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なぜ日本メーカーはルンバをつくれない?「ニーズの断捨離」で新しい常識と顧客を創造(Business Journal)
http://www.asyura2.com/14/hasan89/msg/896.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 8 月 25 日 07:03:25: igsppGRN/E9PQ
 

なぜ日本メーカーはルンバをつくれない?「ニーズの断捨離」で新しい常識と顧客を創造
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140825-00010004-bjournal-bus_all
Business Journal 8月25日(月)6時0分配信


 米アイロボットが開発・販売するお掃除ロボット「ルンバ」が人気だ。7月7日付日経ビジネスオンライン記事『日の丸掃除機、敗戦の日 国内新市場を席巻する海外メーカー』によると、ロボット掃除機の2012年単年販売数は38万台、うちアイロボットの製品は73.6%のシェアだ。技術的には日本の家電メーカーも同等の製品がつくれるはずだが、なぜルンバに対抗できるような日本製商品が生まれないのか。同記事では、次のようなある家電メーカー本部長の言葉を紹介している。

「すべてのお客様に満足のいくものを、と考えると先回りができず、いまだ商品化に至れていない」

「仏壇のローソクが倒れて火事になったら、誰が責任を持つのだ」といった議論が繰り返され、せっかく技術力を持っているのに、なかなか商品化が進まないのは残念なことだ。「リスク回避体質が問題だ」と思う人もいるかもしれないが、筆者は別の問題があると考える。  日本の家電メーカーは、総じて「信頼性が高く、多機能な商品を、安く大量に」つくろうとする。この源流にあるのは、松下電気器具製作所(現パナソニック)創業者の松下幸之助が述べた「水道哲学」の考え方だ。

「産業人の使命は貧乏の克服である。(略)産業人の使命も、水道の水の如く、物資を無尽蔵にたらしめ、無代に等しい価格で提供する事にある。それによって、人生に幸福を齎し、この世に極楽楽土を建設する事が出来るのである。松下電器の真使命も亦その点に在る」

「経営の神様」といわれる松下幸之助は、貧困を克服し極楽浄土をつくるという使命を胸に、家電商品を安く大量に供給しようと考え、水道哲学を提唱した。1932年5月5日、松下電気器具製作所第1回創業記念式の場でのこと。まさに卓見だった。それから82年がたち、日本は貧困を克服し、潤沢にモノがあふれる時代になった。水道哲学で述べた使命は、すでに達成されたといっていい。  問題は、家電メーカーに限らず多くの日本企業で、「信頼性が高く多機能な商品を、安く大量に」という考え方から脱却できていない点なのだ。

●ニーズの断捨離

 実はルンバを開発・販売するアイロボットは、この考え方にこだわっていない。その代わりに「ニーズの断捨離」を行っている。「掃除は手間」という常識に挑戦し、一度スイッチを押せば放っておいても掃除できる製品を提供している。ユーザーは「掃除に手間をかけたくない人」に絞っているので、「仏壇のローソクが倒れたらどうする」とは考えない。「ニーズの断捨離」で新しい常識をつくり、新しい顧客を創造している。つまり、「すべての人へ、安く多機能を」と考えずに、「5%の人へ、高くても光るモノを」と考えている。そして市場ではごく一部だった顧客のこだわりに応えて、急速に成長している。

 興味深い点は、商品の性能向上に伴って、いつの間にかそれが市場の5%にとどまらず、市場の過半数を押さえてしまうことだ(本文冒頭の図を参照)。

 同じような例は多い。英ダイソンの羽根のない扇風機は、「扇風機は羽根に注意」という常識に挑戦し、「羽根なし」の扇風機をつくり、安全重視の人が使っている。最近、蘭フィリップスは家庭用自動製麺機を開発・販売している。日本人のほとんどは週に1回以上麺を食べるが、麺を自宅でつくる人はほとんどいない。そこでフィリップスは「消費者が気づかない潜在ニーズは大きい」と考え、「麺は買うもの」という常識に挑戦し、「麺は自宅でつくる」という新しい常識を掲げ、市場創造に挑戦している。

