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講演する日銀の黒田総裁=東京都内のホテル
【底流】物価上昇2%に懐疑的な見方 日銀総裁“異次元”の強気どこまで
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140802/fnc14080218000003-n1.htm
2014.8.2 18:00 産経新聞
日銀による2%の物価上昇率目標の達成を危ぶむ見方が広がってきた。黒田東彦総裁は達成になお揺るぎない自信を示すが、物価を押し上げてきた円安は一服。輸出は伸びず、実質賃金も増えないなど足元の経済指標は順風満帆とはいえない。民間エコノミストがそろって日銀が目指す「2015年度前後の2%到達」を不可能とみる中、黒田総裁はどこまで“異次元”の強気を貫けるのか。
「説明できないほどの大きな乖(かい)離(り)だ」
SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストが指摘するのは、消費税増税の影響を除外した物価上昇率(生鮮食品を除く)の予想値だ。日銀は平成26年度1.3%、27年度1.9%と7月15日の金融政策決定会合でも従来見通しを維持。一方、日本経済研究センターが同10日まとめたESPフォーキャスト調査では民間の予想平均が26年度1.11%、27年度1.12%と15年度に0.78ポイントに広がる。
燃料の輸入価格を押し上げていた円安の効果がなくなり、増税という景気の下押し材料もある。このため、物価上昇率は夏場にいったん落ち込むが、日銀は「14年度後半にかけて次第に加速していく」と予想する。民間のエコノミストはこうした見方に懐疑的だ。
日銀の自信の裏にあるのはこれまでの実績。昨年4月の「異次元緩和」導入の直後、日銀は25年度の物価上昇率を0.7%と見込んだ。市場では0.3%程度にとどまるとの見方が多かったが、ふたを開けてみれば0.8%上昇した。
円安が最大の要因で、 ある証券系エコノミストは「歴史上、為替と物価の相関関係は不安定。円安がこれほど物価を押し上げるとは思わなかった」と予想が外れたことを率直に認める。ただ、一方でその予想がどちらに転ぶかは専門家ですら未知数だった。
今回、日銀が民間予想と大幅に異なり、今年度後半から物価上昇率が急回復すると見込む根拠は、雇用情勢だ。
流通や建設業を中心に人手不足が深刻化。日銀はこうした状況が今後、労働需給を引き締めて所得環境を改善させ、消費を盛り上げることで物価上昇が加速するとみる。
これに対し、民間エコノミストには「賃金増が物価上昇に追いついていない」と指摘する声が多い。実際、6月の実質賃金指数は前年同月比3.8%減と12カ月連続でマイナス。今後も劇的には改善せず、物価上昇の歯止めになるとみている。
宮前シニアエコノミストも「賃金が2%上がれば、物価上昇率2%は可能」と分析する。ただ、今年の春闘では多くの大手企業がベースアップを含む賃上げを実施したが、来年も続くかは微妙。ある自動車大手の幹部は「物価上昇分を賃金に反映させたいが、競争環境が熾(し)烈(れつ)になっており、慎重にならざるを得ない」とこぼす。
25年度と同様に今回も黒田氏の強気の見方が、民間エコノミストの“総意”を打ち砕くのか。当面は物価上昇率の「1%割れ」の有無が焦点となる。
黒田総裁も増税の影響などで7月以降、物価上昇率が落ち込むことは認めるが、15日の記者会見では「1%台を割る可能性はない」と言い切った。
これに対し、みずほ証券の上野泰也・チーフマーケットエコノミストは「0.9%ぐらいまで落ち込むと思う」と指摘。それが現実のものとなれば、「そこからV字回復するというのは非現実的」(上野氏)とする。
黒田氏には追加緩和というカードがある。ただ、現時点ではあくまで強気のため、市場では「年内の追加緩和を見送る可能性は8割」(宮前氏)などと、1%をギリギリ割り込むぐらいでは追加緩和はしないとみられている。
追加緩和に踏み切れば、「効果がなかった場合の失望感はより大きくなってしまう」(都銀大手)という事情もあるため、軽々にはカードを切らず、「期限を曖昧にして現在の緩和策を続けるのではないか」と宮前氏は分析する。
実際、黒田総裁は今春、「26年度の終わり頃から27年度にかけて」としてきた2%の到達時期について、「27年度を中心」と幅を持たせた表現に変えた。
こうした微修正で市場をコントロールし続けることができるか。「今後数カ月で日本経済に好転の兆しが見えなければ、アベノミクスと日銀の量的緩和策は失敗したと判断できる」(中国の経済日報)という見方が広がる前に“サプライズ緩和”に踏み切る可能性も否定はできない。(藤原章裕)
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