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「いきなりステーキ HP」より
大人気の立ち食い「いきなり!ステーキ」、型破りのモデル?なぜ高価格&低価格実現?
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140826-00010001-bjournal-bus_all
Business Journal 8月26日(火)6時0分配信
皆さんは立ち食いステーキ専門店「いきなり!ステーキ」をご存じだろうか。2013年12月、東京・銀座にオープンしたこのお店が大ヒットしている。
ステーキは高価な食事の代名詞ともいえるが、本格ステーキを立ち食いで量り売りするというのが、この店のコンセプトだ。銀座店オープンから順調に店舗を増やしており、14年8月現在、東京都内に7店舗がオープンしている。7月15日には六本木に、8月5日には赤坂に、それぞれ新店舗がオープンしたばかりだが、今後さらに3店舗がオープンする予定となっている。
同店を経営するのは、ステーキチェーン店「ペッパーランチ」で知られる株式会社ペッパーフードサービスだ。
同社は、1970年、一瀬邦夫社長がコックとして開店した洋食店が前身だった。87年からステーキ専門店を始め、94年には、特別な電磁調理器でスピーディにおいしいステーキを提供する「ペッパーランチ」の業態を開始。その展開の一方、同社は炭焼きのステーキ店も経営しており、「肉1g当たり10円」で客の好みの大きさにカットして提供する手法が受けていた。これを半額で提供しようという一瀬社長の発案から検討を重ね、行きついた結論が「肉1g当たり5円」で提供する立ち食いタイプの「いきなり!ステーキ」だという。
同店の原価率は57%となっており、ペッパーランチの30〜35%と比べても圧倒的に高く、採算が良いビジネスとはいえない。しかし、立ち食いにすることで、少ないスペースで収容可能人数を増やし、お客の回転を早めた。また、メニューをステーキ、ライス、サラダ程度に抑えることで、食材の廃棄を減らしつつオペレーションを簡略化するなど、コスト削減を徹底した。こういった企業努力で、肉の品質を確保しつつ、利益を出しているという。銀座1号店は20坪(約65平方メートル)程度で30人分のスペースを確保。従業員はわずか5〜6人。一日当たりの平均客数は約500人で、一人当たりの平均単価は2000円ほど。一日当たりの売り上げは約100万円で、当初予想を1〜2割上回ったことも嬉しい誤算だったが、さらに予想以上だったのが、お客の滞在時間の短さだと言う。開店前は、平均滞在時間を1時間前後と見込んでいたが、ふたを開けると30分ほどしか滞在せず、早い回転で売り上げ効率を高めている。銀座といえば、日本でもトップクラスの賃料だが、それを補って余りある売り上げと少ない人件費で、利益を伸ばしている。
●「俺の」シリーズを参考にしたビジネスモデル
上記のような立ち食いで最近はやっている店舗に、俺の株式会社が展開する「俺のイタリアン」や「俺のフレンチ」などの「俺の」シリーズを思い出す人も多いのではないだろうか。
同社は、ブックオフコーポレーションの創業者である坂本孝社長が2年前に創業した。ペッパーフードサービスの一瀬社長も「俺のイタリアン」を視察し、「いきなり!ステーキ」の業態を検討したといわれている。
ご存じの方も多いだろうが、「俺の」シリーズは、ミシュランの星付きの高級店で活躍してきた料理人を起用し、最高級の食材を惜しげもなく使い、それを驚愕の低価格で提供する。この低価格を実現するために、基本的に店内は立ち飲み形式(一部テーブル席)、または時間制限を設けており、1日3.5回転という高回転を達成している。「高級素材を驚愕の低価格で提供」というコンセプトは大きな話題になり、広告宣伝をせずともお店は常に予約で埋まり、行列ができている。その結果、原価率が60%台(通常飲食業の原価率は30%程度)でも利益が生みだせる型破りのビジネスモデルを成立させている。
両社に共通するのは、高品質、低価格を提供するために、トータル的なマネジメントを行っている点だろう。これまでの飲食店は売り上げを上げるために、食材の原価、人のコストを抑えて、お店の雰囲気やサービスを向上させる努力を行ってきた。しかし、両社は高品質と低価格を両立するために、質(Quality)、コスト・お金(Cost)、デリバリー・時間(Delivery)、環境(Environment)をコントロールしている。
ビジネスを行う際には、QCDEのバランスを考えることが重要だといわれている。両社は、多少の違いはあるが、基本的にクオリティを上げるためにオペレーションコスト(入荷検品・値段付け・商品陳列・商品補充・レジ作業などの店舗経営に関わるコスト)や店内環境を犠牲にしているといえる。店内は狭く、顧客は落ち着いて食事をすることができない代わりに、高品質の料理を低価格で食べることができる。そして、そこに価値を感じる顧客はリピーターとなっている。顧客ターゲットを絞っていることも重要な戦略の一つといえる。
もちろん、QCDEすべてを向上させることが理想だが、QCDEは常にトレードオフ(相反)の関係である。自社のサービスでは顧客に何を提供したいのか、といった戦略を明確に持ち、その方針をブレさせずに実行することで、高い顧客満足を得られるとともに、結果、自社のビジネスも成功するのだ。ビジネスを検討する際は、つい目先のお金に目が行きがちになる。売り上げや利益を上げるために、コストを抑えることが必要となり、原価低減やリストラが行われることになる。しかし、目先のコストだけでなく、トータルリソースコストをコントロールすることが重要なのだ。
岡田和典/経営コンサルタント・大学院客員教授
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