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都内で約1ヵ月間電子マネーだけで生活してみた 利点と弱点が明らかに
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140814-00000002-asciiplus-sci
週アスPLUS 8月14日(木)7時0分配信
筆者はここ最近、電子マネーやNFCに関する話題を世界中を飛び回ってずっと追いかけているが、この手の“電子マネーサービス”は意外と“外国人に優しくない”というのが常だ。まず電子マネーカードの入手自体が外国人には困難であったり、特定のサービス(たとえば交通サービスだけなど)でしか利用できず多額の現金をチャージするのがためらわれるなど、使い勝手が悪いことが多い。その意味では、香港の八達通(Octopus)や韓国のT-moneyなど、“交通サービスも買い物もカード1枚あればオーケー”というサービスは非常にありがたい。
また台北限定ではあるが、台湾で利用できる交通系カードの『Easy Card』も最近では買い物に利用できるようになり、旅行するうえで便利になりつつある。とにかく、短期滞在で一番の邪魔となる“小銭”に気を配る必要がないからだ。
翻って日本はどうだろうか? 2020年の東京五輪開催を前に関係各所がさまざまな動きを見せており、その中には当然外国人客向けのサービス拡充も含まれている。以前より現金が決済市場の多くを支配しており、電子マネーやクレジットカードが使える場所が少なかった日本だが、ここ最近になりこの状況は変化しており、少なくとも都市部にいる限りは現金を使わずとも済む場面が増えてきたと感じる。「では、実際に電子マネーのみでどこまで生活が可能なのか?」という疑問を解消すべく行ったのが今回のチャレンジというわけだ。
ルールはカンタン、筆者が日本で利用しているメイン端末その2である『Xperia Z1 SO-01F』には『モバイルSuica』、『iD』のアプリが入っており、基本的にこのふたつのみを使って買い物などを行なう。ただし何らかの理由により、このふたつの決済手段が使えない可能性があるため、その場合は“クレジットカード”で決済を行う。また最終手段として“2万円の現金”を持ち歩いておき、いずれの手段も使えない場合のみ支払いに充てるということにする。締め切りの関係で厳密には1ヶ月ではないが、3週間半を外国人の気分になって電子マネーのみで過ごせるか……というチャレンジとなる。なお、1ヵ月間で使用可能な現金が手元に2万円しかなかった、というのがもともとの企画の発端というわけではないと思いたい。
●ポイントはいかに節約するか
筆者は日本滞在中はJR京葉線沿線の千葉県某所から、東京都内港区赤坂の作業場まで毎日通って仕事している。通常、日本に連続滞在しているのは2週間程度のことが多いが、夏期は1ヵ月以上海外への移動がないのでモバイルSuicaで定期券を購入している。都内の交通はほぼすべてモバイルSuicaの利用で済むため、あとは取材のために通勤ルート以外に移動するときと、買い物用にクレジットカード経由でモバイルSuicaのチャージを定期的に行なっている。行動サイクルは午前中に都内へと移動し、お昼を食べてからは夜までビル内で作業を続け、都内で晩ご飯を食べてから帰宅する。一度ビルにこもると夜まで外には出ないため、飲み物とパンをコンビニで500円ぶんほど購入してから作業に入っている。
なるべく予算を節約したいので、1日の飲食関係はこの500円に加え、昼と晩の2回分を合わせてなるべく“2000〜2500円”以内に収まるようにしている。ほぼ1ヵ月間土日も関係なく通勤と作業を続けているので、仮に1日2500円を使っているとすれば、2500×30=7万5000円が1ヵ月の食費ということになる。これに1ヵ月定期の2万円と、臨時で発生する移動費用を合わせて約10万円。けっこうな金額だ。つまり何がいいたいかというと、“無駄遣いせずに、なるべく節約していく”ことが大事というわけだ。