 古くは日本の家電メーカーの事例もある。真空管ラジオ全盛の1950年代に、ソニーはトランジスタラジオを開発。それまでの「ラジオは自宅の居間で聞く」という常識に挑戦し、「野外で聞く」という新しい常識をつくり、若者リスナーを生み出した。

 このように「ニーズの断捨離」は、常識に挑戦し、顧客を創造する。「新しい顧客を創造する」ことは、すなわちイノベーションそのものだ。現代のイノベーションは、「ニーズの断捨離」が生み出すのだ。それは顧客の言いなりにならず、顧客の課題・ニーズ・ウォンツ(要求)を先取りする「顧客中心主義」が実現するのだ。

永井孝尚/オフィス永井代表


 

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コメント
 
01. 2014年8月25日 09:46:15 : 3EMgCxnjJI
すでに手がけているが儲からん。ルンバで業績回復するかよ。
専業ならともかく総合家電だしな。

02. 2014年8月25日 12:22:32 : 1sOGo4ynoE
>>01
考え方の違いでしょ。

10個の機能が備わってる機器が欲しいか
1つの機能に特化した機器を10台用意するか。

総合家電という言葉自体が時代遅れを物語ってる気がするけど。


03. 2014年8月25日 12:32:53 : nJF6kGWndY

日本メーカーと一律に考えるのが、そもそも間違い

http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20140805/269704/?ST=print
「異端児たちの決断――日立製作所 川村改革の2000日」
「沈みゆく巨艦」はなぜ目覚めたか

69歳の再登板、川村隆・元会長の述懐(2)

2014年8月25日(月)  小板橋 太郎


「異端児たちの決断」
 2009年3月期に、国内の製造業史上最大となる7873億円の最終赤字を計上した日立製作所。そんな崖っぷちの総合メーカーをV字回復に導いたのは、本流から外れた"デッドヘッド(員数外)" の男たちだった――。第1回に引き続き、川村隆会長の言葉で振り返る。
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 出戻り組の「三たかし、波たかし」


川村会長(写真:都築雅人)
 2009年4月に執行役会長兼社長に就任してからは、しゃにむに動きました。まず意思決定を早めるために経営会議を6人で進めることにしました。私のほかに、同じように子会社から戻ってきて副社長になった三好崇司(現日立製作所取締役)、八丁地隆(同)。3人はみな名前が「たかし」で、しかも出戻り組なので「三たかし、波たかし」などといじめられましたよ。

 それから、やはり北米のハードディスク子会社の再建から戻ってきた中西宏明(現取締役会長)、営業担当の森和廣(現日立ハイテクノロジーズ会長)、そして情報通信担当の専務から昇格した橋直也(現日立システムズ社長)の6人です。就任から100日、つまり7月までに何か形を出そう、ということで動き出したのです。

 6人組は文字通り矢継ぎ早の改革に乗り出した。以下の改革工程表を見てもらえばわかる通りだ。
・日立プラズマディスプレイ宮崎工場譲渡(2009年4月公表)
・ルネサステクノロジ、NECエレクトロニクス経営統合(同)
・日立マクセルなど上場5子会社の完全子会社化(同年7月公表)
・携帯電話事業をジョイントベンチャーで切り離し(同年9月公表)

「沈みゆく巨艦と言われることに慣れてしまった」

 ゴールデンウィークが明けるころだったでしょうか。私のパソコンに1本のメールが入りました。本社に所属する20代の女性社員からです。こう書かれていました。

 「日立製作所は不沈艦と呼ばれてきました。二度の石油ショックを乗り越えてきたからです。それがいまは沈みゆく巨艦と言われています。なによりも悲しいのは、私たちがそう言われることに慣れてしまったことです」

