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2014年08月20日
経営危機に陥っているスカイマーク(コード・9204)に対し、アジア最大の格安航空会社(以下「LCC」)であるマレーシアのエアアジアが、経営支援の検討に入ったと報道されています。
とりあえずは本日(8月19日)のスカイマークの株価はストップ高(50円高)の230円となりましたが、そんな単純なものでもありません。
スカイマークの窮状については8月6日付け「このままだとエアバス社に食われてしまうスカイマーク」に書いたので繰り返しませんが、エアアジアは2001年12月にトニー・フェルナンデス・現CEOが破綻状態の航空会社を買い取って急成長させたものです。
格安運賃を導入してマレーシア航空の独占状態を打破し、2003年には早くも黒字化して国際線に進出しました。結果的にはマレーシア航空を経営危機に追いやってしまいました。
エアアジアは2011年7月にANAと合弁で国内初のLCであるエアアジア・ジャパンを設立したのですが、2013年6月に合弁を解消、一時日本から撤退しました。そして本年7月1日に楽天、ノエビアなどを寄せ集めて新会社を設立し、日本に再上陸すると発表したばかりでした。
日本の航空法では、外国企業は日本の航空会社に3分の1以上出資できないための措置ですが、楽天やノエビアなどは「航空の素人」なので、トニー・フェルナンデスの独壇場となります。
航空法の外資規制では、外国企業が出資する航空会社が日本の航空会社に出資するときに制限がありません。つまりアジア最大のLCCであるエアアジアが、スカイマークの経営支援の名を借りて経営権を獲得してしまうと、明日からでも日本で営業ができることになります。スカイマークはドル箱の羽田発着枠を36も保有しています。
日本の航空業界は、1998年に新規参入が認められてスカイネット・アジア、スターフライヤー、エア・ドゥ、スカイマークが開業しました。ところが2000年に航空運賃が自由化されると、JALとANAは新規参入会社の路線だけを狙い撃ちで価格を引き下げた結果、スカイネットとエア・ドゥが経営破綻してANAの傘下に入り、スターフライヤー(コード・9206)もANAの実質傘下です。
つまり独立系で生き残った新規参入の航空会社は、スカイマークだけだったことになります。
一方で日本のLCCは、2011年に前述のエアアジア・ジャパン(合弁解消後はANA傘下のバニラ・エア)、ピーチ・アビエーション(ANA傘下、比較的健闘している)、ジェットスター・ジャパン(カンタス航空、JAL、三菱商事が3分の1ずつ出資して設立、不思議なくらいの赤字)の3社が営業を開始しました。
ところが日本のLCCは、競争状態により航空運賃全体の水準を引き下げるという「世界のLCCの役割」を全く果たしていない、JALやANAや官僚の「天下り先」でしかない存在です。
要するに日本の航空会社は、どこまで行ってもJALとANAの寡占状態で、手厚い航空行政に守られた「何の刺激もないぬるま湯経営」が続くことになります。
本誌は外国企業が日本市場を「荒らす」ことは決して好ましいとは思っていませんが、こと航空会社においては「勢いのある外国企業」が参入して、いい意味での競争状態からサービスを向上させるべきと考えます。
それが急拡大しているLCCであるエアアジアのトニー・フェルナンデスとなると、JALもANAも航空族議員も官僚も「日本の空を守ろう」そして「スカイマークは外資に売り渡してはならない」など、急に大合唱となりそうです。
ところがトニー・フェルナンデスがスカイマークの経営危機を救ってくれると安心することも単純すぎます。
トニー・フェルナンデスの狙いはスカイマークの路線だけのはずです。常識的にはスカイマークが破綻してしまえば路線も召し上げになり、結局はJALとANAが「焼け太る」だけなので、形式だけでもスカイマークを「延命」させなければなりません。
しばらくは政治家や官僚を巻き込んだスカイマークの争奪戦になりそうですが、いずれにしてもスカイマークの株主責任は「真っ先」に問われることになるはずで、株価はあまり期待しない方がよさそうです。
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