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スカイマーク、苦境の予兆・ミニスカ機騒動で露呈したずさんな就航計画と、資金繰り不安
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140807-00010001-bjournal-bus_all#!bxtPfS
Business Journal 8月7日(木)3時0分配信
国内第3位の航空会社、スカイマークが苦境に立たされている。7月、国際線参入に向けて発注済みの大型機について、欧州エアバスがスカイマークに契約解除を通告するとともに、巨額の損害賠償を請求する方針が明らかとなった。その影響もありスカイマークは、同月31日に発表した2014年4〜6月期の単独業績決算で、事業継続に「重要な疑義」があると開示。その翌日から同社株価が続落した。
さらに8月6日には、成田空港発着の国内線を10月下旬に運休する方針を固めた。国際線参入をにらみ11年に成田空港へ就航したが、エアバスから巨額損害賠償を求められる可能性も重なり、これ以上、不採算路線を維持するのは困難と判断したとみられている。
一部では資金繰り不安もささやかれるスカイマークだが、同社混乱の予兆は今年前半からすでに表れていた。それがいわゆる「ミニスカ機」騒動である。
丈の短いスカートを着用した客室乗務員(CA)が搭乗するため、「ミニスカ機」として話題を呼んだスカイマークのエアバスA330-300型機が、3度の運航開始延期の末、6月14日、ついに就航した。
欧州エアバスの中型旅客機A330型機はデビューしてからすでに20年近くたつが、国内航空会社の採用としてはスカイマークが初。同社が主に使用している米ボーイングの中型旅客機B737型機に比べて一回り大きく、本来なら440座席を収容できる。だが、スカイマークはこれを271座席に抑え、全席を「グリーンシート」と名付けた「ゆったり座席」にしている。「空の旅の快適さを売りに」(同社関係者)するためだ。
さらにスカイマークがA330の話題づくりにしたのが、CAのいわゆる「ミニスカ制服」だ。発表と同時にこの制服だけがクローズアップされ、そのうち同社の狙いだったグリーンシートは忘れ去られる結果となったが、そんな中で露呈したのが、同社のずさんなA330就航計画だった。
●ずさんな就航計画
スカイマークの計画では、A330をビジネス客や観光客の多い羽田―福岡線に3月25日から投入し、「ゆったりした座席の魅力とミニスカ制服のPR効果」(同社関係者)で集客力を高めるはずだった。しかし、ズルズルと運航開始日がずれ込み、計画が反故になってしまった。
原因はパイロットの不足などによる国土交通省の事業認可の遅れ。スカイマークはこれまで米ボーイングの機材しか運航した経験がない。機材はメーカーごとに整備方式が異なるため、A330の導入に際して「整備マニュアルをゼロから作成し、整備士を再訓練しなければならなかった」(同)という。
また、スカイマークが予定していた2機のA330を運航するためには、通常は10名のパイロットが必要といわれている。ところが5月20日時点で、パイロットは6名しか採用できていない状態で、パイロットのA330への機種転換訓練も修了していなかったとみられている。
加えて、スカイマークは寄航地である福岡空港に整備士を配置していないため、パイロットも客室乗務員も特殊な訓練をする必要があったが、「これらの訓練も修了していなかった。これでは国交省も事業認可をしたくてもできなかったのだろう」。
ある航空評論家は「運航開始日ありきの経営姿勢が、パイロット不足などの準備不足を招き、運航開始日の度重なる延期をもたらした」と指摘する。
航空業界関係者も「悪天候による突然の欠航ならいざ知らず、あらゆる事態を想定して決定すべき運航開始日を安易な見込みで決めている。このため何度も就航延期を重ね、その度に運賃払い戻しをするなど、利用客に迷惑もかけている。航空会社の体を成していない」と厳しい。
A330のずさんな就航計画と符丁を合わせるかのように、スカイマークの業績も急降下している。同社が7月31日に発表した14年4〜6月期単独決算は、最終赤字が57億円(前年同期は12億円の赤字)に沈み、今後、エアバスへの違約金を「相当額負担せざるを得ない可能性がある」として、事業継続に「重要な疑義」があると開示した。
●市場でくすぶる資金繰り不安
この悪環境の中で、すでにA330のリース料支払いが始まっている。A330のリース料は同社が現在運航中のB737の約2倍。しかも、A330は運行開始延期で収入ゼロの期間が発生し、かき入れ時であるゴールデンウィークも逃してしまった。このため、「スカイマークの資金繰りは、今期(15年3月期)かなり苦しくなる」と予測する証券アナリストが多い。なぜなら、A330に加え、国際線への導入を予定している世界最大の旅客機A380のリース料支払いも始まるからだ。14年度だけで約400億円の支払いが発生すると見られている。
証券アナリストの一人は「どこで借り入れるにせよ、もし資金繰りが不調に終わればたちどころに経営危機が襲ってくる。今の同社の経営は極めて不安定」と分析する。さらに、市場関係者の間には「それを見越して、複数の大手航空と米投資ファンドがスカイマーク買収の準備を始めた」との情報まで流れている。
「ミニスカ機で一気に成長エンジンを噴かし、その勢いで国際線進出に打って出る」という奇策が裏目に出てしまわないか。スカイマークは早くも正念場を迎えている。
田沢良彦/経済ジャーナリスト
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