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施工不良に声を上げるのが管理組合 「資産価値に悪影響」は巧妙な説得工作
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20140817/ecn1408170830002-n1.htm
2014.08.17 本当は教えたくないマンション業界の秘密 榊淳司
東日本大震災から約3年半が経過した。首都圏でも大きな被害が出たのは記憶に新しい。
代表的なのは千葉県浦安市。ある大手分譲の大規模マンションは、建物が竣工したばかりで、引き渡しのまっ最中だった。新居へ移ってきた方、あるいは引っ越し直前の家族も多かったはず。だが、地震による液状化で、上下水道が使えなくなった。
蛇口から水が出ないのは給水車の補給で何とかまかなえるが、トイレを流せないのはつらい。当然、そんな物件には引っ越せない。バラ色の新生活を夢見ていた方々にとって大きな災難だった。
既存のマンションでもさまざまな被害が出た。パーキングタワーの中で、車が落下したり、大規模物件では建物をつなぐ継目(エキスパンションジョイント)が実質的に外れてしまった例も多い。
さらには乾式(石膏ボート)の戸境壁(隣戸の間の壁)がズレたケースも。だが、いずれもメディアで大きく取り上げられることがなかった。なぜか。
被災地の被害に比べて、首都圏の物件が多少の被害を受けていてもニュースになりにくかった面があるが、何よりも被害を受けた住民が騒がなかったことが大きい。
新築マンションには通常で2年、躯体構造部分については10年の瑕疵(かし)担保責任が売主に課されている。住んでから不具合を見つけても最長で10年は、売主に補修を求めることができるのだ。
地震などの天災によるものは基本的に免除される。ただ、しっかりと工事をしていなかった場合は別。そのあたりは争いになったりする。
売主企業は自らの責任を否定する場合がほとんどだ。例えば、住戸の間を仕切る戸境壁が乾式だった場合、床と天井の接合部分がしっかり施工されていないと、ちょっとした地震でもズレる可能性がある。その施工精度がどの程度なのかは、専門家が見ても簡単には判断できない。
住民が「施工不良だ」と主張しても、売主企業が「マニュアル通りに施工されている」と反論すれば、議論はほぼ平行線。そういう場合には売主企業の子会社である管理会社が、住民(管理組合)側を巧妙に説得する。
「施工不良ということで騒がれると、このマンションの資産価値に悪い影響が出ますよ」
区分所有者は、いずれそのマンションを売ることになるかもしれない。その時にできるだけ高く評価されたいと考えるのは人情。だから、そう言われると泣く泣く主張を取り下げる。
しかし、それは間違っている。もし本当の施工不良であれば、きちんと売主の責任を追及し、補修工事をやらせるべきだ。売主に責任を認めさせ、補償を勝ち取るというのは並大抵ではないが、そういう実績を持った中古マンションは「管理組合がしっかりしている」ということで、かえって高い評価を受けることになる。
■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。1962年、京都府出身。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上携わる。不動産会社の注意情報や物件の価格評価の分析に定評がある(www.sakakiatsushi.com)。著書に「年収200万円からのマイホーム戦略」(WAVE出版)など。
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