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一部商品で期限切れ鶏肉の使用が発覚した、日本マクドナルドの「チキンナゲット」
ベネッセ流出、期限切れ鶏肉…監視と個人情報の問題露呈、どう解決し企業成長につなげる?
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140731-00010003-bjournal-bus_all#!brkJcA
Business Journal 7月31日(木)3時0分配信
3月7日付当サイト記事『万引き、困難さ増す店側の対応と経済的喪失〜防犯強化・訴訟回避・顧客満足をどう両立?』に続き、今回は7月に発覚したベネッセホールディングスの会員情報流出事故や、使用期限切れ鶏肉を使用していた中国食肉加工会社が工場内に監視カメラの増設を決めたことなどを受け、防犯としての監視とプライバシーの問題と、それらが企業活動にどのような影響を与えるのかについて考察します。
(1)日常生活と監視社会
企業における情報漏洩や食品の安全性等に問題が発生すると、監視体制の強化に注目が集まります。例えば誘拐事件の捜査では、事件発生場所近くから徐々に周辺に拡大していくように、監視カメラ映像の回収や分析が行われます。現在では繁華街やコンビニエンスストア、ドラッグストアなどに多数の監視カメラが設置されており、事件調査時などに活用できるよう膨大なデータが集められています。
映像から本人を特定するための分析技術はさらに発展しており、表面的な身体的特徴を人間の力で判断するだけではなく、歩き方やしぐさ、整形できない顔のパーツによる認証など、本人性を確認する手段の多様化が進んでおり、プライバシー保護とのバランスが難しくなってきているという問題も指摘されています。
(2)情報漏えい事故で議論される論点
ベネッセから大規模な情報流出事故が起こり、同業他社や消費財を扱う複数の企業が流出した個人情報を営業活動に使用していた事実が発覚しましたが、企業の責任や監視体制、セキュリティ認証の有効性など、現在もさまざまな対策について広く議論がなされています。
その中でも、ルールとしてやってはいけないことを発生させないように「いかに企業の側が対策を行うのか」が重要であり、リスクマネジメントの一環として「いかに罪を犯さないように環境を構築するか」は、今後さらに議論の深化が求められてきます。ちなみにITを活用した監視は、IT機器の操作履歴や変更履歴(ログ)の管理と、一般的な監視カメラ等による挙動の監視に分けられますが、本編では後者について考察していきます。
ちなみに、万引き(窃盗)抑止の最も有効な手段が「店員による声掛け」(都道府県発行「万引き防止マニュアル」より)であると認識されており、流通・外食業界における人材不足が社会問題化しつつある中、企業は万引き防止と人材確保という2つを両立させるための新たな取り組みを行わなければなりません。
(3)犯罪と監視カメラ
7月、岡山県倉敷市で女児誘拐監禁事件が発生し、誘拐発生エリアの監視カメラ映像を集めていく警察の動きに注目が集まりました。目撃情報を集め、不審車両の情報から容疑者を絞り込み、さまざまな証拠を元に捜査が進められましたが、犯人の「大量のお菓子を買い込んでいた」という非日常的行動が逮捕につながりました。行動の特異性を確認するためには、日常の行動が把握されていてはじめて判断できるため、近隣住民や近隣店舗等からの適切な情報収集が犯人逮捕につながったものと思われます。情報収集の方法が露骨であったためさまざまなリスクが想定されたという批判も一部からは寄せられましたが、早期解決に向けて積極的に活動した結果といえるでしょう。
ただし、大都市圏と地方都市では、個々人の距離感およびプライバシーに対する感覚に違いがあるので、今回のような事件が大都市圏で発生した場合に、隣の住人すら知らない生活の中で他人の非日常的な行動を把握するということは難しく、それゆえ最近流行のビッグデータ研究のテーマになるかもしれません。
(4)SNSとプライバシーの問題
現在では多彩なソーシャルネットワーキングサービス(SNS)が普及し、人々の日常がクラウド上にデータとして保存されており、それらのデータから特定の個人の行動特性を分析することができるツールも市販されています。FacebookやTwitterに投稿した情報が原因で仕事を失ったり、就職の内定が取り消しになる事例も増えていますが、自身や友人知人の犯罪行為を公開して逮捕されるというのも新たな現象といえます。
さらに、LINEなどのメッセンジャーアプリによるヴァーチャルなコミュニティで問題となっている依存や仲間外れは、未成熟な世代のプライバシー意識の希薄さと相まって多くの課題を投げかけています。一時の書き込みや撮影、情報の公開が、本人のその後の人生にどのような悪影響を及ぼす危険があるのか、親世代がきちんと伝えていかなければなりません。詳細については、法務省HP上で公開されている『小学生を対象とした法教育教材例の作成について』など、プライバシー教育に関する情報に目を通しておくことをお勧めします。
(5)プライバシー意識の醸成
SNSにおける課題・問題(仲間外れや、ストーキング、リベンジポルノ等)は、ユーザー同士のプライバシー意識の希薄さにより拍車がかかっていますが、半面、最近のテレビ番組で多用される一般人の顔へのモザイクや、公的団体による路上での顔認証システムを活用した調査事業への反対運動が高まるなどしており、SNSにおけるプライバシーの問題が今後、議論を呼ぶでしょう。
(6)犯罪抑止のための監視体制
筆者が接するIT業界やITセキュリティ業界、サイバーセキュリティ業界では、重要な情報資産や特許情報を扱う職場での入退室管理に、監視カメラと生体認証を組み合わせた対策を行っている企業があります。これには、社員に「犯罪行為はすぐにばれる」というメッセージを送る目的もあります。
商取引の世界では、法令を侵害しない範囲での約束ごとは有効ですので、売る側も買う側も、仕事を発注する側も受注する側も、疑われることなく安心して仕事をするための取り組みに対しては、さほど過剰な反応は持たないことが多く、また、監視カメラの下での仕事を望まなければ断ることもできます。
(7)技術革新と認証技術
万引き(窃盗)防止に欠かせない認証システムについても触れてみたいと思います。
一昔前まで、駅の改札では駅員がハサミで切符に切り込みを入れていました。高速道路では入口で職員にお金を渡しておつりをもらっていました。それが現在では、駅の改札はICカードで通過でき、高速道路はETCシステムで通行可能となっています。待ち時間の低減だけではなく、ICカードやETC利用者の情報も多くの場面に利用されています。
今後さらに生活の利便性を求めていくと、人間の作業だったものが機械に置き換わり、人間はさらに価値の高い仕事に従事する。機械に置き換わった作業はさらに効率を求めて仕組みを新しくしていくというのが、ビジネス高度化の1つの特徴でもありますので、サービス業や小売店、アイドルの握手会等で使用されるような「防犯目的」だけではなく、大規模施設の入退場管理など広い領域で認証システムが活用されることは、ビジネスプロセスの効率化につながります。その点において、前回記事で取り上げた、NECやLYKAONの認証技術の進展には期待したいところです。
(8)結論
少子高齢化に伴い、将来的に若手労働人口は減少していきます。昨今、流通・外食など一部の業界で人材不足が社会問題化しつつありますが、有効求人倍率を職種・業種別で見ると、多くの業種における事務職は飽和状態です。今後、一部の業界で人材不足が継続していくとすれば、企業は人材の募集より業務の機械化に比重を置く流れになっていくでしょう。さまざまな仕事が機械化されていくことには多くの懸念も示されていますが、人材不足に悩まされることなく事業を継続するためにも、企業が業務の機械化に積極的に取り組むという動きは、加速していくのではないでしょうか。
荒川大/株式会社ENNA代表取締役
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