03. 2014年8月25日 13:36:00
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あらゆるシステム変更が必要だろうなhttp://jbpress.ismedia.jp/articles/print/41530 JBpress>日本再生>安全保障 [安全保障] 少子高齢化が日本にもたらす真の危機とは何か 犯罪増加からこの素晴らしい国を守るための処方箋 2014年08月25日(Mon) 篠田 芳明 「我が国を護るのは我々日本人自身だ」という設問に対し、どのように答えられるだろうか。 「当然のことである!」と普通の日本人なら誰でも即答するであろう。しかしながら、「どの様に護るのかまた何を護るのか」について明確に答えられる人は(私自身もそうであるが)非常に少ないのではないか。 そこで、日本の「何を護る必要があるか、何が大切であるか」を本論の展開を考えるうえで、日本国の特徴と国柄をおさらいしてみたい。 以下、浅学非才を省みず私の得意とする独断と偏見で、思いつくままに日本の特徴を書いてみる。 ●『古事記』『日本書記』が編纂されて以来、日本国には書籍に残るものでさえ約1300年の歴史があり、一貫して天皇家が日本民族の中核家長として尊崇され続けて来た(今年は皇紀2674年)奇跡的とも言える世界最古の一民族国家である。 ●国土の約7割は山岳地帯で耕地面積は少なく、食糧自給率は40%しかない。 ●国土は温帯地域に存在し、四方海に囲まれた海洋国家で、春夏秋冬の四季の変化に富む。 ●活発な火山帯の上にあってユーラシア大陸と太平洋の接線に位置する南北に長い列島国で火山活動・台風・大雪などによる自然災害多発国である。 ●世界陸地の0.25%ほどの島国(約38万平方キロ)でほとんど天然資源を産出しない国土に世界の人口の2%程度(約1億2800万人)の民が居住し、世界の富の17%を産み出す高効率な近代国家である。 ●古来、国民は識字率が高く勤勉で、争い事や犯罪が非常に少ない社会を形成してきた。 ●宗教は多神教的で大半の国民が神仏を崇拝するが、表面上日々の生活までの関与は少ない。 ●政治体制は強権を発動する独裁的な型式を好まず、ソフトな集団合議で運用されてきた。 ●国家存亡の危機が迫ると、国民の多くがその危機意識を共有し一致団結して恐るべき力を発揮する(例えば元弘弘安の役、日清戦争、日露戦争、大東亜戦争、戦後の復興、阪神淡路大震災、東日本大震災への対応などがある)。 ●最近、世界トップクラスの長寿国となり、歴史上類を見ない少子高齢化社会に突入している。 ほかにもいろいろ挙げられると思うが、細部は略して祖先が守り続けてくれたこの日本を後世に伝えるため、最近我々が直面している重要な課題について考えてみたい。 日本独特の伝統文化を護る 日本民族とっていかなる時代であろうと最も重要なことは言うまでもなく独立国家としての平和と繁栄である。 なぜ日本がこれほど長い間、一民族国家として生き延びてきたのであろうか? 私にとって、この歳までそれが大きな疑問であったが、その最大の原因は日本民族が伝統文化を大切にしてきたからであり(戦前の教育では当たり前のこととされていたが、改めて考えて見た結果)その中核に天皇家が国民の安寧と平穏を優しく見守ってくださったことに起因すると確信できるようになった。 島国であったため、外敵の侵入・通過が困難であったことも幸運であるが、天皇家には国民を虐げ、残虐を働き、民を搾取して華美な宮殿に住んで超然と権力・暴力を振るった事例がほとんどないと言え、これは世界の皇帝・王族とは対極的に異なる国家統治の原点で、日本民族は非常に恵まれていたと思う。 それを示す一例を挙げると正月元旦に行われる皇室祭儀に『四方拝』があるが、これは天地四方・山稜を拝して年災を払い、五穀豊穣・宝祚(ほうそ)長久を祈り民の幸を念じるものである。