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http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NANARO6S972E01.html
8月22日(ブルームバーグ):
横浜市神奈川区の産業集積地の一角に構えるJVCケンウッド本社。中に入ると受付には明かりがついておらず、笑顔で迎えてくれる人は誰もいない。いつもと変わらない営業日の風景だという。
かつてVHSビデオを開発し、ソニーのベータマックスと熾烈な規格争いを繰り広げた企業は、この5年間に3度の最終赤字を計上。ビデオカメラや液晶テレビ、オーディオなどの家電事業を大幅に縮小させ、今ではカーエレクトロニクス事業が収益の柱だ。
ソニーやシャープ、そしてJVCケンウッド−。世界を席巻した日本の電機産業は衰退が止まらず、貿易統計 にもその影を色濃く残している。日本の電機の貿易黒字は2007年を境に急激に縮小に向かい、UBS証券は早ければ来年にも赤字に転じる可能性があると予想する。
電子情報技術産業協会総合企画部の高橋智子調査グループ長は、電機産業が日本経済をリードしてきたことを考えると、同産業の凋落は「重大な問題だ」と指摘。空洞化は既にメディアなどで取り上げられているが、それが日本経済に深刻な影響をもたらすという認識には乏しい、と話す。
同協会によると、14年の電機の国内生産はおよそ12兆円と、ピークをつけた1997年の半分以下の水準にとどまる見通し。財務省の貿易統計によると、直近ピークの07年に7.6兆円だった電機の貿易黒字は、13年には1.7兆円まで縮小。14年は6月時点で4200億円と前年同月の1兆円を大きく下回っている。
競争力低下
企業による生産拠点の海外移転が全般的な輸出低迷の一因となっているものの、みずほ証券の末広徹マーケットエコノミストは、電機に関しては「生産の海外シフトではなく、企業の競争力低下が主因」と分析する。法人企業統計などによると、電機産業の海外生産比率は07年以降、概ね2割程度で変わっていない。
JVCケンウッド広報・IR部の遠藤勇部長は、事業環境の変化に対応する戦略を実行するために、「まずは利益を安定的に出して、有利子負債を減らさなければならない」と話す。同社は、一般消費者向けではなく、企業向けのビジネスに事業をシフトしているという。
同協会によると、日本の映像機器や音響機器の輸出は13年には6500億円と07年から6割以上減少した。一方、携帯電話の輸入は1.6兆円と同期間に8倍に拡大。07年は、米アップルがiPhoneを世に送り出した年に当たり、遠藤部長はスマートフォンが携帯音楽プレーヤーなど既存の製品に取って代わったことが、同社のビジネスに影響を与えたとの認識を示す。
アニマルスピリッツ
産業創成アドバイザリーの佐藤文昭代表取締役は、日本の電機産業の衰退は、企業数が多過ぎることに伴う「産業構造の問題」と分析。国内の過当競争により価格が下落したことで利益を上げられず、限られた資金や技術者を分散させたことで、個々の企業が急速に拡大する新興市場に十分な資源を投入できなかったことが要因と見ている。
1981年から黒字を維持してきた日本の貿易収支は11年に赤字に転じ、13年には赤字額が11兆円まで拡大した。東日本大震災による原子力発電所の運転停止で、石油や天然ガスなど鉱物性燃料の輸入が3年間で10兆円増えたことが主因だが、電機産業の黒字縮小も大きな要因となっている。
JPモルガン証券の足立正道シニアエコノミストは、「円安など外部環境の変化では、もはや輸出は回復しない」と指摘。日本の電機産業が再び「イノベーションを主導し、世界に製品を売るためには、企業がこの20年間失っていたアニマルスピリッツを取り戻す必要がある」と話す。
記事についての記者への問い合わせ先:東京 岩本正明 miwamoto4@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Brett Miller bmiller30@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net上野英治郎, 持田譲二
更新日時: 2014/08/22 06:45 JST
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