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大前研一:食品汚染を防ぐには「性悪説」を取らざるを得ない
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140806-00000002-fukkou-bus_all#!bwMtnY
nikkei BPnet 8月6日(水)8時21分配信
マクドナルドのチキンナゲットなどを製造していた中国の食肉加工会社「上海福喜食品」が使用期限切れの食肉を使っていた問題で、消費者の間で「食の安全」に対する不安が再び高まっている。これからは性善説ではなく性悪説でやっていかなければ、中国に限らず食品汚染は防げないと認識すべきだろう。
■外資系企業の問題と指摘する中国政府
米マクドナルドのドン・トンプソン最高経営責任者(CEO)は7月22日、上海福喜食品の食品安全問題について「少しだまされた」と語り、「問題があった工場からはもう調達していない」と述べた。また、日本マクドナルドホールディングスも25日、中国製チキン商品の販売を中止すると発表した。
この問題は、マクドナルドにも責任があることは言うまでもない。しかし、トンプソンCEOは「少しだまされた」と無責任な言い方をしている。
上海福喜食品は米食肉大手OSIグループの一員だ。OSIグループは中国に10カ所ほど工場を持っており、そのうちの一つが上海福喜食品である。
今回の問題は、上海福喜食品の内部告発に端を発している。上海のテレビ局が内部告発を受けて長期の潜入取材を敢行したといい、秘密裏に撮影した映像が放映されて大きな反響を呼んだ。香港でもこの工場からの食品が使われていたことが判明し、当初否定していたマクドナルドは謝罪に追い込まれている。
中国政府は、当該工場は外国(アメリカ)企業の経営であり、自国の工場に対するものとダブルスタンダードを用いておりけしからん、という主旨の発言をしている。つまり、これは中国企業固有の問題ではなく、外資系企業の問題である、と火消しに躍起になっている。
■中国離れが進み、タイなど他国へシフト
日本の報道番組などでもその映像は繰り返し放映された。床に落ちた肉を拾ってそのまま製造ラインに戻す。使用期限切れの肉を加工して「製造年月日」をリセットし、そのまま出荷する、といった信じられない光景が映し出されていた。
そんな映像が公開された以上、マクドナルドとしては中国製チキン製品の使用を中止するしかない。日本マクドナルドは8種類のチキン製品を中国とタイから調達していたが、現在はすべてタイ製に切り替えた、としている。
こうなると、タイ最大の財閥であるチャロン・ポカパン(CP)グループに注目が集まる。CPグループは食品を中核事業としており、今回の事件を受けて、早速、チキン製品に関する問い合わせが増えているという。
今回にかぎらず、中国企業は汚染食品事件を何回も繰り返してきた。中国離れが起き、タイなど他国へシフトしていくのは、しょうがないとも言える。
■売り上げ増やコスト削減で数々の食品重大事件
中国の汚染食品事例については、「中国汚染食品の主な重大事例」をご覧いただきたい。
過剰にえさを食べさせ、抗生物質や成長促進剤も過剰投与する「速成鶏」という事件もあった。コストダウンによる直接的な利益を動機として起きた事件だが、過剰な抗生物質や成長促進剤の長期的摂取により、乳幼児に骨格異常や発育異常が見られる事態を招いた。ウナギの養殖をやっていた私の友人は中国からのウナギの値段は日本のえさ代にもならない、と廃業に追い込まれている。つまり、何をえさに与えているのだろう、という疑問が最後まで残った事件ではあった。
そのほかにも、下水溝・排水溝にたまった脂っこい浮遊物を加工処理、抽出してできた油を売る「地溝油(ゴミ油)」事件(食中毒、発ガン性の恐れあり)、出荷前の豚肉に10〜20日間、肉赤身化剤を使用した「肉赤身化剤」事件(中毒事件が発生)、重量増加のために出荷前、食肉に水を注入した「注水肉」事件(食中毒が発生)など、実にさまざまな重大事件が起きている。
いずれも売り上げ増やコストダウンのために、安全性を無視したものである。マネジメントレベルからの不正もあれば、現場の従業員による行為もあるようだ。
■上司に疑問や不満を言える環境づくりが大前提
結局のところ、中国企業の従業員はあまりハッピーではないということなのだろう。従業員がハッピーでない企業や、マネジメントが不在で内部告発などに適切に対応することができない企業では、こうした事件が発生しやすい。
日本でも、待遇などに不満を持った従業員が毒を入れる事件が発生した。昨年10月にアクリフーズ(現マルハニチロ)群馬工場で、冷凍ピザなどに農薬のマラチオンが混入された事件である。事件を起こした契約社員は逮捕されたが、被害額は60億円近くになった。
こうした事件を防ぐには、最低限、抜き打ち検査する必要が出てくる。調査監視会社に依頼して、従業員に扮した調査員がチェックし、不正の証拠を集めて現場を正していく。
多くの企業は性善説に基づいた作業標準(SOP)で商品を生産しているわけだが、食品汚染を防ぐには性悪説に基づいてやっていくしかない。それと同時に、会社全般に言えることだが、従業員が疑問や不満を抱いたら上司に提案、発言できる環境を整えていくことが不祥事を防ぐ大前提であることをもう一度確認したい。
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