http://www.asyura2.com/14/hasan89/msg/573.html
Tweet |
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-1183.html
http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-1184.html
日本だけではなく世界を見回して、何がバブルで、何がバブルでないのかを直感的に振り分けてみましょう。
まず真っ先にバブルだと考えられている日本の国債(長期国債)はどうでしょう?
本日(7月29日)の10年国債利回りは0.52%しかありません。本年初めは0.74%だったので、かなりの低下です。
6月の消費者物価指数(総合)は前年同月比で3.6%上昇しています。消費増税分を除いても(これもおかしいのですが)1.6%の上昇です。黒田日銀総裁は来年中には2%の物価上昇目標を達成すると自信たっぷりです。
そのなかで10年国債利回りが0.52%ということは、実質利回りがマイナス1%をこえていて、消費増税分を含めるとマイナス3%にもなります。つまり10年国債を保有すると毎年1%(あるいは3%)ずつ損をしていることになります。
そりゃ日銀が「異次元」に国債を買い入れているからだろう?思われますが、長期国債の利回りは需給関係より「近い将来の日本経済」を反映するものです。つまり現在の10年国債利回りは、近い将来の日本経済の状況が「思わしくない」ことを示唆しており、バブルではありません。
以下、世界各国の10年国債利回りを並べます。単に「国債」と書きますが「長期国債」のことです。
2.50%の米国債も、1.12%のドイツ国債もバブルではありません。近い将来の経済状況を示唆しているだけです。
一方で、2.63%のイタリア国債、2.46%の(米国債よりも利回りが低い!)スペイン国債、3.58%のポルトガル国債、5.76%のギリシャ国債などは「りっぱな」バブルです。
これらの国債だけでなく、新興国全般の国債や世界の低格付け社債なども「りっぱな」バブルです。明らかにリスクに見合う「上乗せ金利」が不十分なところまで買い上げられているからです。大変に「危険」にみえます。
バブルの低利回りを前提としたこれらの国の株式市場もバブルの恐れがあります。
それでは、日本や米国やドイツの株式市場はバブルでしょうか? これはそれぞれの利回り水準から考えると「まだまだ割安」となります。
しかし全般的に収益予想の方がバブルのような気がします。特に日本では発表され始めた4〜6月期の収益が、総じて伸び悩みや減益が目立ちます。この収益予想バブルが弾けると調整となりますが、もう少し決算結果をみる必要があります。
これはあくまでも上場している「一部の選ばれた優良企業の決算」のことで、日本経済全般(たぶん急激に落ち込むと予想します)とはあまり関係がありません。
米国株でもドイツ株でも基本的に同じ構造です。
日本の都市部の不動産も、現在の収益利回りを維持できるのであれば、長期国債の利回り水準から考えて「まだまだ割安」となります。
じゃあ中国不動産こそバブルだろう?
そうかもしれませんが、中国政府が経済成長を7%台半ばに設定し(実際の成長率は誰もわかりません)、市中への資金供給を緩めに維持している限りは(維持するはずです)、バブルでも簡単に弾けません。
それでは本誌が考える「世界で最も弾けそうなバブル」は何でしょう?
それは航空機です。
スカイマークがエアバスの大型機6機を1900億円以上で発注しており、資金繰りがつかずにキャンセルとなり莫大な違約金を請求されそうですが、世界の航空機市場ではドバイのエミレーツ航空が200機もの中・大型機を990億ドル(10兆円)で発注しており、同じ中東のカタール航空やエティハド航空(アブダビ)も負けずに大型発注を行っています。
これだけではありませんが、どう考えてみても世界の航空機市場は「今にも弾けそうなバブル」と感じます。
*
昨日付け「同題」の記事にコメントをいただきましたので、もう少し続けます。
記事の中では、国債の価格が極端に上昇する(利回りが極端に下落する)状態をバブルと呼んだのですが、株式や不動産をバブルと呼ぶことに比べてやや違和感があったかもしれません。
株式や不動産をリスク商品、国債を安全商品と区別しているからですが、国債でも残存年数が長い「長期国債」は立派なリスク商品であり、そのリスクに見合った「上乗せ金利」が極端に縮小すれば(要するに長期国債の利回りが極端に低下するということですが)、やはりバブルとなります。
同じようにリスク商品である社債や新興国の国債などは、発行体の信用状況に応じた「上乗せ金利」が極端に縮小すれば、やはりバブルとなります。
あくまでも投資リスクがなく純粋な安全商品は現金だけで、それに預金や短期金融商品(例えばMMF)や残存年数が短い国債なども含まれます。現在では残存年数が3年くらいまでの国債も安全商品と見なされていますが、10年以上の国債は決して安全商品ではありません。
現在の債券市場の最大の問題は、この「長い残存年数に応じた上乗せ金利」と、社債や新興国の国債など「発行体の信用状況に応じた上乗せ金利」が極端に縮小していることで、やはり立派なバブルとなります。
コメントをいただいていますが、じゃあJ-REITはどう考えればよいのでしょう?
まずJ-REITは(他国のREITも同じですが)、国債や社債のような純粋な金利商品ではありません。あくまでも外部負債でレバレッジをかけて不動産で運用する投資信託で、金利裁定が働きません。つまり配当が高いJ-REITが「割安」とは限らず、長期的に修正されるとも限りません。
だいたいレバレッジの掛け方によって表面的な配当はいくらでも高く設定でき、あくまでも組み入れ不動産の収益力など「運用の稚拙」が問われます。つまりJ-REITを利回りで比較することは「間違い」なのです。
日本の長期国債に話を戻しますが、株式や不動産や海外投資や貸付などのリスクがとれない資金が、大挙して長期国債に向かっているというのも「違和感」のある説明です。「長期国債」つまり残存年数という立派なリスクを取っているからです。
じゃあこのバブルはいずれ弾けて、長期国債利回りは急上昇するのでしょうか?
よく日銀が「異次元」に長期国債をも買い入れているので利回りが急低下しているといわれます。しかしいくら日銀が「異次元」に買い入れても、市場が近い将来に貸し出しなどの資金需要が増加すると考えていれば、極端な低利回りが持続するはずがなく、さらに低下することは「もっと」ありません。
つまり長期国債の利回りが最近のようにさらに低下を続けている理由は、日銀が「異次元」に買い入れているからではなく(昨年4月からほとんど同じペースで買い入れているので新たに利回りを低下させる効果はないはずです)、市場の日本経済に対する見通しが「悪化」していることに外なりません。
米国でも資産買入れ(QE3)が本年1月から縮小されていますが、米国10年国債利回りは年初の3%から、直近では2.5%まで低下しています。それだけQE3縮小(本年10月に終了)の影響で、米国経済の見通しが「やや悪化」しているためと考えられます。
つまり日本の長期国債バブルは、日本経済に対する見通しが「急激かつ劇的に」改善しない限りは弾けません。つまりかなり長期にわたって弾けることはないと考えます。
じゃあもう1つの社債や新興国の国債などの「発行体の信用状況に応じた上乗せ金利」のバブルはどうでしょう?
これははっきりと「今にも弾けそうなバブル」で、すぐにでも逃げだすべきと考えます。
日本企業の発行する社債は、日本経済の見通しが「悪化」している中で「上乗せ金利」が縮小することは、はっきりと矛盾しており、同じように米国経済をはじめとする世界経済の見通しが「悪化」しているとすれば、新興国の国債の「上乗せ金利」が縮小することも、大いに矛盾しているからです。
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。