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ヤマダ電機、過労自殺社員の遺族が提訴 週間残業47時間、精神障害を発症か
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140810-00010001-bjournal-soci
Business Journal 8月10日(日)3時0分配信
従業員に対して過酷な労働やサービス残業を強いたり、パワハラや偽装請負などが問題視されている企業の頂点を決めるという2012年から始まった企画「ブラック企業大賞」の今年のノミネート企業が7月30日、発表された。居酒屋チェーン「日本海庄や」を展開する大庄、西日本旅客鉄道(JR西日本)などと並び、家電量販店トップのヤマダ電機が選考対象となっている。
同社では2007年9月、新任フロア長の男性社員(当時23歳)が過労自殺し、遺族が昨年12月、会社に安全配慮義務違反があったとして、損害賠償など計約1億2100万円の支払いを求めてヤマダ電機を前橋地裁高崎支部に提訴した。男性社員はなぜ死亡したのか。裁判資料を基に報告する。
●契約社員から管理職へ
ヤマダ電機の郊外型店舗、テックランド柏崎店は07年9月、開店準備の最終段階を迎えていた。店長を含めた管理者5人は9月5日に同店に入り、本社の支援チームらとともに、21日の開店を目指して店舗構築を開始した。管理者5人のうちの1人が、新任フロア長のA氏(仮名)だった。
A氏は04年12月、中途採用の契約社員としてヤマダ電機に入社。富山と新潟のテックランドで2年8カ月の経験を積み、赴任3週間前の8月半ば、柏崎店の黒物(テレビ、レコーダーなどの娯楽用家電)フロア長(管理職)に抜擢されたばかりだ。
会社側の陳述によれば、もともと柏崎店の黒物フロア長は、A氏とは別の経験豊富な社員に任せる予定だった。ところが、ヤマダ電機はこの人事を見送り、代わりに候補者の1人に選ばれたのがA氏だ。会社側準備書面によると、ヤマダ電機は「原則としてフロア長以上の者を社員としていた」制度上の都合から、契約社員のA氏を正社員に引き上げる必要があった。
ところが、専門学校卒業後もアルバイトで生計を立て、正社員の経験がなかったA氏にしてみると、(1)初めての正社員、(2)初めての管理職、(3)初めての新店舗の開店作業が重なった。管理職として担当することになる黒物フロア自体も、経験はわずか5カ月だ。
労働基準監督署の調査復命書(労災調査報告書)によると、A氏は正社員登用された8月16日以降、当時配属していた富山本店で、通常業務をこなしながら新任フロア長研修と管理職研修を受けたという。その結果、以前は1日2時間程度だった残業が正社員登用後は4時間を超えるようになった。
A氏は9月2日に富山本店での勤務を終え、5日に柏崎店へ赴任した。
●開店1週間前は「管理職全員、極度の疲労状態」
9月5日と6日は一般社員がまだ入店しておらず定時で退社し、柏崎店の全社員が初顔合わせした7日も定時に退社したが、A氏はこのころにはすでに体調を崩していたようだ。調査復命書には7日のこととして「最近熱があって下がらない」と話したことが記載されている。
開店作業が商品搬入、商品陳列と進むにつれて忙しくなり、洗濯すらも思うようにできなかったようだ。労基署の聴取記録によると、12日ごろ、両親が社宅を訪れて窓から室内を覗くと、「室内には洗濯物が干され、洗濯機の中に入りきらないほどの洗濯物がありました」というありさまだった。
開店が1週間後に迫ると、管理職全員が午前0時ごろまで残業する状況が生じていた。調査復命書には「管理職全員、極度の疲労状態にあったことがうかがわれる」と書かれている。
実際に、15日のA氏の退社時間は翌16日の午前0時とされており、精神障害を発症したのも15日ごろと推定されている。A氏は自分が何をすればいいのかわからない状態に陥り、部下の問いかけにも答えられなくなり、やる気も感じられなくなったという。
追い討ちをかけるようにトラブルも起きていた。16日の夕方から夜にかけて、A氏が中心となってDVDプレーヤーの山積みコーナーをつくっていた。ところが、完成間近になって、間違った商品を積み上げていたことが判明し、最初からつくり直すことになったという。
このトラブルの影響もあって、A氏が退社したのは翌17日の午前2時だ。すでに心身の限界を超えていたが、フロア長が開店直前に休めるはずもなく、17日はそのまま午前7時54分に出社し、翌18日の午前1時まで働いた。
●死亡前1週間の残業は47時間30分
さらに、17日と18日には、新店開設準備室の課長と部長代理が相次いで入店、部長代理から部門別の遅れに対して指摘があった。
会社側の陳述によると、商品陳列は18日までにおおむね終わっており、19日には全社員で開店後のオペレーションを確認する予定になっていたという。
A氏は18日も午前7時31分に出社。午後11時半に退社し、同僚と食事をしている。同僚の語りかけに、疲れた声で答えていたという。A氏が社宅で死亡したのは、その夜午前2時ごろ。赴任からわずか15日目、管理職になって35日目だった。遺書はなかった。
A氏の死亡は、長岡労基署により11年6月、労災と認定された。労基署の調査復命書によれば、A氏の死亡前1カ月の残業時間は106時間21分に上る。特に忙しくなった開店直前の残業時間は、1週間で47時間30分に達し、赴任後は休みを取れなかったという。
●ヤマダ電機の反論(要旨)
裁判でのヤマダ電機の反論のポイントは、おおよそ以下のとおり。
・9月5日以降、柏崎店の開店準備は応援の社員ら約200人がサポートしていた。柏崎店のスタッフが従事していたのは単純作業ばかりであり、本社社員の指示やマニュアルに従って作業するだけでよかった。そのため開店作業は困難ではなく、過密でもなく、高い負荷もなく、A氏が長時間労働を強いられた事実もない。
・A氏の健康状態に問題はなく、体調不良の訴えもなかった。「何をしていいのかわからない状態に陥っていた」というのも誤認で、戸惑っていたり悩んだりしていた様子もみられず、死亡直前もいつもと変わりがなかった。A氏が心身の健康を損ねていると考えた者はいなかった。
・16日の山積みコーナーのミスは予定外の商品を一部混ぜてしまった状況で、その商品は倉庫に戻して並べ直した。作業自体は30分程度で終わるような内容だった。
・労基署の調査には不足と偏りがあり、調査復命書の記載に事実誤認があるうえ、事実関係を正しく反映しておらず、労災認定の判断自体が誤りである。遺族の主張はすべて誤認に基づいており、事実を歪曲している。
現在は審理係属中である。今後の裁判の経緯を見守りたい。
佐藤裕一/回答する記者団
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