http://www.asyura2.com/14/hasan89/msg/760.html
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一昨年秋から始まった円安傾向のなか、現在の消費者物価は、消費税増税影響分を含み、対前年比で3%を超える上昇率を見せている。
アベノミクス効果とは言えない(第二次安倍政権発足前から円安傾向は進行:ユーロ危機の終焉が契機)円安で物価上昇が進んだなかで賃金が上がらなければ、消費税増税と相俟って、スタグフレーション的経済悪化へとつながる。
今年の賃上げは、デフレ状況下とは違い、インフレ率に見合うベースアップが行われるかどうかが重要なポイントである。
それにもかかわらず、中小企業の賃上げに関する記事には、定期昇給や賞与・一時金の増額を含む賃上げ実施の割合は書かれていても、ベースアップがどれくらいの中小企業で実施され、その額はどれほどだったのかがまったく触れられていない。
当該記事のネタである経済産業省がサイトに掲載している「中小企業の雇用状況に関する調査集計結果の概要」に拠れば:
http://www.meti.go.jp/press/2014/08/20140815002/20140815002-1.pdf
ほとんどのメディアが「中小企業の64.5%、賃上げ実施」に近いタイトルを使っているが、実際にベースアップを行う中小企業は23.4%しかなく、賞与や一時金の増額を行う中小企業でも31.0%しかない。
このことから、65.5%という数字は、いわゆる年功にあたる定期昇給を実施する企業を加えたものであることがわかる。
記事は、中小企業の賃上げを安倍政権の政策(アベノミクス)効果が波及したものと解説しているが、今年は23.4%しか実施されないベースアップが、昨年(すでに安倍政権だがアベノミクスは未実施)は70.7%も実施されていることから、賃上げがアベノミクスの波及効果によるものだとは言えないことがわかる。
※ P.9に「前回、ベースアップをした時期としては、「平成25 年(1年ぶり)」が70.7%を占め、次いで「平成24 年(2年ぶり)」が8.1%、「平成20 年(6年ぶり)」が5.6%という順になっている。(図14)」とある。
また、ベースアップを実施する中小企業(回答の23.4%)だが、賃上げ率が消費者物価上昇率に達する割合はわずか18.4%である。
ということは、中小企業のわずか4.3%が消費者物価上昇率を超えるベースアップを実施しただけで、中小企業の95.7%は、消費者物価の上昇により実質所得が劣化する賃金水準に据え置いていることがわかる。
※ P.6参照
対前年比マイナス6.8%と大きな落ち込みを見せた4〜6月期GDPデータがもたらす先行き不安を打ち消したい気持ちはわかるが、賃上げの実態を覆い隠したまたアベノミクス効果と説明する中小企業の賃上げ実施記事は、大本営発表と変わらないプロパガンダである。
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中小企業の64.5%、賃上げ実施 アベノミクス効果が波及
SankeiBiz 8月16日(土)8時15分配信
経済産業省は15日、2014年度の中小企業の賃上げに関する調査結果を発表した。基本給を底上げするベースアップ(ベア)や賞与、一時金の増額などの賃上げを実施したと回答した企業は全体の64.5%と、昨年度(56.8%)から7.7ポイント上昇した。経産省は、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」による効果が地方の中小企業にも波及しつつある、と分析している。
ベアを実施したと回答した企業は全体の23.4%で、賞与や一時金を増額した企業は同31.0%だった。ベアの幅では「2000〜5000円未満」が42.4%で最も多かった。
また、賃上げを実施した理由(複数回答)では、「従業員の定着・確保」(75.7%)が最も多く、「業績回復の還元」(28.9%)が続いた。景気回復を背景とした人手不足も、賃上げの動きに影響しているとみられる。
茂木敏充経産相は15日の閣議後会見で、「地域間の格差も縮小するなど、地方へ経済の好循環が着実に波及しつつある状況が見て取れる」と述べた。
調査は、今回初めて実施した。今年6月に全国の中小企業3万社に調査票を送り、7月23日までに1万380社から回答を得た。
最終更新:8月16日(土)8時15分
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中小企業の65%、賃上げ実施 「人材確保のため」最多
2014年8月16日12時29分
経済産業省は15日、全国の中小企業3万社へのアンケートで、今年度に何らかの賃上げをした企業が昨年度を8ポイント上回る65%に上ったと発表した。「業績回復」より「人材確保」を賃上げの理由に挙げる企業が多く、人手不足の深刻さも浮き彫りになった。
賃金全体を底上げするベースアップをしたのは全体の23%。賞与や一時金を増やしたのは31%だった。賃上げをした企業の割合は、全国9地域すべてで昨年度を上回り、賃上げの動きが地方の中小企業にも広がっていることがうかがえる。
賃上げの理由は、「従業員の定着や確保」(76%)が最も多く、次の「業績回復の還元」(29%)を大幅に上回った。政府が実施した復興特別法人税の前倒し廃止や、給与を増やした企業を優遇する税制が賃上げを「後押しした」とした企業は8%にとどまった。
アンケートは、経産省が6月に全国の中小企業3万社に送り、7月23日までに1万380社が回答した。
http://www.asahi.com/articles/ASG8H4CWYG8HULFA008.html
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中小企業、65%が賃上げ 人手不足に対応[日経新聞]
2014/8/15 20:16
中小企業で賃上げの動きが広がっている。経済産業省が15日に公表した調査では、今春に従業員の賃金を引き上げた中小・零細企業は65%と、前年度の57%から拡大した。人手不足にともない、給与水準を上げて雇用を維持したり新卒の社員を雇ったりする事例が増えている。
全国の中小・零細企業1万380社から回答を得た。賃上げした企業のうち、毎月の給与を底上げするベースアップ(ベア)を実施したのは36%だった。5月に公表した大企業への調査(東京証券取引所の上場企業908社)では92%が賃上げし、うち47%がベアをしていた。中小企業のほうが慎重な姿勢をとっている。
中小企業が賃上げした理由(複数回答も可能)の1位は「従業員の定着・確保」で、76%を占めた。公共工事の拡大によって建設業やサービス業などで労働力が不足し、大企業との競合も勘案して賃上げに踏み切る例が多い。一方、「業績回復の還元」と答えたのは29%にとどまった。
今年度に「人員を増やした」と回答した中小企業は43%と、前年度より4ポイント増加した。それでも「募集をかけても採用したい人材がいない」と答えた比率が48%にのぼった。優秀な人材は企業間の取り合いが激しくなり、賃上げの圧力にもつながったようだ。
賃上げを実施した企業の割合を業種別でみると、自動車や精密機械をふくむ加工型製造業が75%と最大だった。地域別では中部が70%と最も高く、愛知県の自動車産業などが貢献した。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF15H0J_V10C14A8EE8000/
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