ところが、いざ節約するとなると難しい。コンビニ店舗は作業場近くにあるセブン-イレブン、ファミリーマート、ローソンといった系列をはじめ、ほとんどの店で電子マネーとクレジットカードの両方が使えるので問題ない。ところがランチ営業をやっているレストランで電子マネーを使える場所となると、実はかなり限られている。筆者は最初「都内で電子マネー(+クレジットカード)のみで過ごすなんて余裕!」とタカをくくっていたが、最初の時期は“いかに安く昼飯を食べるか”で苦労することとなった。
そうしたなか、最初に見つけたのが天ぷら丼のチェーンで有名な『てんや』だ。ここではSuica/PASMOが電子マネーとして利用できるようになっており、700円程度で大盛り丼が食べられるので重宝した。そこで連日のように通い続けていたのだが、さすがに毎日天ぷらばかり食べていると飽きてくる。しかも筆者の通勤ルートである新橋の店舗は夜10時には閉店してしまうため、作業が遅れて帰宅した場合には食べられない。空かせたお腹でいろいろ調べていたところ、『富士そば』という立ち食いそばチェーンが24時間営業で、しかもSuica対応の自販機を設置しているという情報を入手し、さっそく新橋駅前に行ったところ、ふたつ設置された自販機のうちのひとつがSuica対応で事なきを得た。
●人はチャレンジを忘れてだんだん贅沢になってくるもの
慣れてくるといろいろ知恵がついてくるもので、少し経ったころには新橋駅を拠点に「電子マネーで食べられるお店」を探す癖がついてきた。個人的に吉野家の牛丼は好きだが、ここは現金のみなので今回のチャレンジが終わるまではお預け。代わりに、ふだん使っていない『松屋』がSuica対応で重宝することがわかった。ここは定食メニューも充実しているので、少なくとも毎日天丼を食べる生活からは解放される。
このほか、夜のメニューは高いがランチメニューは1000円台というお得なレストランを活用するようになった。ひとつは赤坂近辺に店舗の多い『陳麻婆豆腐』で、元祖四川風麻婆豆腐を1080円で食べられ、しかも支払いは電子マネー対応! というおまけつき。同様に栄養満点という意味ではサラダバーやスープバーが利用できる『フォルクス』のランチも電子マネー対応で重宝した。
一方で、これ以外のレストランやファミレスではいろいろ限界が見えてくる。まず、欠食児童にはありがたい“とんかつ”で、これは支払い可能な電子マネーの種類が限定されていたり、クレジットカードのみというケースが多かった。あと、一度『和幸』のランチ弁当を頼もうとしたら、通常の支払いはクレジットカードが使えるのに、このランチ弁当のみ現金のみの取り扱いになるという。ほかにもランチのみ支払い手段が限定されるケースがあったので、注意したいところだ。またファミレスでは、一般に複数の電子マネーとクレジットカード支払いに対応していることが多いが、セブンアイ系列の『デニーズ』のみは取り扱いが“nanaco支払い”に限定されており、やはりクレジットカードを使わざるを得ない結果となった。
●どうしても“カレー”と“ラーメン”が食べたい
筆者はカレーとラーメンがとても大好きだ。米ニューヨークに行っても、毎日カレーとラーメンのみを食べ歩いているほどだ。だが今回のチャレンジで気付いたのは、このふたつを食べることが可能な店舗の多くが“現金支払いのみ”の対応ということだ。
後で気付いたのだが、カレーについては店さえ選ばなければ電子マネーを利用できるケースが多い。例えば都内の駅中心に店舗展開している『カレーショップ C&C』ではほぼ全店で電子マネーが利用できる(京王電鉄系列のため)。このほか、前述の松屋やサブメニューで扱っているレストランも多く、その気になれば困らない。だが筆者としては「本格的なカレーが食べたい」と思うわけで、日々悶々としていたのだが、たまたま原稿修正作業のために立ち寄った『ロイヤルホスト』でメニューを見て、“カレーフェア開催中”という文字が目にとまった。毎年楽しんでいたロイホのカレーフェアだが、今年は忙しすぎて忘れていたと回想する時間もなく『カシミールカレー』を注文し、たっぷり堪能させてもらった。そしてロイホはSuica支払いにも対応しているので、ここも問題なくクリアーできた。
そして最後の難関となったのが“ラーメン”だ。ラーメンが美味しい店のほとんどは個人経営で、まず電子マネーとクレジットカードは使えないと考えていい。逆に『日高屋』、『幸楽苑』といったチェーン店では商品単価が低い代わりに、支払いは現金のみとなっている。痛し痒しだ。「ならば誘惑に負けて現金で払ってしまえ……」などと考えたりもするが、現金を無駄遣いできない事情がある。
