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米利上げめぐる「バーナンキショック」再来に注意を−加藤元財務官 (1)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NAH17E6S972B01.html
2014/08/18 12:30 JST
8月18日(ブルームバーグ):日米欧の非伝統的な金融緩和策で新興国に運用資金が流れ込んでいる分、市場で想定外の事態が起こると深刻な混乱が生じかねない−。米国の利上げがメキシコ通貨危機や超円高につながった1990年代半ばにかけて通貨外交を担っていた加藤隆俊元財務官は、こう警鐘を鳴らしている。
国際金融情報センターの理事長を務める加藤氏(73)は13日のインタビューで、投資資金は「慣性に従って流れる傾向がある」と指摘。悪い流れを反転させるには「大変なエネルギーが要る」と述べた。95年の超円高も主要7カ国(G7)共同声明や日本銀行の利下げ 、米欧と協調した為替介入などで、ようやく食い止めたと振り返った。
世界的な市場規模の拡大も、混乱の巨大化リスクを高めていると指摘。重要な政策転換は「できるだけ前広に、フォワードガイダンスに沿って着々と実施していくべきだ」と述べた。米連邦準備制度理事会(FRB)が進める債券購入策の段階的な撤収が「最も良い例だ」と評価。予見可能性を高め、市場の不安定化を防ぐべきだと説いた。
加藤氏は米利上げ の余波で94年12月に発生したメキシコ通貨危機に大蔵省(現・財務省)の国際金融局長として対処した。円の対ドル相場が94年4月に日米金利差の拡大にもかかわらず、当時の戦後最高値1ドル=79円75銭を付けた後、財務官に就任。榊原英資国際金融局長らと円高是正に取り組み、同年9月には100円台まで押し戻した。
新興国から資金流出
FRBのバーナンキ議長(当時)は昨年5月、月850億ドル規模の債券購入策の縮小に初めて言及。直前に1.61%台だった米10年物国債利回りは急騰し、9月には約2年2カ月ぶりに3%台に乗せた。新興国の株式・債券・為替市場は資金流出に直面。円の対ドル相場は米金利の上昇にもかかわらず、リスク回避の動きから約3週間で10%近く上げた。実際の減額は今年初めに開始し、現在は250億ドルだ。
MSCI新興国株価指数 は「バーナンキ・ショック」に見舞われた昨年は5%下落。今年は先週末までに約7.2%上昇している。一方、新興国の20通貨による通貨バスケット は昨年7.2%下落した後、今年も約0.7%下げている。
後任のイエレン議長は債券購入策の終了後も低金利政策を「相当な期間」続けると繰り返し表明。米連邦公開市場委員会(FOMC)も先月30日の声明で、焦点となる「労働力の活用がなお極端に低い」と指摘した。米金融市場では来年7月までの利上げ予想は5割弱だが、10月までに少なくとも0.5%まで利上げするとの観測が7割超を占める。
イエレン議長
加藤氏は、当面の焦点はイエレン議長が9月のFOMC後の記者会見で「どういう言葉で今後の米金融政策を語るか」だと分析。先月下旬のFOMCでは意見の一致に至っていない模様なので、今週22日に予定される米ジャクソンホールでの講演では「確たることは語りにくいのではないか」との見方を示した。
円の対ドル相場は昨年の下落率が約18%と1979年以来の大きさ。今年1月2日には約5年半ぶりに1ドル=105円44銭まで下げたが、直近の約4カ月間は101−103円程度で一進一退だ。市場関係者は来年末には2008年8月以降で初めて110円まで下げると予想する。
国債通貨基金(IMF)のリプトン筆頭副専務理事は5月30日に都内で、日本の対外収支と円相場は中期的なファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)とおおむね合致する水準にあると語った。加藤氏は大蔵省を退官した後、04年から10年2月までIMFの副専務理事を務めた経歴を持つ。
6月の経常収支 は3991億円の赤字。貿易赤字 を所得収支 の黒字で埋め切れなかった。経常赤字は5カ月ぶりで、6月としては比較可能な85年以降で初めてだ。1−6月の今年上半期でも5075億円の赤字。2半期続けての赤字となった。
重要な岐路の可能性
加藤氏は「日本は貿易立国で経常黒字が当たり前だったので、にわかには肌感覚で実感できない」が、輸出増と輸入の抑制が「国際収支の政策上も重要になってくるかもしれない」と指摘。円は地政学的リスクなどからの逃避先とされているが、経常赤字が定着すると「立ち位置も変わってくる」とし、重要な岐路に差し掛かっている可能性があると話した。
IMFは日本が国内総生産(GDP)比で1%台前半の経常黒字を今後も保つと推計している。加藤氏は仮に赤字基調に転落すると「もう少し円安になる必要がある」かもしれないと分析。さらなる円安は「交易条件を悪化させ、日本経済を切り詰めるので歓迎しない」が、「その方向に行く可能性はある」との見方を示した。
安倍晋三内閣と黒田東彦日銀総裁が経済活性化を目指す中、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF )は将来の金利上昇で評価損を被る恐れのある国内債の比率引き下げと収益向上を求める圧力に直面。政府の有識者会議は昨年11月、国内債偏重の見直しや新たなリスク資産の検討などを求める提言をまとめた。GPIFは今秋に新たな資産構成を公表する見通しだ。
GPIF
GPIFの資産構成比率は国内債の目標値が60%、国内株は12%、外債11%、外株12%などとなっている。3月末の構成は国内債が55.43%、国内株は16.47%、外債は11.06%、外株は15.59%。ブルームバーグ・ニュースが5月に調べた市場予想では、国内債の新たな目標値は40%、国内株は20%、外債は14%、外株は17%だった。国内債を3月末より約19.5兆円減らし、日本株は約4.5兆円増やした水準だ。
加藤氏は、GPIFは安全性重視と長期的な視点で分散投資を進めるのが望ましいと指摘。海外資産は市場規模が大きく安定性の高い先進国を引き続き中心とし、ボラティリティ(変動率)が高く市場が小さい新興国には慎重に配分すべきだと語った。外貨建て資産の増加は円安要因だが、他の投資家に対する「宣伝効果」の大きさも含め、円相場への具体的な影響度合いは予想し難いと述べた。
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