http://www.asyura2.com/14/hasan89/msg/772.html
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転載する記事でFTは、「資金力のある日本企業により大きな財政負担を負わせ、家計の負担を軽くした方が賢明かもしれない」と書いているが、家計の負担は軽減すべきだが、企業にことさら大きな財政負担を強いる必要はない。
税制は、発展段階に応じた政策実現の手段であり、財政均衡や財政健全化そのものに意味があるわけではない。
FTの「根本的な問題の1つは、日本の企業景況感の弱さだ。これは、企業が新規設備に投資せずに、現金をため込むことを意味する」との指摘は正しいが、そのあとに続く「安倍氏は、経済に新たな資金を注入するよう企業を説得する必要がある」という指摘は誤りで、企業は政治権力の依頼で設備投資を増大させるわけではない。
今春の大企業賃上げ実施も、消費税増税との“交換プログラム”であり、それ抜きに政治の依頼を受け容れたわけではない。
日本は、財政を駆使してでも家計の総需要(実質可処分所得)を増大させなければ、企業が、日本での設備投資を控え、海外で設備投資や研究開発を増加させ続けることになる。
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[FT]アベノミクスに試練 GDP失速で(社説)[日経新聞]
2014/8/15 7:00
2012年12月、安倍晋三氏は長期低迷する日本経済を復活させると誓って政権の座に返り咲いた。それから2年近く経った今、概して「アベノミクス」と称される、首相の野心的な経済政策の組み合わせが苦境に陥っている。
日本を刷新する安倍氏の戦略には、大きく3つの構成要素がある。日本の民話の言葉を使い、安倍氏が3本の「矢」と呼ぶものだ。
政権の座に就いて数週間で、首相は日本経済に巨額の財政刺激策を施した。これに続き、日本をデフレスパイラルから脱却させることを目指す大規模な量的緩和が実施された。今年に入り、安倍氏は第3の「矢」の詳細を明確に打ち出した。日本の長期的な成長率を引き上げることを狙った幅広い構造改革パッケージである。
今、特に警戒すべき国内総生産(GDP)統計が発表され、「アベノミクス」は失速しているという懸念が増している。統計は、日本経済が年率換算で6.8%縮小し、3年以上前に東北地方を襲った大震災と津波以来最悪の景気縮小になったことを示している。エコノミストらが今春に予想していたよりもはるかに深刻なGDP減少だ。
GDP統計は大局的に見る必要がある。安倍氏は、自身の経済戦略でまだうまくいっている多くのことを挙げられよう。日本企業は、円相場を安値誘導する量的緩和のインパクトもあり、歴史的な高収益を謳歌している。悲惨なデフレが何年も続いた後で、日本のインフレ率は今年6月に前年比1.3%となっていた。だが、この状況にもかかわらず、安倍氏と同氏の政権は改めて、経済成長を取り戻すのがなぜこれほど難しいのか検討する必要がある。
■増税の正当性見極め必要
GDPがこれほど大幅に減少した最大の理由は、政府が消費税の引き上げを決めたことだ。日本の公的債務は世界最大で、その結果、歳入の拡大が政府にとって極めて重要な仕事になっている。この目標の達成を後押しするために、安倍氏は今年4月に消費税率の3%引き上げを実施。これが多くの家計と企業の支出パターンを歪めることになった。
今週のGDP統計を見た後、安倍氏は、計画されている追加の消費税引き上げがまだ正当化できるのかどうか判断しなければならない。資金力のある日本企業により大きな財政負担を負わせ、家計の負担を軽くした方が賢明かもしれない。
しかし、日本の経済問題を租税政策だけのせいにするのは間違いだろう。成長に対するその他の制約にも対処しなければならない。根本的な問題の1つは、日本の企業景況感の弱さだ。これは、企業が新規設備に投資せずに、現金をため込むことを意味するからだ。安倍氏は、経済に新たな資金を注入するよう企業を説得する必要がある。
特に重要なのは、政府が実質賃金の低下を反転させることだ。日本の人口が急減し、現在の1億2700万人から2060年までに9000万人に減ると予想されていることから、逼迫した労働市場で賃金が上昇するとエコノミストは考えるかもしれない。
だが、日本の労働力は今も、生産性が低く解雇するのが難しい、手厚く保護された正規労働者が大多数を占めている。その結果、日本企業の経営者はこれまで、非正規労働者に賃上げや追加的な身分保障を認めることに極めて消極的だった。多くの従業員の賃金の上昇はインフレ率に追いついておらず、それがひいては需要を減退させている。
■まだ時間はある
安倍氏は自身の政治的影響力を最大限使い、労働市場の硬直性を解消する政策を支援する必要がある。また、構造改革の「第3の矢」に一段と弾みをつけなければならない。2016年まで選挙を行う必要がなく、野党が混迷しているため、安倍氏には時間がある。しかし、今週の経済統計は、日本経済を再生させる仕事がどれほど大きくなったかを浮き彫りにした。
(2014年8月14日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
(翻訳協力 JBpress)
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