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すき家、驚愕の超社員管理体制 細かいすべての動きを秒単位で規定、間違うと叱責
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140812-00010001-bjournal-bus_all#!bBQFoY
Business Journal 8月12日(火)3時0分配信
7月6日、牛丼チェーン「すき家」を展開するゼンショーホールディングス(HD)は、2015年3月期の連結最終損益が、従来予想の41億円の黒字から13億円の赤字になる見通しだと発表した。売上高予想も従来の5379億円から5250億円に、営業利益予想も同159億円から80億円にそれぞれ下方修正した。その要因は、以前より問題視されてきたすき家の深夜の1人勤務「ワンオペ」廃止により、一部店舗が深夜営業を休止したり、店員を確保できず一時閉店に追いやられる店舗が発生していることによる。
「『昼夜を問わず、生活のすべてを捧げて働き、生き残った者が経営幹部になる』というビジネスモデルが、その限界に達し、壁にぶつかったものということができる」
7月、すき家の労働環境改善に関する第三者委員会(委員長・久保利英明弁護士)はこのように指摘し、調査報告書でビジネスモデルの抜本的改革を迫った「ワンオペ」の早期解消や経営陣の意識改革を強く求めた。
報告書によれば、ゼンショーは2012年度以降、時間外労働などで64通にも上る是正勧告書を労働基準監督署から受け取っているという。さらに恒常的に月500時間以上働いていた社員や、2週間帰宅できなかった社員がいたことなども明らかになった。第三者委は「すき家の運営は法令違反であることはもとより社員の生命、身体、精神に危険を及ぼす重大な状況に陥っていた」と認定。「過剰労働問題等に対する“麻痺”が社内で蔓延し、『業界・社内の常識』が『社会の非常識』であることについての認識が全く欠如していた」と経営陣の認識不足を厳しく指摘した。
全国に約2000店あるすき家は、店員1人が接客から調理、後片づけ、会計などすべての仕事をこなす「ワンオペ」と呼ばれる深夜勤務体制を取っている。「ワンオペ」への不満がくすぶるなかで、2月にはライバルの吉野家が大ヒットを飛ばした鍋メニューに倣い「牛すき鍋定食」を導入した。牛丼をサービスするより数段に手間がかかるため、アルバイト店員が次々と辞めていった。
その結果、ゼンショーの労働環境に対する批判が強まり、アルバイト店員を補充できなくなり、今年4月には最大で123店舗が店を開けられない状態となった。このため小川賢太郎会長兼社長は4月28日、第三者委員会を設置し、改善策の提示を求めた。報告書の提出を受け記者会見した小川氏は、深夜に1人勤務になっている状態を解消する方針を打ち出した。
1982年の創業から30年以上たったゼンショーは今、ビジネスモデルの大きな転換に迫られ、まさに岐路を迎えているといえるが、社会的に問題視されるほどの労働環境は、どのように生まれたのだろうか。
●徹底した社員管理体制
ゼンショーは82年、現社長の小川氏により資本金500万円で設立された。小川氏は「全戦全勝する」との覚悟を込めて、社名をゼンショーとしたが、創業当時、世評では牛丼チェーンはピークを過ぎた業態と思われていた。だが、日本の牛丼は米国のハンバーガーになるとの信念を持っていた小川氏は、「牛丼ビシネスは、これから伸びる」と、別の見通しを立てていた。
ゼンショーは横浜市内の労働者の多い街で、すき家一号店となる持ち帰り弁当・牛丼店をオープンした。小川氏は「民主主義的な会社は成長しないと思う。やはり強烈なリーダーが『俺が黒と言ったら黒なんだ』と決めて、その代わり全責任を負う。失敗したら命もないと思うことだ」として、ワンマン経営を敷いた。
