産を明らかにすることが目的だ。並行して、経済的ショックに対する銀行の耐久力を調べるストレステストを行う。資本不足が明らかになった場合、銀行はこれを是正しなければならない。こうした準備によって、銀行同盟はゼロベースからスタートすることができる。 これと共に、銀行の体質強化策や、「大きすぎて潰せない」と言われる巨大銀行への対応、デリバティブ(金融派生商品)の規制基準などについて検討を加えて行く。作業はグローバルレベルで、確実に進んでいく。 冒頭本文に戻る 欧州経済、回復の基調は変わっていない ドンブレット氏との取材後の8月中旬、欧州連合(EU)は、ユーロ圏18カ国の今年4〜6月期の域内総生産(GDP)が、前期比で実質ゼロ成長となったと発表した。特にユーロ圏全体のGDPの約3割を占めるドイツは、1〜3月期の0.7%増から0.2%減へ5四半期ぶりのマイナス成長となった。フランスも2期連続のゼロ成長、イタリアは2期連続のマイナス成長で、数字の上では景気回復に陰りが見えるが、日本のエコノミストも「景気の基調は変わっていない」と言う。ニッセイ基礎研の上席研究員で、欧州経済担当エコノミストの伊藤さゆり氏に、その見方を聞いた。 伊藤: ユーロ圏は、4〜6月期に前期比ゼロ成長となったが、景気回復の基調は変わっていない。ドイツについては、1〜3月期が暖冬で建設投資が伸びており、前期にはその反動減が出た。また1〜3月期は、祝日・休日の並び合わせで休日が増え、生産活動が落ちたこともある。こうした特殊要因を除けば、景気が腰折れをしたというようなことはないと見ている。 ただ、ウクライナ問題でEUは7月末、ロシアへの制裁措置を強化したことなどが、どう影響するかを巡って先行きに懸念を抱く声もある。EUは今年3月のロシアのクリミア編入後、ロシア高官らの資産凍結とビザ発給停止などの措置を取ったが、さらにロシアの石油開発・生産のための特定の製品・技術の輸出禁止などの追加制裁をおこなった。 経済的には大きな影響のある追加制裁ではないが、ドイツの主要経済研究所の1つであるIFO経済研究所の7月の景況感指数が現状判断、見通し、総合とも下落するなど、懸念している。ただ、8月21日に発表された同国の購買担当者景気指数(PMI)は市場予想を上回っており、経済の先行きに対する警戒感は和らぎつつあると見る方が適切だろう。 フランス経済については、年初から経済情勢は厳しいと見られていた。EUの財政赤字削減目標を達成できておらず、今後財政を抑制しなければならないはずだからだ。イタリアは、元々競争力自体が回復しておらず、最近のユーロ高もあり、マイナス成長は意外な数字ではない。 http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/41586 イタリアの民営化計画、恩恵を熟慮する首相 2014年08月27日(Wed) Financial Times (2014年8月26日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 伊レンツィ内閣発足、経験不足に不安の声も イタリアのマッテオ・レンツィ首相〔AFPBB News〕 メディアに精通したイタリアの若き首相、マッテオ・レンツィ氏(39歳)は25日、ツイッター上で、夏の休暇を終えて職務に復帰したことを伝えるメッセージを送った。休暇後にやらねばならない仕事のうち、未解決の課題の1つが、滞っている120億ユーロ規模の民営化計画だ。 民営化計画と歳出削減計画は、レンツィ氏がエンリコ・レッタ前首相から丸ごと引き継いだ2つの課題だ。フィレンツェ市長だったレンツィ氏は今年2月、党内クーデターでレッタ氏を首相退任に追い込んだ。 レッタ氏は欧州連合(EU)の支持を得て、2兆1000億ユーロを突破したイタリアの債務残高を減らす手段として、早期の資産売却を優先事項と見なしていた。 1990年代後半以降ではイタリア最大の民営化計画と評されたプログラムの目玉は、イタリア郵政公社ポステ・イタリアーネの株式の40%を売却し、国庫に少なくとも40億ユーロの資金を確保するという政府の意図だった。 目玉のイタリア郵政公社上場計画を延期 だが、今年6月に国営造船大手フィンカンティエリが市場へのデビューで躓くと、レンツィ氏はポステ・イタリアーネの上場計画を翻した。フィンカンティエリの新規公開価格は予想レンジの下限で設定され、機関投資家からの需要が鈍かったことから、同社は売り出し株数を3割強減らすことを余儀なくされた。 イタリア航空管制公団(ENAV)と国営の輸出信用保険機関(SACE)の株式の49%を売却する計画も問題にぶつかった。今月の統計でイタリア経済が第2四半期に景気後退に逆戻りしたことが明らかになってから、投資家がイタリアへの投資に慎重になったためだ。 レンツィ氏は今月、本紙(英フィナンシャル・タイムズ)とのインタビューで、フィンカンティエリの上場を経験した後、民営化が確実に「うまく、真剣に実行される」よう、時間をかけて民営化プロセスに取り組んでいると語った。 「売却で国に利益をもたらす状態になった時に我々は(民営化を)やる。私は安く売却できるような立場にない。資産は適正価格で売りたい」とレンツィ氏は述べた。 銀行筋は、ポステ・イタリアーネの上場を来年もしくは2016年まで控えることにしたレンツィ氏の措置は、ビジネスとして理にかなっていると話している。彼らいわく、最近ポステ・イタリアーネの最高経営責任者(CEO)に任命されたフランチェスコ・カイオ氏に徹底的な郵政事業のリストラに取り組む時間を与えることで、同氏は国有企業だったドイツポストや英ロイヤル・メールの上場の成功を真似られるかもしれないという。 エコノミストらは、2008年以降3度目となるイタリアの景気後退入りも、レンツィ氏が最初に構造改革に取り組んだ方がいいことを意味していると指摘する。 「最初に改革せずに民営化を行ったら、投資家が経済の長期的な成長にあまり自信が持てないため、資産を売却する際のバリュエーションが低くなる」。ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)のマクロクレジット調査部門のトップ、アルベルト・ガロ氏はこう話す。 短期的には財務省に打撃 しかし、短期的には、民営化プロセスの減速はイタリア財務省に問題を突きつける。同省はすでに、2016年までに支出を最大340億ユーロ削減するという政府の公約を満たそうと奮闘している。 政府に近い消息筋によると、レンツィ氏はポステ・イタリアーネの上場の代わりに、エネルギー大手イタリア炭化水素公社(ENI)と電力公社(ENEL)の持ち株を5%ずつ売却することを検討しているという。現在の市場価格では、これらの持ち株売却で50億ユーロ超の資金を調達できる。それでもアナリストらは、これは一時しのぎの策でしかないと指摘する。 ローマに本社を構えるコンサルティング会社ポリシー・ソナーの創業者、フランチェスコ・ガリエッティ氏は、「たとえどこかの天才がすべて円滑に運ぶようにしたとしても、国はこれで一体いくら得られるのか? これは焼け石に水で、イタリアの債務問題の解消策ではない」と言う。 ガリエッティ氏によると、イタリアという国家にとっては、地方の水道会社などの地方自治体のインフラの民営化の方が大きな利益を上げられるかもしれないが、レンツィ政権は有権者の不興を買うかもしれないことを恐れ、まだこの問題に取り組んでいないという。 By Rachel Sanderson in Milan |