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長期のデフレが続く(続けられる)国民経済は、19世紀後半の「英国大不況」、1930年代の「米国大恐慌」、20世紀末から現在に至る日本の「デフレ不況」を顧みればわかるように、その時点で破格の産業国際競争力を達成していた。
設備投資をそれほど行わなくても国際競争力を発揮し、輸出や国内市場で収益を確保できる条件があるがゆえに、デフレが長期的に続くのである。
デフレ状況であれば、財政出動が経済成長の足を引っ張ることはないので、国民生活のレベル維持もなんとかできる。
韓国レベルの国民経済であれば、財政出動がインフレを招来し、スタグフレーション的悪循環に陥る可能性が高い。
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[真相深層]デフレにおびえる韓国
進むウォン高・物価安・内需不振…輸出主導経済に限界
韓国の朴槿恵(パク・クネ)政権が総額41兆ウォン(約4兆1000億円)の経済対策を打ち出した。韓国銀行(中央銀行)による週内の利下げも取り沙汰される。景気情勢を「緩やかな回復」としながら、大がかりな対策を打つのはなぜか。
チョイノミクス――。韓国政府が7月下旬に公表した経済政策は、とりまとめを主導した崔Q煥(チェ・ギョンファン)経済副首相兼企画財政相の英語名「Choi」をとってこう呼ばれている。崔氏は朴氏に近い当選3回の国会議員だ。
「日本に似てる」
6月発表の内閣改造で抜てきされた崔氏は就任前から「韓国経済は、日本の失われた20年の当時に似た状況だ」と繰り返し強調。経済政策運営でどんなかじ取りをするのか関心を集めていた。
実際、いまの韓国経済は1990〜2000年代にかけての日本とよく似ている。
第1は日本を追いかける形で進む少子高齢化だ。日本は90年代に15歳以上65歳未満の生産年齢人口が減少に転じた。韓国でも17年に減り始める見通しだ。韓国の出生率は日本より低く、高齢化のペースは早い。
3%台後半とされる潜在成長率は今後、2%台に下がるといわれる。影響はすでに表れており、90年代に6%台だった年平均成長率は00年代に4%台に低下。12〜13年は2.6%だった。政府は14年の見通しを3.7%と見込むが、達成できるか不安視する声は根強い。
低成長を映し、物価上昇率も鈍っている。デフレというほどではないにせよ、消費者物価上昇率で1%台の低インフレが続く。韓銀の目標値は2.5〜3.5%だ。韓銀は段階的に政策金利を引き下げているが、物価上昇率を差し引いた実質金利はそれほど下がらない。
KDB大宇証券の尹汝三(ユン・ヨサム)投資分析部債券パート長は「低インフレ→実質金利高→通貨高という日本が苦しんだ構図に陥りつつある」と指摘する。内需不振で拍車がかかる経常黒字の拡大とともに、長い目でみたウォン高要因になっている。
不動産市況の長期低迷も日本と似ている。00年代に入って盛り上がった「不動産神話」は08年のリーマン・ショックを機に崩壊。それ以降、不動産取引は冷え込み、本格回復のきっかけをつかめない。
不動産ブームと並行して膨らんだ住宅ローンなど家計の負債は総額で約1000兆ウォン(約100兆円)を超す。名目国内総生産(GDP)の7割に相当する規模だ。雇用や老後の不安に借金の重荷が加わり、個人消費が盛り上がらない。
崔氏がまとめた経済対策はA4判で約30ページだ。賃金を増やした企業への税制支援、内部留保を過大に積み増した企業への課税、不動産購入時の借り入れ規制緩和……。家計所得の増加と資産デフレの回避を狙った政策がならぶ。
内需拡大が叫ばれるのは、財閥系の大企業を中心に輸出でもうける成長モデルの限界を感じているからだ。財閥企業はウォン安を志向した前政権時に世界市場で飛躍したが、国内の所得や雇用を期待ほど潤さなかった。ウォン高の持続が予想される今後は、製造業の空洞化は避けられない。
クネノミクスも
韓国には「クネノミクス」という言葉もある。朴氏自ら2月にまとめた「経済革新3カ年計画」だ。規制緩和などを通じ医療、観光、金融などのサービス業や中小企業を育成するのが柱だ。チョイノミクスと重ねれば「財閥依存を脱し、デフレを回避しながら雇用創出効果の大きい新産業を育てる」という、朴政権が目指す新しい成長モデルが見えてくる。
「90年代の日本は大胆で抜本的な対応に失敗した。失われた20年を反面教師にすれば、むしろ飛躍のチャンスになる」。経済対策の解説資料にはこんな記述がある。
韓国らしい発想だが、それは、政策を間違えればデフレに沈みかねない危うい現状を示してもいる。新産業育成や不動産対策は、歴代政権も取り組みながら成果を出せなかった分野なのだ。
(ソウル=内山清行)
http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20140813&ng=DGKDZO75596830T10C14A8EA1000
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