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景気ウォッチャー調査と株価
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52625851.html
2014年08月08日 在野のアナリスト
日経平均は454円安でした。きっかけはオバマ米大統領の、イラクへの空爆容認発言とされますが、これまでリスクを半ば無視しておいて、いきなり気づいたというのはおかしな話です。恐らく最大の要因は、日本の企業決算発表が一巡しつつあること。全体では5%の増収を維持で、好調という話もありますが、裏ではこんな話もあります。本来、1-3月期に計上すべき費用を4-6月期に回すなど、今期はムリして企業は決算をよく見せている。それは4-6月期の落ちこみを最小限にみせかけたい、という政府の要請で、大企業もやりくりしたためではないか、というのです。
以前、トヨタ決算を取り上げましたが、子会社は軒並み2桁減益になる中、親会社の増益基調に違和感を報じるところもある。1-3月期はGDPも示すように、予想外の伸びになったことから、企業としても1-3月期の利益の一部を4-6月期に回すことに、抵抗がなかった。それが4-6月期のマクロと、ミクロの違いとして現れているのでは? というのです。違法ではありませんし、実体は分かりませんが、外国人投資家は日本の企業決算を、見た目より評価していないことは確かです。
7月景気ウォッチャー調査が内閣府から発表されました。現状判断DIは前月比3.6pt上昇の51.3と、節目の50を上回りました。「やや良くなっている」「変わらない」が増え、「やや悪くなっている」「悪くなっている」が減った。構成比としても問題なく、雇用以外の全部門が改善しています。ただし、先行き判断DIは前月比1.8pt低下の51.5。しかも「やや良くなる」が大幅に減って、「変わらない」〜「悪くなる」が増える。しかも製造業以外、全部門がマイナスとなった。
今まで、メディアは先行き判断DIが改善するから、景気は上向きと言ってきましたが、それと逆のことが今回示されました。しかも地域別でみても、先行きは前月に大幅な落ち込みとなった北関東がややプラスになる以外、全地域が低下を示します。これは消費税増税に伴う反動減から新たなステージ、景気後退を意識させる水準に入った、ということを示すようにみえます。
日銀の黒田総裁が、政策決定会合後に会見を開いていますが、地政学リスクさえなければ順調、と述べています。物価も年度の後半には再加速、とも。もしそれが現実になれば、悪いインフレがさらに加速、実質賃金のマイナスも加速、日銀の語る「需給バランスやインフレ予想が物価を決める」という理屈にも合わなくなります。賃金は年度によって変化するため、インフレ率が低下する以外、実質賃金のマイナスは変わらない。その現状を直視すべきなのです。
しかも1-6月の経常収支が5075億円の赤字。1985年以降初の事態であり、問題はメディアが主に報じる燃料費の増などではなく、前年同期比で輸入(14.7%増)に比べて輸出(8.1%増)と、伸びが低いこと。為替の効果をのぞくと、輸出は数量ベースではマイナスになっているとみられます。依然として円安で輸出増、という安倍ノミクスの当初の目論見は、完全に外れたことになります。
この国際収支はGDPの押し下げ要因です。人口動態の推移によって、潜在成長率が下がる一方の日本は、さらに計上収支の面でも成長を押し下げはじめた。これが、外国人投資家による安倍ノミクスへの評価として、定着しつつある事実です。ミクロの値動きが期待できないのであれば、資金をおいておく必要がない市場、とみられつつある。さらにGPIF報道でも、昨日の値動きは以前と比べて増えなかった。これはワード検索型のアルゴリズム取引から、GPIFのワードが外されつつあることを示します。そして前日の反動がすぐに出たように、今後の安倍政権の年金頼み、には反応しなくなる恐れすらあるのです。株価が下がる、資産効果すら成長率を押し下げる段階になると、地政学リスクの前に、遅政学、恥政学リスクに反応しやすくなるのでしょうね。
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