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概算要求と投資
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52638649.html
2014年08月25日 在野のアナリスト
来年度予算の概算要求について、100兆円越えがほぼ確実です。今年度は99.3兆円で、これに社会保障費の増額、成長戦略に基づく重点分野への配分、防衛予算の膨張、さらに消費税が8%から10%に上がれば、予算執行にも増税の影響があるため、その分が上乗せされることになります。消費税分は国にもどってくる、といったところで予算増には違いなく、トータルで100兆円越えです。しかも、安倍政権ではムダな予算執行をチェックしていないため、本当に必要なところにお金が回っているか、不明です。特に、今回は財務省が消費税10%シフトと称し、財界にも賛成するよう働きかけており、見返りの財政手当てが今後、予想される点も歳出圧力となります。
さらに、消費税8%増に合わせて臨時福祉給付金なる低所得者向けのバラマキ、も始まりますが、10%に再増税するなら、同じように低所得者対策をしないと嘘になります。それを軽減税率の導入で補う、としても、逆進性の解消につながるかは議論が必要です。そもそも今回の給付金も、費用対効果を考えると、極めて問題のある対策であり、ただのバラマキでしかありません。
黒田日銀総裁は、ジャクソンホールの会見で「日本の景気は7-9月には回復」と述べ、その理由を「雇用の伸びと世界経済の改善」としました。しかし日本と最大の貿易相手国、中国の景気は依然、不安がただよいます。4月に17兆円とされる景気対策をぶち上げましたが、7月の景況感指数はふたたび悪化、不動産市場は下げ止まる気配がありません。ここにきて、中国民生投資が上海で発足、参加する大手企業59社が500億元を出資し、様々な産業に投資すると言います。これは景気対策の一環である面と、国有銀などは不動産価格が下落しても、5割の担保保証であるため、経営基盤は揺らがないとされても、やはり不動産価格の目減りで資金繰りが苦しくなるのは必定。そこで、こうした民間主導のファンドを立ち上げ、資金繰りを補完する目的もある、とされています。
しかし癒着、汚職の激しい中国で、中民投のような組織が上手くいくはずもない。投資が国、地方行政府の思惑で差配される懸念は強まりますし、融資をえるための裏金は苛烈を極めるでしょう。相手は民間なので、賄賂にもなりません。景気が厳しくなると、こういう組織をつくって、安心を得たいと為政者は考えがちですが、得てして終わりの始まりを告げることも多いものです。
翻って日本も、NISA子供版など、遮二無二投資資金をかき集める姿勢が目立ちます。GPIFの運用比率見直しもそうですが、上昇するときの買い手にはなりますが、永続的に買い主体となるわけではない。特に、国債は今が高値であり、今後はインフレ率などをみて価格が下がることが予想されます。すると、必然的に株を売らなければ比率が合わなくなる。つまり債券安、株安を引き起こす主体として機能する恐れがあるのです。これも、今だけの利益しか考えない、安倍政権特有の動きであって、NISAなど口座数が目減りしていくと、管理コストの方が利益を上回り、撤退する証券会社が増えるでしょう。これも今だけの利益を追求する姿勢、ということになります。
そんな安倍政権で組まれる予算は、昨年度、今年度と公共工事によるバラマキと、歳出チェックのない従来型の予算執行であって、これも今だけ良ければいい、という姿勢の結果です。日経平均は、大博打をうっている米株市場にあわせ、何となく上昇していますし、米MMFで大量のドル買いが観測されたように、米国のバブル的要素にお付き合いして上昇しています。株価維持のためのPKOに余念がない安倍政権ですが、増税判断前に米QE3が終了し、株価が調整局面入りすることを怖れています。歳出におけるムダがチェックできないように、今だけの利益を追求することが、長期で見るとムダなこと、と気づくのはそのときになって分かるのかもしれませんね。
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