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アルゼンチンがなぜデフォルトするのか?(2014.07.29.闇株新聞)
http://www.asyura2.com/14/hasan89/msg/570.html
投稿者 五月晴郎 日時 2014 年 8 月 05 日 03:30:28: ulZUCBWYQe7Lk
 

http://yamikabu.blog136.fc2.com/blog-entry-1181.html

 7月30日には懸念されている通り、アルゼンチンがデフォルトとなりそうです。ただ今回は、かなり特殊な事情があるためテクニカル・デフォルトといわれています。

 アルゼンチンといえば、通貨ペソが本年1月22日〜23日に1ドル=6.5ペソから一時8.5ペソまで急落し、それにつられてトルコ・リラ、南アフリカ・ランド、ロシア・ルーブル、インド・ルピー、インドネシア・ルピアなどが軒並み下落し、NYダウや日経平均もかなり下落した記憶が新しいところです。

 今回の問題の発端は2001年で、アルゼンチンは920億ドルという「人類史上最高額のデフォルト」を引き起こしました。その中には1900億円のアルゼンチン政府発行の円建て外債(サムライ債)も含まれていました。

 1991年にペソを等価(1:1)で米ドルに固定して外貨流入を図ったのですが、インフレが低下せずペソが割高になっていたところ、1999年に同じように通貨レアルをドルに固定していたブラジルが変動相場に移行したため一気に輸出競争力を失い、経済が破綻してしまいました。

 ようやく2005年と2010年に平均75%の債権カットを93%の債権者が呑み、アルゼンチン政府も返済を始めました。現時点で残債が150億ドル程度となり、アルゼンチンの外貨準備も(本年初めのペソ急落でだいぶ減ったのですが)280億ドルあり、このままだと順調に返済は進むものと思われていました。

 ところがアルゼンチンがデフォルトした前後に、米国人投資家のポール・シンガーがいくつかのヘッジファンドを通じて債権(アルゼンチン国債のようです)を額面の数%で大量に買い集めていました。

 そして一切の債務交渉に応じず、利息を含めた元本全額の13億3000万ドルの支払いを求めてNY連邦地裁に提訴していました。驚くべきことに2012年11月にNY連邦地裁のトーマス・グリーサ判事がアルゼンチン政府に対して全額支払い命令と、同時に他の債権者(75%の債権カットを呑んだ債権者です)への支払いを停止する命令を出しました。

 米国では地裁の判事が売名のために「過激な判決」を出すことは珍しくありませんが、もっと驚くべきことに本年6月に米国最高裁がアルゼンチン政府の不服申立を却下してしまい、グリーサ判事の判決が確定してしまいました。

 アルゼンチン政府は、6月30日に予定していた和解済みの債権者に支払うべき8億3000万ドルを支払えず(そのうち米銀に預けていた5億4000万ドルは凍結されたはずです)、30日の支払い猶予期限が切れる7月30日にはデフォルトとなってしまいます。

 ここで複数のヘッジファンドが全額支払いを求めていると報道されていますが、債権者はポール・シンガーただ1人です。
 
 日本でも貸付債権などを大幅ディスカウントで買い集めて猛烈に回収する業者がいますが(例えばJトラスト)、ポール・シンガーは国家を相手に1000億円の「勝負」を仕掛けていることになります。まあ道義的には大変に問題がある「勝負」に米国裁判所が加勢したという「驚くべき構図」となります。

 ポール・シンガーは日本ではあまり知られていませんが、米国では著名な投資家の1人です。旗艦ファンドのエリオット・アソシエイツを通じて、サブププライムローン危機でも空売りでかなり儲けたはずです。

 また2011年の大統領選挙では共和党候補者のミット・ロムニーを支援していましたが、もともとロムニーも大富豪なのでそれほど資金を「無駄にした」わけではなさそうです。

