02. 2014年8月23日 09:36:55
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FRB、労働市場の一部の問題にとらわれ過ぎ=フィラデルフィア連銀総裁 2014年 08月 23日 08:19 JST [ジャクソンホール(米ワイオミング州) 22日 ロイター] - 米フィラデルフィア地区連銀のプロッサー総裁は22日、連邦準備理事会(FRB)は労働市場における一部の問題にとらわれ過ぎるのではなく、市場が利上げに備えることができるよう取り組んでいく必要があるとの見解を示した。プロッサー総裁は当地でロイターに対し、金融政策の引き締めは遅過ぎるよりは早過ぎる方が良いとも強調。利上げに向け、FRBはまず、パートタイム就業者などの労働市場における一部の問題をすべて解決することはできないという事実を認識する必要があると語った。 総裁は「FRBは雇用問題に焦点を絞るあまり、非常に困難な問題にがんじがらめになってしまっている」とし、「金融政策を用いて、経済的要因によるパートタイム就業者の数を減らすことができると論じている文献も理論も存在しない」と語った。 利上げ時期については「ぎりぎりまで待ち、悪い結果を得るよりは、早期の利上げに踏み切り、緩やなペースで進めていくことを支持する」と述べた。 また、FRB当局者が出口戦略に関し、市場にどの程度の詳細を伝達していくかについて討議していることを明らかにし、「今後1、2回の会合で合意に達することができるよう注力している」と述べた。 (内容を追加しました)
ジャクソンホールでのイエレン議長講演要旨 2014年 08月 23日 01:43 JST [22日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は22日、各国の中銀総裁らが集まるカンザスシティー地区連銀主催のジャクソンホール会議で講演した。
講演原稿の要旨は以下の通り。 ◎講演原稿 <労働市場回復と金融政策> 回復が進むなか、労働市場にどの程度の緩みが残存するかを判断する上で、米連邦準備理事会(FRB)の二大責務と一致する雇用水準をめぐりかなりの不透明性が存在するため、ニュアンスを読み取ることが一段と必要になっている。 従って、フォワードガイダンスの改定で、政策決定は単一の指標に基づかず、労働市場や物価動向、金融情勢に関する幅広い情報を考慮するという連邦公開市場委員会(FOMC)の見解を再確認した。 <労働参加率> 2008年以来見られている労働参加率の低下には、1)定年退職、2)障害、3)学校への入学、4)労働者の失望を含むその他の要因、という4つの要素が大きくなったことが背景として挙げられる。 これらのうち、労働市場が軟調だったことが労働者の失望が増大した直接の要因だった可能性が高い。このため、労働需要がさらに増加し失望した労働者の多くが労働市場に呼び戻されると予測することは理にかなっている。 実際、労働参加率が昨年終盤から横ばいとなっていることは、労働市場をめぐる状況に著しい改善が見られていることを受け、失望した労働者が労働市場に戻りつつあることを一部反映している可能性がある。 これが事実なら、労働参加率の循環的な低下は和らいだ可能性がある。 <パートタイム就業者> 労働人口の5%近くを占めており、失業率に対して、また歴史的標準と比較してパートタイム就業者の数は多い。そのため現在の失業率水準は、労働市場に残る緩みの度合いを過小評価している、との見方を裏づける根拠の1つとなっている。 経済的理由からパートタイム職に就いている人々の割合が長期的にどのような水準に落ち着くのかを見通すことは困難だが、選択の余地がなかったパートタイム就業者がリセッション(景気後退)時から急増し、その後も減少ペースが鈍いことは、景気循環的な要因が大きいことを示唆している。 <雇用> 過去1年に求人件数が大幅増加したことは、労働市場状況の顕著な改善を示しているが、求人率は景気後退時の低下からやや持ち直したに過ぎない。求人件数の増加により、雇用は加速する見込みだが、求人状況の改善に伴い雇用が伸びない場合は、企業が依然として採用増を正当化するほど成長見通しが明るくないとみていることを示しているかもしれない。