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写真はイメージ/(C)日刊ゲンダイ
魚介、乳製品、コメも…猛暑が招く深刻「食糧クライシス」
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/152621
2014年8月15日 日刊ゲンダイ
この夏、熱中症による救急搬送者はすでに全国で3万人を超える。こう猛暑が続くと参ってしまうが、この異常気象は深刻な食糧難まで引き起こしている。
北海道沿岸では、7月末のサンマの水揚げ量が記録的不漁だった昨年同期比10分の1。アカウニの名産地山口県では、今シーズンの漁獲量が昨年の3割程度だったという。
「いずれも海水温の上昇が原因とみられています。昨年6月、世界銀行が発表した気候変動についての報告書によれば、近い将来、海水の酸性化や水温上昇でサンゴ礁が減り、フィリピン南部では漁獲高が半減するなどと予測されています」(環境ジャーナリスト)
豚肉も大打撃だ。食肉大手はハム・ソーセージの価格を平均10%値上げ中だが、「現在の高騰は豚流行性下痢だけでなく、昨夏の猛暑によって出荷頭数が減ったことにある。今年も猛暑なので出荷が減り、来年の豚肉価格への影響は必至です」(市場関係者)。
バターや脱脂粉乳の高騰も同じ原理だ。農水省の資料によれば、14年度(4−6月)の生乳生産量は前年同期比の3・2%減。昨夏の猛暑で、妊娠・出産が予定通り進まなかったり、搾乳量が減少したためだとみられている。
酪農経営にとって不可欠な飼料が世界的な異常気象で不作なのも大きい。トウモロコシの産地である米国カリフォルニアはいま大干ばつに見舞われている。日本の家畜農家は飼料をほぼ輸入に頼っている。メーンのトウモロコシの86%(11年)は米国から仕入れているだけに、かなり痛い。
主食であるコメも心配だ。10年の猛暑時には、高温でコメの内部が白濁する“異常”が発生。昨年も同様の被害が報告されている。
消費者問題研究所の垣田達哉代表はこう言う。
「異常気象のせいで魚の不漁やコメの質の低下などが年々問題になっています。農家の廃業も深刻で日本は第1次産業を放棄してきたツケが来ている。そうなると輸入に頼るしかなくなりますが、天候不良は世界的な問題ですから、簡単には輸入できなくなる。できたとしても高い価格で買わざるをえなくなるでしょう」
魚介も肉も乳製品もコメもダメ。まさかそんな時代がやって来ようとは……。
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