この様な行事を世界の皇帝・王族が最も重要な年中行事として行っている例があるだろうか? まずこのような日本独特の伝統文化は我々が護るべき筆頭であろう。 このような皇室の優しさの下に国民が「人が生きてゆくうえで、幸せや励みとは何か」を自覚し、日本独特の優美な芸術文化が花開いたと思う。 最近のNHK番組だったと思うが、最後の将軍『徳川慶喜』の特集の中に(短時間の挿話であり、メモをしなかったので記憶違いがあるかもしれないが・・・)印象的なことがあった。 それは、明智光秀が謀反で織田信長を誅殺したため京都付近にいた徳川家康が「明智方の追っ手」から逃れた時のエピソードである。 家康は部下数人と鈴鹿山塊を経由して自国、岡崎への脱出行を図ったが極めて危険な状態だったらしい。その難儀を一百姓が救ったとのことである。家康は長年そのことを忘れることなく、天下を取って将軍となってから彼を捜し出して「褒美」を上げた。 驚くことにその褒美とは「金銀財宝」ではなく「徳川の一文字(徳)を代々使ってよい」だったとのことである。 一方、その褒美を将軍様からもらった百姓は感激し子々孫々に至るまで(徳)に恥じない人間修養を家訓として伝え、立派な家系を継承して徳川幕府消滅後の今も栄えているとの話に私は痛く感動した。 日本民族には国家も個人も心の底に、このようなこと、即ち生きて行くうえで「幸せや繁栄を引き寄せるのは『金銀財宝』ではなく、人を励ます『心』や『精神』が最も大切である」と考え、実践してきた伝統があると思う。 その素地は「武士道」などで知られるように古来日本人の教養として永く培われてきた。このようなな事例はほかにも枚挙にいとまがないと思うが「人間としての誇り」や「日本人としての誇り」こそが、繁栄と安定した日本社会を営々と継いで来た源ではないか? 「独行己の陰に恥じず」。戦前は修身の教科書で「人として骨幹となる精神」として教育されていた。従って今後も永続的に日本民族が護るべき「至宝」はこの類の文化・伝統であろうと私は思う。 幸いなことに今日まで日本は幸運な条件が重なってこの様な住み心地の良い国家を運営して来た。 しかし、最近になって国内外の状況が大きく変貌し、この日本の平和と安全を脅かしかねない新たな事態がいくつか起きつつあるように思う。従って、我々はその時々に変化する事象を敏感に察知し、状況に応じた適切な処置や対応をして独立国家としての平和と繁栄および伝統文化を護らなければなければならない。 少子高齢化に起因する危険−(1)犯罪の増加 これまでの日本と違って、まず我が国の危険を招く大きな要因の1つは人類史上初めて経験する少子高齢化社会に突入しようとしていることである。 この明白に迫りつつある事態に対して我々日本人が手をこまぬいて看過すれば当然の報い、すなわち「日本民族の衰亡」へと向かうことは避けられない一大事であろう。 なぜ「少子高齢化社会が危険か?」であるが、それは最近いろいろな事案が発生している兆候が如実に示している。 例えば、老人・子供に関連する犯罪や事件が多発していることである。 1つの重大事故の背後に29の軽微な事故があり、その背景に300の異常が存在する:ハインリッヒの法則 老人については振り込め詐欺、高齢者や独居老人が盗難・詐欺・殺人あるいは孤独死に遭遇することが従来よりもずいぶん増加したように思える。さらに、認知症や体力低下が原因の行方不明者も増しており、今後、高齢化が進む見通しから一層増加するものと思う。 また、若い女性や未成年の子女が凶悪犯罪に巻き込まれる事案も多発している。とりわけ、外国人による凶悪犯罪の著しい増加が最近の特徴である。 一方、犯罪捜査体制の分野を考えると、若い警察官の確保・維持も若年労働力の不足で優秀な人材の確保が困難となり、ますます活動能力が縮小するうえ、核家族と老人比率が高くなって人々の連帯意識の希薄化が一層進み、世間一般人の目撃証言なども得られ難くなる「ダブルパンチ」を受けるであろう。 