1ヵ月を過ごすということは、定期的に行っていることに対する支払いはどうしても発生してしまう。たとえば毎月医者にかかる金額として5000円はとっておかないといけないし、チャレンジ最終日には5000円でささやかなパーティを仲間内で開催する約束もある。しかもチャレンジ開始1週間目には友人との約束でクラブに顔を出したので、そのときの飲食代で2137円がとんでいる。つまり、使える金額はチャレンジ期間半分に達していないにもかかわらず、すでに8000円を割っている。ここで無駄遣いするわけにはいかない。
原稿を書く手を止めながらWebで必死に検索を繰り返していたところ、“駅ビルに入っているタイプのラーメン店ならSuicaが使えるんじゃないか”という結論に達した。そこで思い出したのが東京駅で、ここは八重洲北口地下に6軒ほど著名なラーメン店を集めた“東京ラーメンストリート”が設置されている。ここでの一番は2時間待ちの行列で有名な『六厘舎』だが、とりあえず行ってみることにした。だが仕事が遅かったせいで現地到着は22時直前で、すでに六厘舎は閉まっていた。だが残り5店舗はまだ開いており、最近食べていなかったとんこつラーメンの『俺式』を選択し、入り口にある食券機でSuica支払いを行って閉店直前の席についた。とんこつラーメンなので当然、替え玉を注文したわけだが、店員さんは「150円になります」との返事。替え玉の食券を買い忘れたのが運の尽きだが、閉店直前でいろいろ処理を始めている店内で「外で食券買ってきます……」とはいえず、素直に150円を現金で渡してお替わりを堪能することに。最後の最後に無念。
●意外と使える電子マネー
慣れてくると電子マネーは非常に便利だ。モバイルSuicaであればいつでもオンラインチャージできるし、ちょっと離れた場所の出張でも端末でグリーン券を買ってそのまま電車に乗れる。長い移動時間は駅弁と飲み物を駅の売店で電子マネーを使って購入すればいい。今回、取材で横浜に行く機会があったが、横浜駅に隣接する地下商店街の『横浜ポルタ』では、ほとんどの店舗でSuicaなどの電子マネーが利用できるようになっており、現金なしでも安心して食事や買い物が可能だ。実際、このような形で“ビルや地域内の店舗が丸ごと特定の電子マネーサービス対応になっている”というケースは比較的多く、本来であれば電子マネー対応していないチェーン店や個人商店であっても、その場合は安心して利用できる。先ほどの東京ラーメンストリートがその典型で、これは成田空港や羽田空港など、空港施設でもよく見かける。ただし、100%の強制力がないデパートもあるようで、利用前にあらかじめチェックしてみるといいだろう。
さてチャレンジも終盤になると、いろいろ情報が集まってくる。“吉野家の牛丼が食べたい”とか言わなければ、ほとんどのジャンルの料理は何らかの方法で食べる手段があるし、無駄遣いせずローテーションを組んでバランスよい食事ができるようになった。ただどうしても“ココイチ(CoCo壱番屋)が食べたい”という欲求があり、ほとんどの店舗では“現金のみ”という状況のなか、唯一秋葉原の末広町交差点にあるココイチが電子マネーとクレジットカードに両対応しているという情報を入手し、さっそく現地へと向かってみた。久しぶりに食べるココイチは少しだけ辛かった気もするが、外国人の多い秋葉原という街で、この店舗のみが“電子マネー”、“クレジットカード”、そして中国人向けの“銀聯カード(UnionPay)”に対応しているというのは、その客層をよく示している。
そしてチャレンジ最終日となる週末の土曜日、密かに集まった4人のメンバーでささやかな焼肉バイキングパーティーを開き、嫌がらせとも思える大量の肉画像をSNSに拡散してチャレンジは無事終了した。結局、期間中に使用した現金は前述のクラブ関係の支払い2137円、医者の検診代と薬代の3730円、焼肉バイキング代5000円、そして替え玉150円の計1万1017円。電子マネーとクレジットカードでの支払い額が約11万円なので、節約しつつ、必要な支払いのために持つ現金は最小限、というのは東京ではそれほど難しくなさそうだ。
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