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黄金の日日
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DEAD OR ALIVE
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DEAD(バブル崩壊)OR ALIVE(ソフトランディングの調整)
よく目にする中国バブル崩壊が近いとかいうのは、いわゆる「オオカミ少年」ネタでしょう。右翼保守の民族主義者のルサンチマンにすぎず現実的ではありません。
しかし、アメリカの株バブル崩壊は明らかに差し迫った危機です。
ただ、難しいのはその崩壊の時期を具体的に予想することです。それがわかればボロ儲けできます。
実際、危ない危ないといわれ始めてから、既にもう1年以上経過しています。
しかし、ここにきてその危険が一段と高まってきました。買い手がいなくなりそうだからです。
BISやIMFが警告し、万年強気のFRBのイエレンも一部モメンタム株のバブルを認めました。メディアでもバフェットがキャッシュポジを増やし株の買い増しをしていない、ソロスが空売りをいれているとかいう報道が流れて、センチメントが悪くなってきました。
米国債の利回りの低下が続いています。ロイターなどの、アメリカの提灯持ちメディアは地政学的リスクが高まっているため、安全資産として米国債が買われていると説明していますがそれだけではないようです。
6月の対米証券投資は1535億ドルの売り越しでした。そのうち、米国債への投資は民間投資家が368億ドルの大幅な売り越しです。外国の公的機関は反対に200億ドルの買い越しとなっているものの民間の売り越し額をカバーできていません。それでも、地政学的リスクが高まる以前の6月から既に米国債の買いは増加して金利は低下しはじめています。これは米国内の投資家が株から債券へ資金をシフトしているためだと思われます。
なお、ECBがマイナス金利を導入しても外国人の米国証券買いが活発になっていないようです。ECBの当座預金から流出した資金は米国ではなく同じユーロ域内の債券に向かったようです。
そのため、金利差によるマネーフローの動きを見越した投機筋のユーロ売りはそのうちハシゴを外される可能性があります。
投機売りに加えて、アメリカ人が買っていた欧州株の手仕舞いによるキャリー・トレードの巻き戻しもあって、今は一時的にドル高になっていますが、このあとはその反動と投機筋の積み上がったショートのスクィーズでユーロは大反発する可能性があります。
債券だけでなく外国から資金流入による株買いも期待できません。6月の米株式への投資は26億ドルとわずかながら買い越しとなったものの、4、5月と比較すると買い越し額は縮小して先細りになっています。
国内のファンドなどの資金が株から債券へ流れ、個人投資家のマネーが株ETF市場から大量に流出しているなかでアメリカの株価を支えているのは自社株買いです。米国株の最大の買い手は自社株買いをしている企業自身です(ちなみに日本株も外人、個人、機関投資家などは、1月〜7月は売り越しで、買い越しは自社株買いと年金だけです)。
その自社株買いもついに陰りがでてきました。
米国の自社株買いブームが失速、株価に試練も
http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPKBN0GF0E220140815?rpc=188&pageNumber=3&virtualBrandChannel=14260
自社株買いは諸々の弊害があることから、日本の会社法の学者のなかでは批判が強く法で規制がされていました。しかし、今ではアメリカだけでなく日本でも大企業のロビー活動の圧力で法改正が進み、やりたい放題になってしまっています。
自社株買いは、ドーピング効果はあります。流通株式数を減らし、一株あたりの利益をあげて、業績面の数字を見かけ上は魅力的なものに高め、株価をサポートします。
米国企業は、巨額の自社株買いを実施することで、売上高の伸びがない中で、1株当たり利益を増やしています。企業は、自社株の約25%(ハイテク企業ではそれ以上)を、幹部のストック・オプション支給に用いているといわれています。
利益を株主と幹部だけに配分して、労働者には分配しないので賃金はあがりません。金融危機後に低金利と量的緩和の金融政策で株価は数倍になりましたが、賃金があがったのは上位5%だけです。そのため個人消費は伸びていません。個人消費が伸びない以上、設備投資も増えずGDP成長率も低迷したままです。
自社株買いの資金の大部分は社債で調達したものであって、フリーキャッシュフローではありません。
これは金利が安いことを利用したものですが、社債では国債に対する上乗せ金利であるイールド・スプレッドが過去数カ月間拡大傾向にあります。
一部の優良企業を除けば、リスクプレミアムが上昇しています。社債購入とそれによる自社株買いが限界に来ている兆候だと思います。
FRBとしてはバブル崩壊のハードランディングではなく、10%〜20%程度の株価下落調整のソフトランディングに持ち込みたいところです。そのシナリオが実現できず、債券市場から資金が流出してそれが株式市場に流れ込み、それで株バブルの延命が続くようなことになると最後は悲惨なことになります。金利が低下しているうちは、アメリカは株が多少の暴落してもやり直せます。
株バブルの延命のための金利上昇は危険です。
個人消費増加のために重要な消費市場の多数派である中間層・貧困層の家計のバランスシート調整が、金融危機以後ほとんど進展していないことも金利をあげることのできない理由です。
住宅ローンの延滞率の水準は今でも非常に高いですが、住宅市場はピークアウトして住宅価格はもうあがらなくなってきています。
また、サブプライム層の間では今度は住宅ローンではなく、サブプライム・オートローンが増加しています。飲食や娯楽などのアルバイトは労働集約型の仕事なので一時的に雇用者数増加につながりやすいですが、不安定な仕事でもありそれで景気が回復したととらえるのは危険です。簡単に解雇される可能性があります。そうなれば、ローンは払えなくなります。アメリカの就業者は1億4千人います。20万人という数字は700人に1人です。入れ替わりの激しいアルバイトで700人に1人といった数字はノイズに過ぎません。数ヶ月+20万雇用者が増えたところで、1日でその全員の首が切られてもおかしくない程度の数字です。
このような不安定な雇用や所得環境では、少しでも金利が上がれば借金はスパイラル的に増えていき、最後は利払いができなくなってデフォルトです。
金利上昇は現状では厳しく、当局はできるだけながく低金利を維持するでしょう。金融相場で株価が上がるステージではもはやなくなってきているので、株価下落はやむを得ないと思います。問題は上がるか下がるかではなく、緩やかな調整かバブル崩壊のクラッシュかどちらかです。
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