要するに少子高齢化社会への移行に当たって現状の体制を維持したまま放置すれば日本を待ち受けるのは「犯罪大国」であり、国民の多くが安心して日々の生活を送れなくなる危険性が現実のものとなる。 歴史的に国家の衰亡は外敵によってではなく、多くが「自滅の道を辿ることが大半である」と言われる。 従って、日本がその轍を踏まないように住み良い国家として生き残るための知恵を出さなければならない。 現実に始まっている卑近な例を挙げると、最近、西欧諸国都市部の治安が非常に低下していることである。 西欧先進国はかつて「揺り籠から墓場まで」の行き届いた社会福祉実現に努力してきた。そして、生活が豊かになり3K職場への労働力不足を低賃金の外国人移民労働者に依存する政策を進めてきた。 しかしながら今現在ではその政策が大失敗であったと後悔しているが、時既に遅く、修復が非常に困難のようである。 そもそも、言語・習慣・宗教・教養・文化等全てが異なる人間が混在する社会に安定など望むべくもない。 さらに厄介なことに、高度福祉国家を国是としてきた手前、移民を大量に受け入れた結果、彼らも国民である以上、国民の義務を果たさなくても福祉厚生・人権は守らなければならない。 加えて、移民で得た国籍を利用して母国から家族を呼び寄せて急速に移民人口が増え、元の住民との摩擦が頻発し、治安が極端に悪化したうえ、経済が低下の一途を辿って税収の低迷と増え続ける財政負担になす術がない状態である。 あるサイトの中で、西欧先進国の一市民が「この移民政策を実行に移す前に『我々の街がこれほどの危険な状況になる!』とは誰も言わなかったし、誰一人教えてくれなかった!我々は当時、誰もがバラ色の到来を信じていたのに!」と嘆いていたが「時すでに遅し!」である。 治安が悪化すれば経済どころの話ではないことをこの市民が雄弁に語っていると私は強く印象づけられた。 少子高齢化に起因する危険−(2)自然災害対処 次に少子高齢化によって日本社会が今後一層危険な状態に陥る場面は、自然災害の場面でも考えられる。 阪神淡路大震災、東日本大震災の巨大地震によって引き起こされた甚大な被害のみならず、最近、大小様々な台風・水害・突風・落雷等によって多くの老齢者・弱者・幼少児の死亡・行方不明者が発生している。 東日本大震災では自衛隊が能力限界の10万人も出動したほか、警察・消防・ボランティアなど多くの方々の必死の救援にもかかわらず、多数の死者行方不明者を出した。恐らく生存目安の72時間以内に発見されていれば助かったはずの命も相当数に上ったことであろう。 今後はより一層老齢者・弱者・幼少児が増加する一方、救出に当たる人員の確保がますます困難になることは目に見えており、現状の体制を維持するだけでは一層悲惨な状況になることは、火を見るよりも明らかである。 加えて「火事場泥棒」ならぬ「災害に乗じた悪質な犯罪行為」や「略奪」の発生さえ心配される。 少子高齢化に起因する危険対処の一方策 では、どうするか? 日本社会が少子高齢化から絶対逃げられない現実があり、それが原因で犯罪の多発、自然災害による行方不明者の発見救助の遅れによって多くの命が失われ、それが大きな発端となって国内の治安が悪化するのを従来の体制では阻止できないとすれば、新たな対策を導入しなければならない。 その1つの有力手段に科学技術の活用がある。 例えば、日本に居住する国民はもちろん、在日外国人を含むすべての人にGPS内蔵の情報カードの保持を義務づけ、全国民の個人情報と行動を国家の重要な機能として把握し、情報を蓄積することである。 そして、一度大災害や事件が発生した場合、全国民の安否確認をするとともに、不明者の情報カードが発信する位置データを迅速に探知確認して本人の捜索に当てることができれば様相は一変する。 