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最低賃金と鉱工業生産指数
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52624934.html
2014年07月30日 在野のアナリスト
2014年度の最低賃金が決まり、前年実績で16円高い780円としました。これに安倍応援メディアはすぐ『年間1万円も手取りが増える』といった、奇妙な主張を見出しに掲げますが、これでは2%強、消費者物価が3.3%も上昇する中ですから、実質賃金はマイナスです。デフレ下であれば2%強は評価できても、安倍政権のめざす脱デフレ下では赤点です。生活は益々苦しくなる。安倍政権へ、最近高まる不満とは、実はこうした政権のめざす方向性が、国民の幸福に結びつかないのではないか? といった不信感により醸成されているといっても間違いありません。
今日発表になった6月の鉱工業生産指数は、ちょっと衝撃でした。速報値で96.7%、前月比で3.3%の大幅な低下となり、1%程度の低下をみこんでいた市場予想も、大幅に下回ってきました。しかも出荷が鈍り、在庫が積み上がる。経済活動全体の低下を意味するものです。7、8月は2.5%、1.1%の上昇をみこみますが、5月の水準にはもどらない。つまり夏場にかけても消費税増税の影響は払拭できない、となり、長期化する傾向すらうかがえます。実質賃金の目減りは、消費全体を抑制させるのですから当然ですが、外需も悪化しているため、こうした大幅な低下につながっています。
しかし今回、特徴的なのはマクロの悪化が、ミクロと逆行している点です。ホンダの好決算など、小型車が牽引と伝わりますが、実は小型車の売れ筋、フィットなどのエンジン制御系にトラブルがあり、リコールがくり返される異常事態です。軽自動車は好調ですが、輸送用機械の悪化を、ホンダだけは無視しているような今回の決算には、やや意外感すらただようものです。
証券系アナリストからは、4-6月の増税の影響は軽微、として業績予想の上方修正が目立ちます。しかし上述したように、マクロでは悪い数字が並んでおり、政府のいう『想定通り』どころか、リーマンショック以来や、震災直後、といった低下を示している。一方でミクロはファナックなど、好調が目立つ。これは愈々、日本企業と云いながら、海外で稼ぐ傾向が強まってきた、ということです。それは安倍政権がめざしてきた円安の効果は低い、ということを示しており、これも安倍政権の方向性に、国民が懐疑的となる原因なのでしょう。円安にすればコストプッシュインフレが起こり、国民は不幸になる。そうした認識が広がってきていることも影響します。
米国の4-6月期GDP速報値が発表され、年率換算で前期比4.0%増となりました。個人消費が2.5%増と牽引した形ですし、民間設備投資も在庫投資も大幅に増えた。ただし在庫投資は将来の需要を先食いしたこともあり、住宅に関する指標に軟調なものが目立ち始めた現在、米国の先行きにも多少の翳りが見受けられます。1-3月期の大幅な落ちこみは、これでカバーできたようにも見えますが、7-9月期にも試練を迎えるかもしれない。それは米国の賃金上昇率にかかってくるのでしょう。
日本の企業も、日本のマクロに影響されず、こうした米国の好調さに引きずられて、好調な決算をだすのなら、益々経済まで米国に牛耳られる傾向を強めている、とも言えます。結局それは、自民党や官僚がめざしてきた国づくりが、自立自存の道をめざしてこなかった、という方向性の誤りの結果でもあるのでしょう。日本の4-6月期GDPの民間予想は、前期比2.0%減、年率では8.0%減と試算されています。こんな落ちこみでも企業決算が好調なら、企業もジャパン・パッシング、日本という市場に目を向けなくなり、外需依存度を高めてしまうだけです。実質賃金が低下をつづけ、鉱工業生産が大幅な低下を示す中、そうした事態が近づいており、安倍ノミクスという方向性の誤りを、如実に示す結果という言い方もできてしまうのでしょうね。
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