 おそらく意を決して私に直訴したかったのでしょう。そのメールを読みながら、私はある話を思い出しました。英国海軍の軍艦の話です。軍艦は、出撃しなくてもそのまま放っておくと毎年1センチずつ喫水が下がり、船の航行速度が落ちて、しまいには使い物にならなくなるのだそうです。錆びて浸水したり、貝殻が付着したりするというのではなく、艦の重量が毎年少しずつ増えてくるのが原因だという。

 それはなぜなのか。乗組員が勤務に慣れてくるに従って、自分のベッドや個室に本や衣類などの私物を持ち込み、それが全体ではバカにならない重量になるというのです。だから英国海軍では私物の持ち込みついて厳重な規定を設け、検査しているということです。

 2009年の秋までに、日立は矢継ぎ早に改革策を打ち出した。これまでの「巨艦」とか、「鈍牛」などのあだ名を返上するに余りあるスピードだった。だが、市場が一番関心を持っていたのは、日立が公募増資による資本増強をいつやるのか。川村氏が会長兼社長に就任した直後、日立の株主資本比率は11.2%まで下がった。上場子会社5社のTOBで3000億円近い現金を使ったこともあり、9月末時点では同10.9%、自己資本は1兆円を下回った。2010年3月期も最終損益は2300億円の赤字になる見通しを立てており、期末には自己資本比率が10%を割り込む可能性もあった。

 自己資本が10%を割った会社からなんて、大きいものは誰も買わないですよ。鉄道も買ってくれないし、発電所も買ってくれない。11月に公募増資と転換社債よる約3500億円の資金調達を実施しました。日立が増資するのは27年ぶりのことでした。

 しかし株価が200円台前半まで下がっている中での増資でもあり、投資家からは叱責を頂きました。「なぜこの株価で増資するのか。増資すれば3割以上希薄化する。自己資本比率が5%になったって、借金で賄えばいいじゃないか」と。それでも会社が倒れるよりはいいというわけで、株主にはご理解をいただきました。

投資家の罵声を浴びたロードショー

 国内の投資家はもとより、厳しかったのは海外の外国人投資家だった。川村氏ら経営陣は、増資の発表した後、海外投資家へのIR説明に回る「ロードショー」のため、全世界に散らばった。11月17日、川村氏はニューヨークのJFK空港に降り立った。

 海外投資家は、もう大変な剣幕なわけです。何しろ株価は200円台で低迷しているし、2008年度は7873億円の最終赤字を計上し、2009年度も1000億円を越える赤字になる。そうした状況下で、33億7000万株の発行済株式を、1.5倍の48億株にするわけですから、希釈化で保有株式の価値が下がる既存投資家はたまりません。

 「どうしてここまで放置したのか」

 「テレビなどの家電事業は数年前からコモディティー化していたじゃないか」

 「あの時、事業を切るべきだと提案したのに、なぜしなかった」

 厳しい言葉をいただきました。ある機関投資家には開口一番、こういわれました。「こんなプログラムは認められない。すべてキャンセルして日本に帰ってくれ!」

 私が受けもった米東海岸はニューヨークやボストンなど広範囲で、なるべく広範囲の投資家を回るために、証券会社が手配した黒いバンで移動するのです。昼食をとる暇もありません。マンハッタンの55丁目に日本から進出したラーメン店があるのですが、車がその店に近づくとスタッフが携帯電話で注文をとってくれて、車を降りて店に入るとすぐにラーメンが運ばれてくる。それを食べてまたバンに乗り込む、といった感じでした。

 ロードショー部隊は米東海岸、西海岸、欧州、アジア、東京の留守番組も含め総勢四十数人に上った。ロードショー中は、投資家の質問への回答にぶれが生じないように、常に電話会議で状況を報告し合っていた。日本に帰る前日。川村氏はニューヨークのホテルから世界各地に電話会議をつなぎ、スタッフをねぎらった。