すなわち、行方不明者と認定されれば行動軌跡を時系列でトレースすることにより該当者の現在地を割り出す事が可能となり、迅速に救出できる。最近のコンピューターの処理能力と情報ネットワークを使えばこのような対策の実現は至って容易であろう。 また、被災して自力で動けなくなり救助を待つ人にとって電磁波が発信される限り、助かる可能性が高いし、その身を案じる家族にとってもこれほど有り難いことはない。 あるいは、平時においても徘徊し行方不明になった人の発見救出は短時間に可能となろう。 さらには、殺人や麻薬取引などの凶悪犯罪・しつこいストーカ行為の捜査にも被害者と犯人の接点が犯行推定時刻において交叉した過去のトレースから短時間に関係者の絞り込みができ、従来なら全く関係のない人が冤罪にされた様なケースも完璧に排除可能となる極めて強力な犯罪捜査体制が構築できる。 最近非常に増加している在日外国人による凶悪な犯罪にも早期発見・犯罪の防止には効果があると思う。 この体制を日本で確立できるとすれば、ほとんどの犯罪の検挙は限りなく完全に達成され、犯行を企てる意図を打ち砕いてしまう。 少子高齢化社会の入り口に立った今、日本は世界に先駆けてこのような体制を確立するべきであり、これが整わなければ、これまでの伝統文化はおろか経済活動さえままならない危険な社会が到来する。 しかしながら、問題は個人情報に関し、過剰に神経質な国民性とその支援団体の猛烈な反対であろう。 個人情報が悪用されればもちろん大問題であり、その秘匿には当然万全を期す必要があるが、悪用を試みるその行為さえこのコンピューター解析の結果から簡単に解明できるセーフティガードを構築すればよいと思う。 また、この導入が善良なる一般市民生活を脅かすことは全くなく、国家で厳重に管理される個人情報が流出することはないが、犯罪に巻き込まれあるいは犯罪に及んだ場合にはすべてが洗い出されることにはなる。 これは2011年に英国で成立した「小児犯罪者情報公開法」いわゆる「サラ法」と言われる考え方につながるかもしれない。 これは「小児犯罪者の履歴情報」の不正使用禁止と守秘義務を課したうえで、差し迫った危険があり、必要と認めた者に公開できる法律であるが、その制定に当たっては国論を二分する大論争になったとのことである。この法律が制定された結果、顕著な成果を挙げ多くの国民の支持を受けているとのことである。 まとめ 本稿では「少子高齢化社会に起因する日本の危機」とその「一対策案」に絞って提言した。 前段で述べた最近の西欧先進国の一市民の悲痛な叫び「この移民政策を実行に移す前に『我々の街がこれほどの危険な状況になる!』とは誰も言わなかったし、誰一人教えてくれなかった!」と嘆いていた言葉を繰り返す。 我々日本民族がこの様な悲痛な叫びを上げる日が来ないように、現在変化している国内外の状態を洞察し、将来の日本をイメージして我が国の総力を挙げて知恵と勇気を発揮して良き伝統文化を護り、内部崩壊を防ぎ、外敵の侵入拒否の対策には万全を期さなければなければならないと思う。 コラム:女性の労働力活用は高い成長をもたらすか=河野龍太郎氏 2014年 08月 25日 10:11 JST 河野龍太郎 BNPパリバ証券 経済調査本部長
[東京 25日] - 高齢化で労働力人口が減り続ける日本において、女性の労働力活用は潜在成長率を高めるカギとされる。 完全雇用に近づく中で、人手不足に直面する企業は女性の採用を強化しており、最近も物流大手2社が女性配送員を2―3年でそれぞれ1万人増強する方針を打ち出している。 15―64歳の人口に占める労働力人口の比率(労働力率)を見ると、男性は84.6%と経済協力開発機構(OECD)加盟国で4番目に高い一方、女性は24番目の65.0%にとどまり、確かに女性の就労にはまだ伸び代がある(ただOECD平均の62.6%よりは高い)。