一方で、雇用が抑制されている状況は、企業が適正人材を見つけることが難しい状況を示唆している可能性がある。 しかしながら、証拠を踏まえると、総じて弱い総需要が、景気後退とその後の回復期における離職、雇用水準の低迷に大きく寄与していると判断している。 <賃金インフレ> 実質賃金の伸びはおおむね横ばいで、労働生産性よりも低い伸びにとどまっている。このようなさえない賃金の動向は、名目賃金がインフレに大幅な上方圧力を及ぼすことなく、一段と速いペースで上昇していく可能性を示唆している。 また、賃金動向が歴史的に労働市場のひっ迫状況に敏感なことを踏まえると、最近確認されている名目および実質賃金の動向は、労働情勢が失業率によって示唆されているよりも軟調な状況にあることを示している。 <長期失業> 長期的に失業している労働者、および労働市場から脱落したものの景気が力強さを増した際に復帰しようとしていると思われる労働者は、再雇用に向け著しい障害に直面している。 こうしたケースでは、労働市場がさらに改善すれば、完全雇用が達成される前に一時的に賃金圧力が強まる可能性がある。 <労働市場の緩み> われわれの目標に景気状況が近づくにつれて、FOMCの関心事項は、残存する緩みの程度、緩みがどの程度の速さで解消するか、つまりどのような条件下で異例の緩和策縮小を始めるべきかとの問題に自然と移りつつある。 これまでの私の発言で明らかなように、緩みの評価は幅広い指標に基づく必要があり、労働市場の循環的、構造的影響について困難な判断を要する。 <金融政策> このところの連邦公開市場委員会(FOMC)声明で示している通り、政策スタンスは、最大雇用とインフレ率2%というわれわれの目標からどの程度離れているのか、また、これらの目標達成に向けどの程度のペースで進捗しているのかに関するわれわれの評価により導かれる。
日銀、物価目標達成まで超緩和策継続 経済見通し維持=黒田総裁 2014年 08月 23日 08:07 JST [ジャクソンホール(米ワイオミング州) 22日 ロイター] - 黒田東彦日銀総裁は22日、2%のインフレ目標を達成するまで非常に緩和的な金融政策スタンスを維持すると言明した。
経済シンポジウムが開かれているワイオミング州ジャクソンホールで、記者団に対して述べた。 4─6月期の国内総生産(GDP)は落ち込んだものの、消費税の反動は多少和らいでおり、雇用や名目賃金、企業の設備投資は底堅いと指摘。「輸出はやや弱いが、内需は基調としてしっかりしている」とし、経済見通しを変える必要はないと語った。 さらに、世界経済の見通しが良好なことを踏まえ、日本の輸出も段階的に持ち直すとの考えを示した。 米経済については、寒波の影響から脱して力強く回復しており、基本的に好ましいとした。 2%の物価安定目標については、達成に向け順調に進んでいるがまだ道半ばだとし、目標達成が困難な場合はちゅうちょなく調整するとした。 NY外為市場=ドル一時104円台、FRB議長講演受け 2014年 08月 23日 08:58 JST [ニューヨーク 22日 ロイター] - 22日終盤のニューヨーク外為市場ではドルが上昇し、対円で一時104円台に乗せたほか、主要通貨に対しては約11カ月ぶりの高値をつけた。イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長がこの日、ワイオミング州ジャクソンホールで行った講演は、通常よりもハト派色の薄い内容と受け止められた。 イエレン議長は、労働市場に根強い緩み(スラック)が存在するものの、労働市場の回復速度が速まれば利上げ時期も前倒しとなる可能性があると述べた。 ドル/円JPY=は一時104.18円と約4カ月ぶりの高値をつけた。その後は0.1%高の103.90円。 主要6通貨に対するドル指数.DXYは82.456と昨年9月以来の高値をつけた。その後は0.2%高の82.315。 対ユーロでは1.3221ドルと11カ月ぶりの水準に上昇。その後は0.3%高の1.3246ドル。 デイリーFX・ドットコムの為替アナリスト、クリストファー・ベッキオ氏は、FRBのハト派姿勢が明らかに後退し始めているとした上で、「イエレン氏が発した、あいまいではあるが重要なメッセージは、とりわけ労働市場がさらに急速に回復し始めれば、FRBは市場の予想以上に早く利上げに踏み切る可能性があるということだ」と指摘。このことがドルの押し上げにつながったと述べた。 米国株が弱含み、ウクライナ情勢緊迫化などで 2014年 08月 23日 08:44 JST [ニューヨーク 22日 ロイター] - 22日の米国株式市場は、ウクライナ情勢が再び緊迫化したことに加え、イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長が講演で利上げについて手がかりを示さなかったことで、おおむね弱含んで終了した。