日立を変えた投資家目線

 そのときのことはよく覚えています。こう言いました。

 「みなさん、私は日立に入ってからいろんなものを売り歩いてきた。だが株を売り歩いたのは始めてだ。私がこれまで売ってきたものは、タービンや発電機、原子炉など、すべて顧客に対して保証項目が決まっている製品だ。発電効率はこれぐらい、燃費はこれぐらいなど性能を全部保証して、それを守れなければ罰金を払う。納期だって全部決まっていて指定日までに運転できなければまた罰金を払う。 だが、株は違う。配当だって保証していない。株価を上げたいと、口ではいいことを言うけれど、保証できるものは何もない。それでもこの先どうなるかわからない株を投資家の皆さんは日立を信じて買っていただいた。本当に良い経験をした」

 このロードショーは、もちろん、日立の資本増強を投資家に納得させるために不可欠のプロセスにすぎなかったが、日立の経営改革という視点から見ると、大きな副次的効果を生み出した。自らの経営の成果をさらして評価を外部にゆだね、厳しい第三者の目を意識しながら経営をしていくという効果だ。そして、日立の末端の事業部門から、ガバナンスをつかさどる取締役会まで、あらゆる層に内向きから外向きへの体質変換を迫ることになる。

(続く ※近々公開予定)


このコラムについて
異端児たちの決断――日立製作所 川村改革の2000日

2009年3月期決算で製造業市場最悪となる7873億円の最終赤字を計上した日立製作所。その再生で重要な役割を果たしたキーパーソンがこれまでの過程を振り返る。


 


成功するために必要なただ1つの資質は「素直さ」です

人気コンサルタント 小宮一慶氏に聞く

2014年8月25日(月)  日経トップリーダー

 人気経営コンサルタントの小宮一慶氏が、自身100冊目の『社長の心得』を出版した。企業が存続、発展するための原理原則を凝縮してまとめたという。数多くの中小企業を見てきた小宮氏に、成長企業の経営者の共通点を聞いた。
たくさんの優良企業を指導されています。

小宮:現在、十数社の顧問を務めています。売上高で見ると、200億〜300億円の企業が中心ですが、お付き合いを始めた当初は、数億円の売上高しかなかった企業もあります。


小宮一慶(こみや・かずよし)氏
1957年大阪府生まれ。81年京都大学卒業後、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入行。米国の大学院でMBA(経営学修士)取得。同行退社後、岡本アソシエイツ取締役を経て、95年小宮コンサルタンツを設立。自身が経営の原理原則について詳しく語った『小宮一慶のCD経営大全 耳で読む「社長の心得」』が日経トップリーダーから発売中(写真:鈴木愛子、以下同)
 顧問先でとりわけ業績を伸ばしているのが、京都の印刷会社プリントパック。今から十数年前、印刷のインターネット通販業態を確立した業界のパイオニア的企業で、直近の売上高は当時の約40倍。今なお年率2ケタのペースで成長を続けています。

 成人式や婚礼用に、振り袖の販売やレンタルを手掛ける熊本のウェディングボックスも勢いがあります。人気なのは、着付けとヘアメイク、写真撮影がセットになったプラン。ファッションモデルさながらの写真を撮り、豪華な写真集まで作ってくれます。

 貸衣装業で創業したものの、将来性に不安を感じた2代目社長は新事業に挑戦します。写真スタジオを設置し、結婚式ができるレストランを開業。成人式向けのサービス強化も試みの1つでした。これらが相乗効果を生み、貸衣装事業、婚礼事業ともに伸びています。

良い仕事、良い会社とは

印刷業界も婚礼業界も、成長市場ではありません。そこで伸びる両社に共通点はありますか。

小宮:経営者が前向きで志が高く、加えて経営の原理原則を実践している点です。能力はさほど重要ではありません。専門家や優秀な人材を雇うなど、能力はお金で買えますから。

 前向きで志が高い人は皆、信念を持っています。実は、経営者として最も大事なのは信念を持つことです。それも正しい信念です。ノウハウや技術はお金で買うことができますが、信念は買えません。信念さえあれば、後のことはついてきます。