女性の年齢別の労働力率には、出産・育児期の20歳代後半から30歳代に比率が下がる「M字カーブ」が観察され、この年齢層を中心に労働力率を高めることは可能だろう。 米欧でもかつては「M字カーブ」が観測されていたが、1980年代にはほとんど解消されている。出産・育児でキャリアが中断されない働き方は、それまでに蓄積された人的資本の劣化が回避されるため、単に労働供給が増えるだけでなく、生産性上昇を通じ、潜在成長率を高めることが可能となる。 <昨年の労働力人口は6年ぶりに増加> こうした点から見ると、昨年来の女性の就労状況は心強い。2013年の女性の労働力率は48.9%(2012年48.2%)へと上昇したが、中でも労働力の7割強を占める15―64歳の労働力率は65.0%(2012年63.4%)と過去最高を記録し、前年からの上昇幅も1969年以来で最大となった。 0.3%の潜在成長率を大幅に上回る成長(2013年暦年は1.5%、年度は2.3%)が続き、求人が増加したことにより、2011年3月の東日本大震災以降、低迷していた女性の労働力率が一気に高まったのである。この結果、労働力率に15歳以上人口を乗じた労働力人口も、女性は前年比1.4%と増加した。 男性が0.4%減少した分を女性が補い、労働力人口は一国全体でも0.3%と2007年以来のプラスとなっている。今年に入ってからも女性の労働力人口は増え続け、1―6月平均では前年比0.7%となった。この間、男性は0.3%減少したが、一国全体では0.2%とプラスを維持している。 それでは、今後も女性の労働力率が大きく上昇することで、日本の労働力人口の減少を避けることは果たして可能だろうか。楽観的な見方も広がっているが、以下、分析した。 <女性の労働力率は低下トレンドに> まず、日本の労働力人口は1999年から減少傾向にあり、2000年以降、累積で2.3%減少している。ただ、男性が6.0%減少したのに対し、女性は1.9%増加している。これは、1)女性の労働力率の下げ幅が0.4ポイントと男性(同5.9ポイント)より小幅な一方で、2)15歳以上の女性人口が1.9%増加したためである。 女性の労働力率が低下している、というと意外に思われる方も多いかもしれないが、実は女性の労働力率は1991―92年にピークをつけ、その後は低下している。欧米のバブルを背景に輸出ブームに沸いた2000年代半ばに下げ止まりはしたものの、その後も昨年までは低迷したままだった。 仕事を持つ女性が増えているという印象が誤っているわけではない。確かに、女性の労働力率を年齢別に見ると、若年(15―24歳)と高齢者(70歳以上)を除けば、明確な上昇トレンドが観察される。 その背景には、1)1970年代後半から90年代の進学率の上昇で、教育を受けた女性が増えたこと、2)1986年の男女雇用機会均等法や91年の育児休業法の施行で女性の就業を促す制度改正が進んだこと、3)婚姻率低下で労働力率の高い未婚女性が増加したことなどがある。特に男女雇用機会均等法の影響は大きく、同法施行後に学業を終えた世代の女性の労働力率はそれ以前に比べて明らかに高い。 近年、大きな制度改正は行われていないが、労働力率の高い均等法以降の世代が年を重ねることで、各年齢の女性の労働力率は今後も上昇するだろう。これまでのペースで上昇し続ければ、15―64歳の女性の労働力率は、2017年には現在の欧州連合(EU)並み、2020年には米国並みとなり、諸外国と遜色ない水準に達する。 それでは、なぜ女性全体では労働力率が低下しているのか。原因は年齢構成の変化にある。 労働力率は、各年齢の労働力率と各年齢の人口シェア(15歳以上人口に占める割合)に分解できる。