ダウ工業株30種.DJI終値は38.27ドル(0.22%)安の1万7001.22ドル。 ナスダック総合指数.IXICは6.45ポイント(0.14%)高の4538.55。 S&P総合500種.SPXは3.97ポイント(0.20%)安の1988.40で取引を終えた。 週足では、ダウが2%、S&Pが1.7%、ナスダックが1.6%上昇した。 ロシアの人道支援物資を運ぶトラックはこの日、ウクライナ政府の許可なしに国境を通過し、ウクライナのポロシェンコ大統領は「重大な国際法違反」と非難した。 ジャネイ・モンゴメリ・スコットの首席投資ストラテジスト、マーク・ルシーニ氏は、支援物資の輸送は赤十字国際委員会(ICRC)の監督の下で行われたのではなく、ロシアが一方的に実施したのではないかとの見方から、市場心理が若干不安定になったとしている。 この日はまた、ワイオミング州ジャクソンホールで開かれているカンザスシティー地区連銀主催の経済シンポジウムでイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長とドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁が行った講演も市場を圧迫。 イエレン議長は、米労働市場は依然として景気後退の影響を払しょく仕切れておらず、FRBは慎重に利上げ開始時期を見極めていく必要があると述べたものの、「適切な政策を策定するための単純なやり方はない」と強調、FRBがゼロ金利政策を解除する時期については手がかりを与えなかった。 個別銘柄では、好決算を発表した小売のロス・ストアーズ(ROST.O)が7.4%高。S&P小売株指数.SPXRTは0.6%上昇した。 コーヒーマシン販売大手の米キューリグ・グリーン・マウンテン(GMCR.O)は13.3%高。ナスダックの押し上げ要因となった。食品大手クラフト・フーズ・グループ(KRFT.O)との契約調印が好感された。 電子部品メーカーのペレグリンセミコンダクター(PSMI.O)は62.9%と急騰。村田製作所(6981.T)が同社の未保有分株式を現金4億6500万ドルで取得し、同社を買収すると発表したことで買いを集めた。 BATSグローバル・マーケッツのデータによると、すべての米取引所の合算出来高は約41億株で、過去5日間の平均である51億株を下回った。 (カッコ内は前営業日比) ECB、追加策行う用意=ドラギ総裁 2014年 08月 23日 08:36 JST [ジャクソンホール(米ワイオミング州) 22日 ロイター] - ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁は22日、6月に発表した措置がユーロ安に支えられ、需要を押し上げると確信していると述べるとともに、ECBとして追加策を講じる用意があると言明した。 ワイオミング州ジャクソンホールで開かれているカンザスシティー地区連銀主催の経済シンポジウムで講演した。 成長に関する最近の指標は域内経済が「一様にぜい弱」であることを裏付けているとし、緩和的な金融政策スタンスを長期間維持する姿勢を強調した。 その上で「6月に発表した一連の対策が、実際にわれわれの目指すところの需要押し上げにつながるものと確信しており、われわれには政策スタンスをさらに調整する用意がある」と語った。 また「中長期のインフレ期待の強固な抑制を確保すべく、ECB理事会は非標準的な手段をも活用する方針だ」と表明。ただし、そのタイミングや条件については触れず、焦点の量的緩和(QE)についても一切言及しなかった。 