 日本では、昨年9月には2度目の会社更生法の適用を申請していた三光汽船のスポンサーに名乗り出ています。

 さてアルゼンチン政府はポール・シンガーに屈してしまうと、せっかく和解した投資家も全額返済を求めてくるため、デフォルトとなっても頑張るしかありません。

 しかしアルゼンチン政府は、凍結の恐れがあるといってもドル決済をやめてしまうわけにもいかず、長期戦は不可能です。

 落としどころは全く想像がつきません。

 世界の金融市場に対する影響は、今回はアルゼンチン経済そのものの問題でもないため、限定的なものとなるはずです。  

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コメント
 
01. 2014年8月05日 06:33:37 : JnmY7i5YLg
借金の大半を割り引いてもらって「デフォルトではない」というアルゼンチンも厚顔だが、「絶対割引に応じない」という米も強欲だ。

02. 2014年8月07日 10:09:02 : nJF6kGWndY

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41428
アルゼンチンの債務物語:変化なし
2014年08月07日(Thu) The Economist
(英エコノミスト誌 2014年8月2日号)

アルゼンチンが再びデフォルトした。だが、債権者との取引は不可能ではない。

 失望、メロドラマ、そして、かすかな希望の光――。債務再編に応じなかった「ホールドアウト」債権者とのアルゼンチンの法的な膠着状態の最近編の材料は、痛いほど見覚えがある。

 失望は、アルゼンチンが史上8度目のデフォルト(債務不履行)に陥った7月30日遅くにやって来た(下図参照)。メロドラマは、その判決が今回の事態を招いたニューヨーク連邦地裁のトーマス・グリーザ判事に不満をぶちまけるアクセル・キシロフ経済相によるものだった。そして希望は、まだ和解の可能性が残っていることだ。

 アルゼンチンが2001年に810億ドルの債務で返済義務を果たさなかった前回のデフォルトが、今回のデフォルトの発端だ。当時の債権者の多くは、デフォルトした債務を2005年と2010年に行われた2度の債務再編で新たな債券と交換した。

 だが、少数の債権者は違う道を選んだ。その法律に基づいて元々の債券が発行されたニューヨークの裁判所で元本と利息の全額返済を求めるために、デフォルトした安い債券を買いあさったのだ。

 ヘッジファンドのNMLキャピタルを筆頭とするこれらホールドアウト債権者の一団――キシロフ氏とその上司であるクリスティナ・フェルナンデス・デ・キルチネル大統領はむしろ「ハゲタカ」ファンドという用語を好む――は、ホールドアウト債権者たちが求めている13億ドルを利息とともにアルゼンチンが払わない限り、債務再編に応じた新債券保有者に返済することを禁止する裁判所命令を勝ち取った。

 これは、アルゼンチンがホールドアウト債権者と取引するか、もしくは新債券保有者への返済を停止してデフォルトに陥るか、どちらかしかないことを意味していた。

アルゼンチン政府とホールドアウト債権者の見解の相違

 アルゼンチン政府は、新債券保有者への支払い猶予期間が切れる前日の7月29日までホールドアウト債権者と直接会うことさえ拒否した。

 政府は、再編後の債券に含まれる「RUFO条項」を発動させることなしに、ホールドアウト債権者に返済することはできないと主張した。年末に期限を迎えるこの条項は、アルゼンチンが、全債権者に同じ条件を与えることなく、2005年と2010年の債務再編で債権者に与えたものよりも良い条件を(他の債権者に)「自主的」に与えることはできないと定めている。

 ホールドアウト債権者は政府のこの言い分に反論し、どんな裁判官も裁判所が命じた返済を「自主的」と解釈することはないと主張した。


 結局、ニューヨークで行われた直接交渉が突破口を生み出すことはなかった。交渉後の言葉は厳しいものだった。

 キシロフ氏は、新債券保有者への支払い義務を果たす用意がアルゼンチンにある限り、アルゼンチンがデフォルトであるはずがないという公式見解を繰り返した。キシロフ氏はとげとげしい雰囲気の記者会見で、グリーザ判事の精神状態、交渉の監督に任命された調停人の誠意、国際的な格付け機関(そのうちの1つ、スタンダード・アンド・プアーズ=S&P=はアルゼンチンの外貨建て債務を格下げした)の客観性に疑問を投げかけた。

