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まだまだ暑い日本列島。8月は花火の季節だが、為替市場もこれから華々しいことになる可能性も?(長野の諏訪湖祭湖上花火大会、今年は8月15日の予定/アフロ)
ドル円相場は「緊張の夏」を迎えている 8月13日前後から、あのストーリーが復活?
http://toyokeizai.net/articles/-/44470
2014年08月04日 2014年08月04日 村上 尚己 :アライアンス・バーンスタイン マーケット・ストラテジスト兼エコノミスト
消費増税後の日本経済は、停滞が続いている。6月分までの主要なマクロ経済指標が出そろったので、消費を含めて、日本経済全体の増税後の状況がほぼ判明した。日本経済は2014年1〜3月に、増税前の駆け込みで年率7%近い高成長となったが、4〜6月にはその反動減で、1〜3月の高成長分がほぼそのまま落ち込む、年率マイナス7%前後の大幅なマイナス成長となったとみられる。
■なぜ個人消費は「駆け込みの反動」以上に落ちたか
この大幅な成長率の落ち込みの主犯は個人消費である。駆け込み需要で個人消費は大幅に伸びたが、「1〜3月に増えた分より相当大きく」、4〜6月に落ち込んだとみられる。駆け込み需要で増えた分の反動減だけなら、これほど大きくは減らない。つまり、駆け込み需要の反動減以外の要因で、増税後に個人消費が抑制されていることを意味する。
「駆け込みの反動減」以上の個人消費の落ち込みは、消費税率引き上げによって実質可処分所得(消費に使える収入)が大きく目減りしたことが、個人消費を抑制しているとみてよいだろう。脱デフレ過程で起きる、労働市場の需給改善で名目賃金がようやく上がり始めた段階なのに、早すぎる大型増税が実現し、2013年度の日本経済回復のけん引役だった個人消費を抑え込んでいるということだ。
一方で、米国では先週4〜6月実質GDP成長率が一足早く発表され、前期比年率4.0%と高成長となった。1〜3月の同マイナス2.1%(マイナス2.9%から上方修正された)の落ち込みから一転し、潜在成長率を大きく上回るペースに大きく加速した。
米国のGDP成長率も1〜6月でならすと、僅かなプラス成長に過ぎない。ただ、2014年前半のGDP成長率は冴えないが、米国では、労働市場や企業の生産活動を示す経済指標は実は好調である。例えば、非農業門雇用者数は1〜6月平均で23万人/月と、2013年までの20万人と比べると、雇用の伸びは加速している。
■米国経済の堅調、日本経済の「停滞」が明らかに
米企業景況感を示すISM(米供給管理協会)などが発表するサーベイ指数は、寒波の悪影響がでた冬場に一時的に悪化したが、それ以降は順調に戻っている。この回復は、消費者心理を表すサーベイでも確認されている。調査機関カンファレンスボードが発表した消費者心理指数は、足元の7月時点で、リーマンショック前の2007年以来の高水準まで回復している。
これらのサーベイ指標改善に加えて、鉱工業生産や企業売上などの企業サイドの統計は総じて堅調である。これらの動きを踏まえると、2014年前半の米国経済は、冴えなかったGDP統計が示すよりも、高い成長が実現しているかもしれない。米GDP統計については、推計方法の変更があったことなどから、実態を正確に捉えられていない可能性がある。
いずれにしても、現在の米国と日本の経済状況を比べる観点では、「米国経済の堅調、日本経済の増税後の停滞」のコントラストがより鮮明になる。8月13日に内閣府が、4〜6月の日本の実質GDP成長率を発表するが、これを控えて為替市場では、日米両国のファンダメンタルズ格差に注目が集まる可能性がある。
2014年前半のドル円相場は、世界の株式市場や米国長期金利の動きとほぼ連動してきたが、7月になって連動性が薄れ膠着状態が鮮明になった。その後、地政学リスクの高まりなどをきっかけに米長期金利が低下しても、ドル円は円高にほとんど動かなくなっていた。そして7月末になると、米国ファンダメンタルズ改善に対して、長期金利よりも敏感に反応する場面が増えているようにみえる。
「米国経済は案外堅調であり、米FRBの金融政策の利上げ開始に向けていずれは動く」、とうい大きな流れが、ドル円方向を決定づける構図が改めて認識され始めている。
■「追加金融緩和」というストーリー復活も
実際に、米国経済が底堅さを反映して、7月末のFOMCでは金融政策の判断は変わらずサプライズこそなかったが、経済指標の改善をうけてFRBの景気判断を前向きな方向に変わっていることが示された。こうしたFRBの経済判断の変更が、出口政策を見据えてFRBによる市場とのコミュニケーションが変化するとの思惑をもたらし、それが予想外に強いドル高要因になる可能性がある。
一方、日本については、8月13日(水)の4〜6月GDP発表を控えて、増税後の落ち込みと、その後しっかりと回復に転じるかについて、投資家の疑念が高まる可能性がある。日本ではこれまでの円安による押し上げ効果が剥落して、秋口にかけては消費者物価の上昇率が低下する。こうした中で、景気停滞への思惑が重なれば、「もはや追加金融緩和は当面ない」と思われた日本銀行が、再び金融緩和に踏み出すのではないかという思惑が浮上する可能性がある。
日米両国の金融政策の方向性の格差が、ドル高円安をもたらすというのは、昨年末からのコンセンサスだった。ただ、それはFRBとECBの金融政策の方向の違いで、ユーロ安が進むという格好で起きた。もし、忘れられかけているこのストーリーがドル円相場でよみがえれば、ドル円相場も「暑い夏」を迎えるだろう。
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