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2014年後半、日本経済はどうなるのか
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40108
2014年08月17日(日) ドクターZ 週刊現代 :現代ビジネス
今年も半年以上が過ぎたが、株式市場は昨年の勢いを失い、ベアと騒がれたものの生活改善の実感もない。政府はアベノミクスは成功と胸を張るが、景気はあまりよくなっていない。
今年1月の本コラムでは、「昨年は金融緩和で景気がよかったが今年は消費税増税で大変」、「結局、'14年はせっかくの景気に水を差す消費税増税の愚かさがわかる一年になるだろう」と書いた。これまでのところ、その通りになっている。では、今年後半の日本経済はどうなるのか。アベノミクスが日本経済を再び牽引するシナリオはありうるのか。
そもそもアベノミクスの3本の矢は、金融政策、財政政策、成長戦略で、それぞれ安倍晋三首相、麻生太郎財務相、甘利明経済財政相が担当している。しかし、安倍首相は、今や経済ではなく外交・安全保障にかかりっきり。8月2日までの日程で、メキシコ、トリニダード・トバゴ、コロンビア、チリ、ブラジルの中南米5ヵ国を訪問し、通算訪問国数が47ヵ国になる。
歴代首相の最多は小泉純一郎氏の48ヵ国で、小泉氏は5年5ヵ月かけて訪問した。一方の安倍首相は約1年8ヵ月で47ヵ国。結局、安倍首相は黒田東彦日本銀行総裁に金融政策を任せて外遊に忙しいので、今後のアベノミクスのカギを握るのは麻生、甘利両氏になる。そして、両氏の背後には財務省と経産省が控える。
今年の後半に備えて政府が用意しているタマは、法人税減税、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)改革、それに秋の臨時国会で打ち出されるといわれる補正予算だ。
まず法人税減税について見ると、反対派の麻生氏と賛成派の甘利氏が火花を散らし、「5年間で20%台への引き下げ」で落ち着いた経緯がある。20%台というのは霞が関文学で29%を意味するので、5年間で6%程度の引き下げになる。1%で数千億円程度の減税効果があるが、これでは消費税3%アップで年間7兆〜8兆円という増税の影響を相殺できない。
続いてGPIF改革だが、これは公的年金の資金を使った株価対策に他ならない。そもそも実体経済がよくならなければ、株価だけを上げても意味がない。ちょっと株価が上がっても、「利食い売り」をする海外投資家にいいように利用されるだけに終わるだろう。
そこで、本命の補正予算である。景気が落ち込んでいるためかなりの大盤振る舞いになるだろうが、公共事業でいくら予算をつけても人手不足なので、つけた予算が空回りして実体経済には波及してこないだろう。本当は、所得税減税を実行すれば、可処分所得が高まり一気に景気がよくなる可能性があるが、法人税減税の時と同じように、麻生財務相が頑として拒否するだろうから期待できない。
というわけで、今年後半に景気がよくなるシナリオはあまり望めない。9月上旬に予定されている内閣改造で閣僚の大幅入れ替えはありうるが、麻生、甘利両氏は留任といわれているので、経済政策では代わり映えがしない。民間人起用も閣僚枠がいっぱいなので「期待薄」となると、このままだらだらとした景気が続いて、今年後半が過ぎていくのだろう。
安倍首相は安全保障の話をうまくやりたいために、「まず経済から」という戦略をとってきた。しかし、いまやその経済の先行きがお寒い中で、支持率の低下も起きてきた。安倍政権の本当にやりたいことが、経済が不調だとできなくなる。そんなシナリオも現実味を帯びてきたのである。
『週刊現代』2014年8月16・23日号より
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