小川氏が初めて大々的にメディアに登場したのは「日経ビジネス」(10年9月20日号/日経BP社)の特集『外食日本一 ゼンショー』である。そこで描かれた同社の社員やクルーと呼ばれるアルバイト社員の管理は徹底しており、衝撃的ですらあった。まず、全員に「ゼンショーグループ憲章」という小冊子が配られる。憲章にはクルーとしての立ち居振る舞いが事細かに定められている。
「『商談は30分』『社員は群れてはいけない』『笑ってごまかさない』『いい人に思われるようにするな』…。『歩く時は1秒に2歩以上』との記述がある。社員誰もが、どの場面でも早歩きや小走りで移動する様に、目を丸くする来訪客もいるという。グループ憲章は“バイブル”に等しい。全員に配られる冊子は一つひとつにシリアルナンバーが打たれ、なくすことは許されない」(「日経ビジネス」より)
顧客の回転率を上げるため、どの外食チェーンも作業手順をマニュアル化しているが、すき家ではなによりもスピードが求められる。すき家のカウンター席では、牛丼は原則として10秒以内で出すことになっている。吉野家の15秒を上回り、業界最速だ。学生アルバイトであるクルーは、「いらっしゃいませ」と声をかけてからのすべての動作を、体のバランスの取り方から手の動かし方まで秒単位で決められている。牛丼の具材をよそう時の動作はこうなる。
「左手で丼を取り、右手でよそう。この際、足を一歩たりとも動かしてはならない。リズムよく重心移動で左、右と流れるような作業をこなすのが鉄則だ」(同)
現場のクルーはときに、「やや膝を曲げ、カウンターがある左側の重心を意識すること」が大切なのだという。丼を下げる時の動作も定められている。
「丼を下げる時は、左手でトレーを持ち、右手で専用ナフキンを使って、テーブルをZ字に拭かねばならない。その際のルールは丼を洗う時と同じく「肘から下」(を使う)。上腕を使うと動きが大きくなり、ムダな動きだと叱責を受けることになる」(同)
24時間、店舗を回すために作業のすべてに決まり事がつきまとう。細かなタイムテーブルが組まれ、すべて分秒刻みの制限時間が設けられている。クルーは、ゼンショーグループ憲章を完璧にこなせるようにならなければ、一人前とは認められない。
●米海兵隊式の社員訓練
ゼンショー経営の要諦の第二は「絶対服従を叩き込め」だ。新入社員は4月1日から11日間、「ブートキャンプ」と呼ばれる合宿に送り込まれる。その目的は「学生時代の誤ったリーダーシップ観を徹底的に否定する」こと。訓練や討論によってゼンショーグループ憲章への絶対的服従を叩き込んでいく。
ブートキャンプとは新兵訓練施設を意味する英語の表現。転じて新兵に対して行われる教育・訓練プログラム(新兵訓練)を指すようになった。ゼンショーが導入したのが、米海兵隊の組織理論「FFS(Five Factors&Stress)」である。海兵隊の新兵訓練は若者のプライドを粉々にし、人格を戦争向きに変えることを主眼とする。入隊した若者たちは48時間眠ることが許されず、教官は常に彼らの耳もとで罵声を浴びせ続ける。教官の命令には絶対服従で、「イエス・サー」もしくは「ノー・サー」以外の返事は許されない。
米海兵隊の新兵訓練のメソッドを取り入れたゼンショーでは、憲章の行動規範、価値観を徹底的に植え付ける。これはズバリ、社員やクルーのロボット化である。軍隊では命令に従って敵兵や民間人を殺害したとしても、兵士個人の責任は問われない。同様にゼンショーでは、規則やルールに従っている限り、社員やクルーは一切の責任から解放される。規定の時間内に決められた動作ができさえすれば、人格は評価と無関係だ。上司との人間関係に悩むこともない。
そしてゼンショーは、新卒、既卒、国籍問わず、ゼンショーの行動規定、行動規範に基づいて行動する人物であれば誰でも採用するので、結果として多様な人材が働く組織となった。
ゼンショーは超管理体制で「ムリ、ムダ、ムラ」を排除し、生産性を極限まで高めていったのである。
編集部
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