為替市場では、ユーロEUR=がこの日、昨年9月以来の安値をつけたが、総裁は「為替相場はすでに総需要とインフレの双方を下支えする動きとなっており、それは欧米間で方向性の異なる政策によって継続するものと予想される」と述べた。 また、欧州の諸問題を解決し得るのは財政政策でも金融政策でもなく、労働市場の弾力化など各国政府による構造改革の推進にかかっていると強調した。 (内容を追加しました) ECB、インフレ一段と低下すれば「あらゆる手段」行使=総裁 2014年 08月 23日 08:14 JST [ジャクソンホール(米ワイオミング州) 22日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は22日、欧州でインフレが一段と低下すれば物価安定に対するリスクとなるとの考えを示し、そうなればECBは対処するために「利用可能なあらゆる手段」を行使すると述べた。 ドラギ総裁は、「ECB理事会はこうした動きを認識し、中期的な物価安定を確保するために、責務の範囲内において利用可能なあらゆる手段を行使する」と述べた。 ただ、このところの欧州のインフレ低下については、エネルギー価格やウクライナ危機などの一時的な要因によるものとの認識を示した。 同総裁は米ワイオミング州ジャクソンホールで開かれているカンザスシティー地区連銀主催の経済シンポジウムに出席している。 コラム:クロス円が増幅するドル円の上昇ポテンシャル=亀岡裕次氏 2014年 08月 22日 18:10 JST 亀岡裕次 大和証券 チーフ為替アナリスト [東京 22日] - 為替相場を決める要因は、市場のリスク許容度という全体要因と、各国金利などの相対要因だが、両者は実際のところ相場にどのような影響を与えているのだろうか。 ドル円を「ドル実効為替レート」と「ドル以外の通貨の対円レート」に分解すると、後者(クロス円にほぼ近い)は時折大きく変動しつつも長期的には上昇トレンドを形成してきた。 クロス円の上昇トレンドは、市場が傾向的にリスク選好にあったことを示す。なぜなら、世界株価が上昇するようなリスク選好時には、円に対して他のすべての通貨が上昇する傾向にあるからだ。リスク選好時には日本に比べ他国の金利が上昇しやすいこともクロス円の上昇に寄与するが、いずれにせよリスク選好がクロス円上昇の背景にある。 そのクロス円が一時的に上昇トレンドをやや割り込んだ動きは、市場がリスク回避に傾いたことを示す。ただし、8月中旬以降はクロス円が急上昇して、再び上昇トレンドに回帰している。 一方、「ドル実効為替レート」にはトレンドが見出しにくいが、今年7月以降は上昇している。7月は、株高などリスク選好がドル安に作用した(リスク許容度が上昇すると、ドルは円以外の多くの通貨に対して下落しやすい)が、米国金利上昇がそれ以上にドル高に作用したため、ドル実効為替は上昇。8月中旬にかけては、株安などリスク回避のドル高効果が、米金利低下のドル安効果をやや上回り、ドル実効為替がやや上昇。その後は、再び米金利上昇のドル高効果がリスク選好のドル安効果に勝り、ドル実効為替は上昇した。最近のドル実効為替は、主に米金利動向に左右されている。 総合すると、7月は、リスク選好でドル以外の通貨の対円レートが上昇したうえに、米金利上昇でドル実効為替も上昇したので、ドル円が上昇。7月末から8月中旬にかけては、リスク回避によるクロス円の下落が、ドル実効為替の上昇を打ち消し、ドル円はやや下落した(リスク回避時には、米金利低下の効果もあって、ドル以上に円が買われてドル円が下落しやすい)。 その後は再び、リスク選好によるクロス円の上昇と、米金利上昇によるドル実効為替の上昇から、ドル円が上昇した。ドル実効為替とクロス円の動きが反対方向だとドル円は小動きになるが、両者の動きが同方向になるとドル円は変動しやすい。 <ドル円予想の鉄則> 米国金利がドル円相場の行方を左右するという考え方があるが、はたしてそうだろうか。米2年国債利回りとドル実効為替レートの動きを比較すると、2013年は連動性が高く、14年は連動性が低いように見える。 13年は米金利上昇とともに株価が下がり、米金利上昇とリスク許容度低下がともにドル高に作用した。これに対し、14年は米金利上昇とともに株価が上がるか、米金利低下とともに株価が下がる局面が多く、金利上昇のドル高をリスク許容度上昇のドル安が打ち消し、金利低下のドル安をリスク許容度低下のドル高が打ち消した。