 自分たちだけが儲かればいいということでは誰も協力してくれない。世の中の人に「サポートしてやろう」と思ってもらえるような信念を、経営者が持っているかどうか。これは極めて重要です。私が顧問を受ける際には、そうした経営者を選んでいます。だから業績がいいのは当然なのです。

 経営の原理原則についてまとめたのが、私にとって100冊目の著書となる『社長の心得』です。例えば、良い仕事とは何か。私は「お客様が喜ぶ」「働く仲間が喜ぶ」「常に工夫を怠らない」の3つだと考えています。では、良い会社とは何か。「お客様に喜ばれる商品・サービスを提供して社会に貢献している」「働く人が幸せ」「高収益である」ことでしょう。

 高収益とは、つくり出す付加価値の2割の営業利益を出すことと定義しています。ただし、従業員に同地域の同業他社より1割多い賃金を払うという前提条件が付きます。これをクリアしたうえで、高収益の会社をつくる。そうすればどんな環境でも企業はおのずと次のステップに行けるわけです。

 私自身、社員11人の会社を経営しています。人にものをお教えするのに自分でやっていないことを言うのはインチキですから、自分の会社も高収益の条件をクリアしているし、社員には同業他社より1割以上高い給料を払っています。

 経営者がこうした経営の原理原則を、強い信念の下、常に突き詰めて考え、それを実践しているかどうか。これを私は問いたいのです。

お客様は企業の業績など全く関心がない

いずれも当たり前のことのように見えて、後回しにしがちなことかもしれません。

小宮:忘れるのは志が低いからです。例えば「お客様に喜ばれる商品・サービスの提供」より、業績を伸ばすことに汲々としている会社がなんと多いことか。

 お客様は企業の業績など全く関心がありません。企業がいくら売り上げようが、いくら儲けようが知ったことではないのです。それなのに「今年は前年比○%売り上げを伸ばそう」といったことばかり考えているから良い会社から遠ざかるのです。

 良い会社の3条件をクリアするには、一言で言えば、第1の条件である本当にお客様が求めているものを提供し続ければいいのです。そうすれば高収益にもなるし、その結果、給料や顧客からの感謝の言葉も増え、社員も幸せになる。

 経営者が自分だけがよければいいという経営をしていたら、間違いなく会社は長く続かないし、成長もしません。ずっと中小企業のままです。私はお客様に「中小企業を卒業しないと駄目だ」と言っています。

 日本はこの二十数年、全く成長していません。主要60カ国でGDP(国内総生産)がドルベースで伸びていないのは日本だけ。米国は1995年の倍、中国は10倍以上、EU(欧州連合)も伸びています。


「正しい考え方、生き方を根本に置くことができれば、企業も日本ももっと良くなる」
 冷戦構造の崩壊や、中国の「世界の工場化」など様々な要因はあります。しかしその影響を受けているのは日本だけではありません。では、なぜ日本だけが伸び悩んでいるのか。バブルが崩壊したからではない。実は日本の成長が止まった時期と、戦前の教育をまともに受けた世代が引退し始めた時期が見事に一致しています。

 戦後、正しい考え方や生き方を伝える教育の場がなくなってしまった。正しい考え方を学ぶ機会があれば、企業を繁栄させるためには、強い信念の下、経営の原理原則を実践すればいいことぐらい分かる。でも、そうした基本的な考えを教える機会がなくなってしまった。それが、日本が弱体化した要因の1つではないかと私は考えています。

 正しい考え方、生き方を根本に置くことができれば、企業も日本ももっと良くなる。だから、リーダーは原理原則を勉強しなければなりません。最近はこの部分が欠落している人が多いので、お客様にはよく「『論語』や『老子』を読んでから来てください」と言っています。

教育が弱体化する中で、どうすれば正しい考え方、生き方を学べますか。

小宮:やはりまず中国の古典や多くの人に読み継がれている本を繰り返し読むことです。例えば、私は松下幸之助氏の著書『道をひらく』を25年以上、毎晩欠かさず数ページずつ読んでいます。いつ読んでも、100回以上読んでも今なお新鮮ですね。


