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繊維、造船…“旧”花形産業、何が老舗企業の明暗分けた?加速する脱・主力事業
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140730-00010003-bjournal-bus_all#!bqcl2D
Business Journal 7月30日(水)3時0分配信
繊維産業は明治維新後の日本を飛躍させた花形産業だった。生糸の輸出で貴重な外貨を稼いだ群馬県の富岡製糸場が6月21日、ユネスコの世界文化遺産に登録された。富岡製糸場を運営していた片倉工業は、かつて主力だった蚕糸から撤退し、不動産・商業施設と医薬品の会社に生まれ変わった。
戦前から高度成長期まで繊維産業の象徴的存在だった大日本紡績、現在のユニチカは5月、主力銀行に金融支援を要請した。繊維業界には老舗の名門企業が多い。早くから多角化に取り組んできた企業は脱繊維で収益が安定しているが、ユニチカのようなケースもある。
紡績発祥の企業では日清紡ホールディングスが勝ち組だ。現在では自動車用ブレーキ摩擦材で世界トップになり、タイで商用車用ブレーキの新工場を建設、年内に稼働する。ブレーキ事業が売り上げ全体の30%、繊維は10%。子会社の日本無線は船舶用・防衛関連の無線通信機器の大手だ。
東洋紡は液晶用フィルム、機能性樹脂など繊維以外の売り上げが全体の7割弱を占める。日東紡はガラス繊維を用いた産業資材で高い世界シェアを誇り、スマートフォン(スマホ)や通信インフラ向け需要を取り込み、業績を牽引している。トマト栽培など植物工場も手掛けており、繊維は全体の7%にすぎない。
化学繊維発祥のクラレは水に溶ける合成高分子、ポバールで世界シェアトップで、繊維は売り上げ全体のわずか9%にすぎない。
●繊維事業で強さ際立つ東レ
繊維メーカー各社が脱繊維に急傾斜する中で、繊維で気を吐いているのが東レだ。東レはナイロン、ポリエステル、アクリルの3大繊維への開発投資を続け、繊維事業を縮小してこなかった。永続的な研究開発が実を結んだのが、アクリル繊維を原料とする炭素繊維。比重は鉄の4分の1と軽いのに強度は10倍。鉄より強くアルミより軽く、錆びることも金属疲労もない。そのため、米ボーイングの最新鋭機B787の機体や主翼などに東レの炭素繊維が使われ、炭素繊維は航空機の主要な材料となった。今後、自動車への採用が期待されており、東レは米サウスカロライナ州に炭素繊維の新工場を建設する計画がある。榊原定征会長が経団連会長を務めるなど、東レの存在感が増しつつある。
一方で、ユニチカと同じように苦戦に陥った繊維の名門も少なくない。絹紡績発祥の名門、オーミケンシは賃貸不動産が収益の柱で、今では東証2部に上場している。シキボウも不動産賃貸が収益源で、旧ヒラボウはOak キャピタルに社名変更して投資会社になった。綿紡績発祥のダイワボウホールディングスはダイワボウ情報システムを子会社化し、IT事業主体に転換した。
●再編進む造船業界
繊維産業同様、かつて日本の製造業を支え、古い歴史を持つ産業としては造船事業が挙げられるが、1年ほど前まで、国内造船業界では建造がゼロになる「2014年問題」が叫ばれていた。しかし、円安進行に加え、韓国では対ドルでウォン高が進行するなど中韓勢の苦戦もあり、杞憂に終わった。
造船業界には老舗企業が多い。
戦前の佐世保海軍工廠の流れを継ぐ佐世保重工業が、名村造船所の完全子会社になる。経営が悪化している佐世保重工の救済であり、新日鐵住金が名村造船の7.2%、佐世保重工の9.6%の株式を保有する筆頭株主となるが、新日鐵住金が出資先企業の再編に乗り出したわけだ。
名門造船所は脱造船を進める。三菱重工業は一般商船から撤退し、造船部門の売り上げは全社の8%程度しかない。日立製作所と事業統合したドル箱の大型ガスタービンを含む火力発電設備が、規模・収益ともに拡大中だ。
「造船王国ニッポン」を担った造船業界は、三菱重工業、石川島播磨重工業、川崎重工業、三井造船、日立造船、住友重機械工業、日本鋼管が大手7社といわれた。
02年に石川島播磨と住友重機の造船部門が統合してアイ・エイチ・アイ(IHI)・マリンユナイテッドが発足し、IHI(旧石川島播磨)の子会社になった。同年、日本鋼管(NKK)と日立造船の合弁でスタートしたユニバーサル造船はJFEホールディングス(川崎製鉄とNKKの合併会社)の子会社となった。そして13年には、IHIマリンとユニバーサル造船が合併してジャパンマリンユナイテッドが誕生。造船を切り離したJFEは高炉会社となる。IHIは自動車用ターボで世界大手で、住友重機は変速機で世界2位、日立造船はゴミ焼却発電装置が経営の柱になるなど、大手造船各社は「脱造船」を加速させている。
13年には川重と三井造船の合併交渉が進められたが、川重の役員の大半が、この合併に反対。合併推進派の社長を解任する事態になり、合併話は立ち消えとなった。
三井造船は売り上げの56%を船舶が占めている。川重は鉄道車両や小型ガスタービンに強みがあり、船舶は6%程度しかない。川重が三井造船との合併で、将来性が見込めないとみる造船の比重が高まることを嫌ったのが、破談になった理由だ。
建造量では今治造船が国内トップ。かつての大手7社の中で本格的に造船事業を手掛けているのは三井造船だけとなった。浮体式の原油生産貯蔵設備を建造する子会社、三井海洋開発をM&A(合併・買収)で狙っている会社は多い。そのため業界内では、三井海洋開発の株式を50.1%握っている三井造船がM&Aされる可能性もあるといわれている。
編集部
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