つまり、米金利とリスク許容度が順相関ならば、ドル実効為替レートはリスク許容度の影響を受けて米金利と連動しにくくなるのである。 米金利とドル以外の通貨の対円レートの動きを比較すると、13年12月以前は連動性が低く、それ以降は連動性が高まったように見える。前述のように、前者は米金利とリスク許容度が逆相関、後者はそれが順相関に近く、クロス円はリスク許容度との連動性が高いためである。 ドル円相場は、基本的に米金利よりもリスク許容度、ドル実効為替よりもクロス円と連動するケースが多く、特に米金利とリスク許容度が順相関の場合にクロス円と連動しやすくなる。ただし、今年2月以降のようにクロス円の動きが小さいときなどには、ドル円はドル実効為替と連動しやすくなることもある。リスク許容度よりも米金利に影響されてドル実効為替が変動しやすくなる場合である。 ドル円相場の先行きを考える場合には、リスク許容度とクロス円の動きを軸に考えつつも、それらの変化が小さいと見る場合には、米金利やドル実効為替の動きを考えるべきだ。 <リスクオンの円全面安へ> これまでのところ、米金利とクロス円は基本的に順相関であり、米金利上昇が株安などのリスク回避を招く状況にはない。景気回復が進まない一方で米金利上昇が加速すれば、リスク回避を招くことになるが、そうなってはいない。米景気回復が進んでいるうえに、米金利は上昇が加速する状況にはない。クロス円が再び上昇トレンドに回帰していることは、市場がリスク選好のトレンドにあることを示している。 今後、米金利の上昇ペースが大幅にならないうちは、リスク回避を懸念する必要性は低いだろう。8月上旬にかけてウクライナやイラクをめぐる地政学リスクでリスク回避に傾いたが、VIX指数でみた先行き懸念の高まり(リスク許容度の低下)は収まりつつある。 一方、米金利とドル実効為替の順相関がやや高まっている。通常は、米金利が上昇(低下)しながらリスク選好(回避)になる場合が多く、米金利上昇(低下)のドル高(ドル安)とリスク選好(回避)のドル安(ドル高)が相殺しあって、ドル実効為替が大きくは変動しにくい。 しかし、米金利が上昇してリスク回避に傾くと、米金利上昇とリスク回避がともにドル高に作用して、米金利とドル実効為替は明確な順相関になる。米金利が低下してリスク選好になる場合も、米金利とドル実効為替は明確な順相関になる。今はそうした状況にあるわけではないが、米金利が上昇した際のドル高効果が、リスク選好のドル安効果を上回り、米金利とドル実効為替の順相関が高まっている。 前述のとおり、米金利上昇がリスク回避を招くことなく、リスク選好状態にある。あくまでもリスク選好のドル安効果が弱いのであり、米金利上昇によるドル高効果(ドル実効為替上昇)とリスク選好による円安効果(クロス円上昇)が重なり、ドル円は上昇している。今後、リスク選好のドル安効果が強まってドル実効為替が下落に転じても、それ以上に円安効果が強まってクロス円の上昇ペースが上がり、ドル円の上昇は続くだろう。 今は「円安」より「ドル高」が優勢だが、リスク許容度の高まりによって「ドル高」より「円安」が優勢になっても、ドル円の上昇は続くということだ。 多くのメンバーが雇用増で利上げが早まる可能性があると判断、との米連邦公開市場委員会(FOMC、7月29―30日開催)議事要旨を受けて、足元では、早期利上げ観測が高まり、米金利とドル実効為替の上昇がドル円の上昇を主導している。景気見通しの改善がないなかで早期利上げ観測が急浮上すると、米金利上昇がリスク許容度を下げて円高に作用し、クロス円もドル円も上昇は続きにくい。 しかし、今回は米国景気見通しの改善を伴うので、リスク許容度は上昇を続けやすく、クロス円とドル円の上昇は継続されやすいだろう。「米金利上昇によるドル高」だけならドル円の上昇は限定的となろうが、今回はそうではなく、「リスク許容度上昇による円安(クロス円上昇)」を伴う状況が続き、ドル円の上昇は大きなものとなるだろう。 *亀岡裕次氏は、大和証券の金融市場調査部部長・チーフ為替アナリスト。東京工業大学大学院修士課程修了後、大和証券に入社し、大和総研や大和証券キャピタル・マーケッツを経て、2012年4月より現職。 |