01. 2014年7月30日 19:22:45
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ロシア制裁が当初の市場の想定より結構大きくなりそうだし、中東、新興国などに加え、特に今後のユーロ圏の下振れが、日本経済にダメージになるだろう企業の投資意欲とインフレ期待が、政府・日銀の想定以上に低下すれば、シナリオ変更で、対策コストは膨らむことになる http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0FZ0NP20140730 焦点:6月生産失速で景気後退不安浮上、夏場も2期連続減産リスク 2014年 07月 30日 17:19 JST [東京 30日 ロイター] - 30日発表された6月鉱工業生産統計速報は、増税後の景気後退への警戒感を一気に高める内容となった。家計では4月の消費増税による需要の反動減が薄れつつあるとみられる中、出荷が5カ月にわたり減少、企業景気が在庫調整局面に差し掛かっている可能性を示した。
消費税10%への引き上げの判断材料となる夏場の動向についても、輸出数量の低下や実質所得減少に伴う消費の慎重化が強まると2期連続減産となりかねず、景気回復シナリオは崩れかねない情勢となる。 <反動減でなく、需要減退の始まりか> 「単なる反動減ではないかもしれない」──。経済産業省幹部は6月の鉱工業生産の内容をみて、景気変調への不安をにじませた。前回の景気の山とされた12年4月からの生産統計では、6カ月連続で出荷が低下した。今回は5カ月連続の落ち込みとなり、状況は極めて類似してきた。しかも今回はほぼ全ての業種で低下となり、製造業全体が沈んだ状況だ。 家計調査という需要側統計からみれば消費の反動減は徐々に薄れてきている局面であるにもかかわらず、企業側からみた統計は一段の悪化を示している。 生産への影響が大きい自動車や家電といった耐久消費財の出荷は6月も大幅な低下が続いており、在庫は前年比で2割以上も増えた。商業販売統計でも、卸・小売業の販売総額は前月から減少。輸出の不振も続いており、日銀発表の実質輸出は6月に年初来最も低い水準に落ち込んだ。内需も外需も予想された程には回復していないという状況が浮き彫りとなってきた。 特に懸念されるのが在庫動向だ。4─6月期は、生産指数の落ち込よりも出荷指数の落ち込み幅が大きく、結果的に在庫は前期から4.5%上昇した。エコノミストからは「消費増税後の最終需要の落ち込みが企業の想定以上となっている可能性を示唆している」(ニッセイ基礎研究所の経済調査室長、斉藤太郎氏)、「一部には需要の弱さを受けた在庫の積み上がりが生じている可能性がある。在庫増は先行きの生産活動の下押し要因になり得る」(第一生命経済研究所の主席エコノミスト、新家義貴氏)などといった指摘が出ている。 <正念場の夏の生産、2期連続の大幅減産も> 問題は、今後、需要と生産がどう回復していくかという点で、これが日本経済が増税の影響を乗り越えて行けるかを占う鍵となる。生産が落ち込んだままでは、企業活動も停滞し、企業収益から所得への波及も進まない。 先行きの生産予測指数を確認すると、7月も8月も上昇見通しとなったのは明るい材料だ。しかし、その内容は6月の生産水準が下がったことによる見せかけの上昇とも言える。7月の生産計画の水準自体の回復は鈍く、このところの実績は予測を大きく下回っている。このため、予測指数の実現を前提とした7─9月は前期比1%程度の上昇も危ぶまれている。深刻なのは波及効果の大きい輸送機械工業がこの先も大幅減産が続く見通しであることだ。 民間エコノミストの間では、2四半期連続の生産低下のリスクが高まってきたとの声が少なくない。ニッセイ基礎研究所の斉藤氏は「7月以降も最終需要が企業の想定を下回り、意図せざる在庫がさらに積み上がるようであれば、現時点では比較的堅調な生産計画が下方修正され、生産調整が本格化するリスクが高まる」とみている。 <「景気後退」の議論も浮上> 日銀は7月の月報で、企業へのヒアリングを基に「7─9月については、不確実性はなお大きいが、生産は全体として下げ止まりから持ち直しに向かうとの感触である」との見方を示している。 企業が内外の設備投資の改善を背景に、汎用機械等の生産やスマートフォンの新商品向けの部品の作り込みを本格化させ、電子部品などもしっかりと増加するとみているためだ。 SMBCフレンド証券のチーフマーケットエコノミスト、岩下真理氏は、6月生産統計を受けた日銀の見方について「 輸送機械が想定以上に下振れして在庫が増加しているものの、汎用(はんよう)機械や電子部品・デバイスがしっかりしていれば、持ち直しとの判断を変えないだろう。それは輸出回復の後ずれシナリオと整合的だと、貫き通すとみている」と予想している。 一方、政府も昨年度補正予算で予定していた事業件数の8─9割が契約開始段階に入っており、景気を下支えしようとしている。順調に事業が着工・進ちょくしていけば7─9月にはその効果が出てくるはずだ。 こうしたことから、政府も日銀もそして民間エコノミストも含め、7─9月にかけて景気は回復していくとの見方がコンセンサスとなっており、このところのやや弱めの経済指標などを考慮しても、今のところそのシナリオを崩していない。 ただ、6月生産統計を受け、民間エコノミストの間では先行き警戒感が強まっている。 「仮に、増税による実質所得減を受けて家計が生活防衛意識を強めて行く場合には、回復ペースが予想以上に鈍くなる可能性がある。また、足元で停滞を続けている輸出の持ち直しがさらに遅れるようであれば、7─9月期以降の景気持ち直しシナリオにも黄信号がともる」(第一生命経済研究所の新家氏)との見方も浮上している。 BNPパリバ証券では、世界経済が緩やかながら回復を続けると予想されること、追加財政による下支えがあること、金融部門が深刻なバランスシート問題を抱えていないことなどを理由に、「日本経済がこのまま後退局面に入る可能性は高くない」との判断を示した。同時に、「第3・四半期以降、国内民間需要の停滞から景気が下振れるリスクは高まっているように思われる」との懸念も示している。消費増税後もほとんど聞こえてこなかった「景気後退」の文字が話題として浮上してきたことも、不安の強さを表しているとも言えそうだ。 (中川泉 編集:北松克朗) |