2000年以降について見ると、15―64歳の労働力率は5.4ポイントと大幅に上昇(2000年59.6%から2013年65.0%へ)し、65歳以上はマイナス0.6ポイントと小幅な低下にとどまり(14.4%から13.8%へ)、年齢構成に変化がなければ労働力率は全体でも上昇する。 しかし現実には、労働力率の高い15―64歳の人口シェアが低下し(77.2%から68.5%へ)、労働力率の低い65歳以上の人口シェアが上昇したため(22.8%から31.5%へ)、女性の労働力率が全体として低下したのである。 ちなみに、65歳以上の労働力率が低下したのも同じ理由である。健康寿命の長寿化もあって65―70歳の労働力率は上昇しているが、労働力率の低い70歳以上の人口シェアが高まり、これが全体を押し下げている。 <潜在成長率の大幅な向上は期待薄> 残念ながら、15歳以上の人口動態は15年以上前の出生数に規定され、移民の大量受け入れなどの方法を取らない限り変えることはできない。過去20年間、女性の就労が進んでも労働力率の低下を止めることができなかったという厳しい現実に向き合うと、高齢化が進む将来の労働力人口についても楽観はできない。 この先10年について考えると、労働力率を規定する要因のうち、女性の15歳以上人口は累積で2.0%減少する。そして、もう一つの要因である労働力率については、15―64歳の労働力率がこれまで通りの速いペースで上がり続けたとしても、15―64歳の人口シェアが今より5.1ポイント低下(65歳以上の人口シェアが5.1ポイント上昇)する影響を相殺しきれず、2013年の48.9%から2023年には47.9%へと低下する。この結果、女性の労働力人口は10年間で3.9%減少することになる。 一方、男性については、各年齢の労働力率も上昇していないため、労働力人口は女性以上に減少する。筆者の試算では、男性の労働力人口は今後10年間で累積7.3%減少し、一国全体の労働力人口は5.8%減少する(年率では0.6%減少)。 ちなみに、減少するのは労働力人口だけではない。女性や高齢者の労働時間は15―64歳の男性よりもかなり短いため、女性や高齢者の比率が高まるにつれ、平均労働時間も短くなり、これも労働投入の減少につながる。 筆者の試算では、2010年代に平均労働時間は年率0.2%減少し、労働人口と労働時間を合わせた労働投入は年率0.8%のペースで減少する。女性の労働力の活用だけでは男性の減少を穴埋めできない。 繰り返すが、女性の労働力率を高める努力は重要である。仮に15―64歳の女性の労働力率が2013年の水準にとどまれば、10年後の女性の労働力人口は8.1%減少し、一国全体の労働力人口も7.6%(年率0.8%)減少する。潜在成長率を少しでも高めるために、女性の労働参画を阻害する税制や社会保障制度を改革しなければならない。 ただ、15歳以上人口そのものが減少している上、高齢化で労働力率の低い65歳以上人口が増加、労働力率の高い15―64歳人口が大きく減少するため、女性の労働力人口の減少トレンドは変わらない。昨年来の好況で女性の労働力人口が急増したため、このまま増加トレンドに転じると期待する向きもあるが、好況は永続しないため、いずれ訪れる不況局面で女性の労働力人口は減少し、景気循環を均(なら)して見れば減少トレンドだった、ということになるだろう。 従来から述べている通り、人口動態を考えれば、労働力人口の減少は不可避であり、それゆえ、潜在成長率を大幅に引き上げられると期待するのは現実的ではないし、そうした高い成長の継続を前提に社会保障制度や財政制度を運営するのも妥当ではない。 *河野龍太郎氏は、BNPパリバ証券の経済調査本部長・チーフエコノミスト。横浜国立大学経済学部卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)に入行し、大和投資顧問(現大和住銀投信投資顧問)や第一生命経済研究所を経て、2000年より現職。 |