 一方、NMLは、調停人は多くの創造的な解決策を提案したが、アルゼンチンはデフォルトすることを選択したと述べた。

 それでも希望は残っている。両者が協議していた頃、アルゼンチンの民間銀行団が結集してNMLの債権をすべて買い取り、その後、RUFO条項が失効した後の返済に関わる取引を政府と交渉するかもしれないという噂が飛び交った。

 キシロフ氏はじらすように、政府はホールドアウト債権者とは合意に至らなかったが、非政府の和解はまだ可能だと述べた。

 「民間参加者同士の解決策なら、私にとって奇妙なものではない」(キシロフ氏)。RUFO条項が発動されないように、第三者間の取引に参画していないように見えることは、キシロフ氏にとって都合がいいと推測する者もいる。裁判所が任命した調停人のダニエル・ポラック氏は、今後も取引をまとめる手助けをすると述べた。

デフォルトから早期に抜け出せば影響は軽微だが・・・

 合意が達成され、アルゼンチンがすぐにデフォルトから抜け出せば、デフォルトの影響は抑えられるかもしれない。例えば、S&Pの決定は簡単に取り消される可能性がある。そうなれば、「クロスデフォルト」条項が発動されて、ニューヨークの法律に準拠する債権者だけでなく、外国法に準拠するアルゼンチンの全債権者から即時返済の請求が出される可能性を回避する助けにもなるかもしれない。

 デフォルトの国際的な影響も小さいと見られる。アルゼンチンは13年間、国際的な資本市場から締め出されてきた。外国法に基づく同国の債務は、2001年の水準の3分の1を若干上回る程度だ。

 だが、長くデフォルトした状態にいればいるほど、アルゼンチンにとってコストは増えていく。「状況は破壊的ではないかもしれないが、それでもデフォルトは政府が選択し得た最悪の判断だった」とACMコンサルタンツのマキシミリアーノ・カスティーヨ氏は言う。

 アルゼンチンは外国資金へのアクセスなしでやっていくことに慣れていたかもしれないが、同国の外貨準備は減少しており、2000年代にコモディティー(商品)価格の上昇から受けた経済浮揚効果が繰り返されることはないだろう。アルゼンチンは成長するために借り入れを行う必要がある。

インフレが昂進し、景気後退が深刻化する恐れ

 政府もそのことは知っている。政府は過去数カ月間で、投資紛争解決国際センター(ICSID)や債権国の非公式団体であるパリクラブ、アルゼンチンの国営石油会社YPFに対する持ち株を2012年にアルゼンチンが接収したスペインの石油会社レプソルとの紛争を大急ぎで解決してきた。デフォルトはこの進展を帳消しにしてしまうだろう。

 現在の懸念は、赤字を埋めるために紙幣を増刷する必要性がインフレに一段と拍車をかけ、為替レートに新たな圧力をかけることだ。デフォルトが消費に与えるだろう動揺を考え合わせると、今年初めにアルゼンチンが陥った景気後退は深刻になる一方だろう。

 コンサルティング会社アベセブ・ドット・コムは、2014年にアルゼンチン経済が3.5%縮小すると予想している。アルゼンチンがデフォルトを回避していたら、その予想は1.5%の縮小ともう少し緩やかだった。


03. 2014年8月08日 14:24:16 : VaUEu8YR62
BRICSが助けるから心配無用。アルゼンチンが助かれば他の国もBRICSに参加する流れになる。いわばサンプル例を見せつければ、ますますドル圏は衰退していく。ハゲタカファンドが国をつぶす時代は終わるかもしれない。ファンドが先につぶれるかも。悲惨だと思う。

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