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スカイマーク、行き詰まった異端経営、買収観測も浮上 安全ミス続出で国会招致の過去も
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140819-00010004-bjournal-bus_all
Business Journal 8月19日(火)3時0分配信
国内3位の航空会社、スカイマークは2014年4〜6月決算(単体)で、継続企業の前提(ゴーイングコンサーン)に「重要な疑義」があると明記した。欧州エアバスと超大型機「A380」の購入交渉が決裂し、巨額の解約違約金の負担が発生する恐れがあるとする監査意見を反映した結果だ。
スカイマークは国際線の参入を目指し2011年、エアバスとの間で「A380」6機を総額1915億円(現在価格)で購入する契約を結び、14年10月から19年12月まで順次受け取る予定だった。だが、円安で購入価格の負担が増したことやLCC(格安航空会社)との競争激化による業績悪化から、6機のうち2機の購入時期を先延ばし、4機を解約する案をエアバスに打診、今年4月から協議を続けてきた。
エアバスは契約を変更する条件として、スカイマークが大手航空会社の傘下に入ることを求めた。だが、スカイマークが要求を拒否したため、エアバスから契約解除を通告され、700億円の違約金の支払いを求められた。最終的に6機全機の購入を断念し、前払い金である250億円が「(スカイマークに)戻る可能性はかなり薄い」(西久保愼一社長)という。さらに、エアバスが求める違約金が700億円規模に上るため、経営がさらに悪化する懸念が強まっている。
スカイマークの4〜6月期決算の売上高は前年同期比1.5%減の181億円、純損益は57億円の赤字だった。15年3月期の通期見通しの売上高は前期比21.5%増の1044億円を据え置いたが、「(契約解除の)業績への影響は見積もることが困難」として、3億5400万円の黒字(14年3月期は18億円の赤字)としていた純利益の見通しを「未定」とした。数百億円規模の赤字になる可能性があるとみられている。
「円安によるコスト高を読み切れなかった経営の甘さがあった」と西久保社長は述べたが、航空業界内ではスカイマークの突然の失速を、驚きをもって受け止める向きは少ない。同社の独自経営は、いずれ行き詰まるとみられていたからだ。
●以前より、安全面・公共面で批判も
西久保愼一氏は1978年に神戸大学工学部化学工学科を卒業して大同塗料に入社。その後、さまざまなネットビジネスを手掛け、96年12月にインターネット接続業に進出した。ネットバブルの追い風を受けて2000年6月にナスダック・ジャパン(のちの大証ヘラクレス、現・東証)にネット接続会社、ゼロの株式を公開した。上場した際、持ち株の一部を売却し、約90億円の現金を手にした。これがスカイマーク買収の軍資金となった。
04年1月、西久保氏はスカイマークの社長に就任し、05年6月の株主総会で創業者の澤田秀雄氏が退任してからは会長も兼任した。発行済み株式の47.3%を保有する西久保氏は、名実ともにスカイマークのオーナー経営者になった。
スカイマークの経営姿勢に対しては以前から、安全性や公共性よりも株式の時価総額(株価×発行株式数)を重視しているとの批判も寄せられていた。赤字を理由に、開設している路線から突如撤退することもあり、公共性を無視しているとの指摘もあった。
06年4月11日には、整備士不足によって整備ミスが相次いだことを受けて、衆院国土交通委員会は西久保氏を参考人招致して安全体制などを質疑した。この時の西久保氏は、「経営を引き受けた時、累積債務は100億円を超えていたが、いまではスカイマークの時価総額は330億円」と胸を張ったが、議員が「時価総額がいくらだろうが、乗っている側には関係ない」と反論される一幕もあった。
そんな航空界の異端児である西久保氏は10年12月、悲願の国際線への進出計画を発表した。11年春にはエアバスと世界最大の旅客機「A380」を6機購入する契約を締結。さらに9機を追加購入して、15機体制で世界の11都市と日本を結ぶ壮大な青写真を示した。A380は1機280億円(当時の発表数字)。国際線進出のために日本航空を退職したパイロット、客室乗務員など470人を大量採用するとした。
スカイマークはA380に関して機材を一度リース会社へ売却後、ただちにリース契約を結んで使用する「セール&リースバック」方式とすることを検討していたが、リスクが大きすぎるとしてこのスキームに応じるリース会社はなく、スカイマークが自ら取得した。
●くすぶる買収観測
スカイマークは無借金経営を誇っているが、大手商社関係者は「スカイマークにカネを出すところはないだろう」といい、裏を返せば同社に融資する銀行がどこにもなかったという見方もある。
資金繰りのための新たな銀行融資が見込めない中、早くも業界内での関心は、どこがスカイマークの買収に名乗りを上げるかという点に集まっている。スカイマークの資産は、羽田空港に36の発着枠を持っていることだ。羽田空港の国内線は1枠で年間20億円の売り上げがある。スカイマークを傘下に収めれば、それだけで年間720億円の営業収入が期待できるわけだ。エアバスの違約金700億円を負担することになるとM&A(合併・買収)には1000億円程度の資金が必要だ。それでも羽田空港の発着枠が手に入れば数年で元が取れる。
日本航空(JAL)は会社更生法による経営再建が終結して、やっと立ち直ったばかり。全日本空輸(ANA)を傘下に持つANAホールディングスは国内線から国際線に軸足を移しており、国際線を持たないスカイマークを巨額の負債を抱えたまま買収するメリットは低い。
買収する可能性があるとするならば、今年エアアジア・ジャパンを設立したマレーシアのLCC、エアアジアグループだ。楽天と共同で日本市場へ再参入するエアアジアは、中部国際空港を拠点として15年6月に日本国内での就航を目指している。将来的には羽田空港での発着枠獲得に意欲を燃やしており、スカイマークの買収に手を挙げる公算が最も高いとみられている。
編集部
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