「経営の原理原則は100年前も、また200年後も変わらない」
 とかく経営のテクニックや現象ばかりを追いかける人がいますが、『道をひらく』に経営のノウハウなんて1つも出てきません。この本の柱にあるのも信念と原理原則の大切さです。

 ここに書かれている経営の原理原則は100年前も、また200年後も変わらないでしょう。経営者は生き方を勉強しなければなりません。それを知った人が成功し始めている。正しい考え方を持ったらもっと良くなります。

 素直さも大切です。一代で上場企業を育て上げた社長や、会社を潰した人などを間近に見てきました。素直、謙虚にものが見られるか。松下幸之助氏は、「人が成功するために1つだけ資質が必要だとすると、それは素直さだ」と言っています。素直でなければ人の話を聞けないし、人の知恵も生かせません。

社長は会社の理念やビジョンの“宣教師”に

『社長の心得』の中で、「全ての社長には、自分ではなく、考え方を求心力とする会社をつくることが求められる」とあります。

小宮:世界を見渡すと、1000年、2000年と続く組織があります。それは宗教団体です。長期にわたり存続する理由は、特定の個人ではなく、考え方が求心力となっているからです。日本航空があれだけ早く再生できたのも稲盛和夫さんの「考え方」を中心とした改革がなされたからでしょう。

 たとえ信念と原理原則で良い会社をつくったとしても、自分がいなくなったら存続できない組織では意味がありません。永続する組織をつくるには、信念と原理原則の重要性を社長自身が理解するだけでなく、社員も身をもって理解しなければなりません。

 その意味で社長は会社の理念やビジョンの“宣教師”にならなければなりません。教祖では駄目です。教祖は自分の都合で教えを変えることができます。でも正しい考え方や信念の重要性は唯一無二のもので個人が変えることはできません。

 社長が宣教師のトップとなり、次の宣教師を育てている。そんな会社は正しい経営が受け継がれ、そう簡単には潰れないのです。

(聞き手、構成は荻島央江)
※この記事は『日経トップリーダー』2014年7月号の記事を再構成しました。


小宮一慶氏が数百社に上る指導経験をもとに、企業が存続・発展するための経営の原理原則を語った『小宮一慶のCD経営大全 耳で読む「社長の心得」』を発行しています。詳しくはこちらをご覧ください。


このコラムについて
トップリーダーかく語りき

自ら事業を起こし数々の試練を乗り越えて一流企業に育て上げる。引き継いだ会社を果敢な経営改革で躍進させる――。 こうした成長企業のトップはどう戦略を立て、実行したのか。そして、そこにはどんな経営哲学があったのか。日経トップリーダー編集部が創業経営者やオーナー経営者に経営の神髄を聞く。


04. 2014年8月25日 14:48:12 : ZDP3F49wTs
センサーの数が同じでも、コントロールするソフトウェアが違う。

これは5年間中国メーカー製ロボット掃除機とルンバを両方使い続けた私の感想だが、センサーの数も種類も機能も中国ロボットが上回っていた。しかし中国ロボットは少しでも複雑な環境だとすぐに使えなくなる。動きもルンバに比べてぎこちなく、家具に体当たりするのも全力だ。ルンバのようにスピードを落として衝撃を和らげる芸当はできない。ルンバはきちんと掃除区域を整理すれば多少の障害や損耗があってもちゃんと働く。中国ロボットは使用二年目くらいで完全に充電ステーションと自動ドッキングできなくなってしまった。でもルンバは4年使った今でも当初とほぼ変わらない機能を発揮する。

日本のメーカーは中国と違いハードウェアだけはルンバに追いついていると信じているが、ソフトウェアの方は全然ダメだと思う。多分新型ステルス機など兵器の分野でも同じ事が言えるのではなかろうか。


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