http://www.asyura2.com/14/hasan89/msg/413.html
Tweet |
中国の期限切れ鶏肉使用事件、高い品質管理下でなぜ発生?防止策における3つのポイント
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140726-00010002-bjournal-bus_all#!bmsfmr
Business Journal 7月26日(土)3時0分配信
7月22日、日本マクドナルドは一部店舗で「チキンマックナゲット」の販売を休止し(23日に再開)、ファミリーマートも今月から発売されていた鶏肉加工2商品を停止しました。仕入れ先である中国食肉加工会社、上海福喜食品が使用期限切れの鶏肉やカビの生えた牛肉を使用していたことが発覚したためですが、今回の事件は非常に重要なことを示しています。
そもそもこの上海福喜食品は大手米国食肉企業の関連会社であり、当然、食品の製造工程における品質管理システム、いわゆるHACCPに対応した高衛生な大規模施設であることからも、高い水準の品質管理が行われてきたといえます。しかし、そうした工場でさえこのような状況が発生するところに、食品の安全性を担保する上での大きな課題が存在します。
通常、加工食品を生産委託する場合、その商品スペックを細かく設定しますし、それがきちんと守られているかどうか査察に入りますので、「まっとうに」ビジネスを行っている以上はこのような事態は発生しません。先進国の常識としては、こういった証憑と査察が条件になっていれば、ビジネスに間違いが発生する可能性はかなり低いので、「十分に管理されている」と認識されるでしょう。だからこそ、上海福喜食品はこれまで幅広く商品を納品してこられたわけであり、管理レベルに問題点を探しても、容易に改善できるような状況ではない、より問題の根が深いことを認識する必要があります。
以前、食品への農薬混入事件が中国でも日本国内でも発生しましたが、基本的に根は同じで、関係者の一部にコンプライアンスレベルが極端に低い状況が存在するということです。社会の熟度によってコンプライアンスレベルは向上・均一化される傾向にありますが、高いレベルと低いレベルが混在している状況では、どこかに穴が開いてしまいます。
今回の事件では意図的に「廃棄すべき原料を使った」という、納入業者か納入担当のどこかで不正が行われたということになるので、その担当者のコンプライアンスレベルが著しく低かったことに起因します。しかし、ビジネスは多くの人間で行うため、すべての人間のレベルが均一に高い状態を、そもそも社会がそういう状況ではないところで実現するのは極めて難しいのです。
●健康被害発生の可能性は低い?
ただ今回の事件では、例えばマクドナルドのチキンマックナゲットを食べた場合の食中毒リスクは限りなくゼロに近いと考えられます。なぜなら、加熱調理以降の衛生管理のレベルは高いということと、食肉加工品には常温で放置される時間が長いと想定されるため適切に保存料が使われており、衛生管理上の3条件のうち「菌を増やさない」「菌を殺す」の2つは成立するからです。それゆえ最終的には健康被害をもたらすような事態にはならないと考えられます。
しかし問題はこの点ではなく、産地偽装と同様に、社員が故意に不正な利益を得るために、やってはいけない違法行為を当たり前のようにやったことが問題なのであり、そういった違法行為を排除するのは容易ではないということが再発防止において大きな障害になります。事実、日本国内でさえ、産地偽装、商品偽装、消費期限の改ざんなどが事件となっており、日本ほど社会的コンプライアンスレベルが高くない地域や国で、「信頼」というはかない部分を担保にせざるを得なかったことは無視できません。そしてその「信頼」は簡単に裏切られたわけです。
●再発防止で重要なポイント
もちろんこうした問題を完全にゼロにすることは不可能ですが、回避する方法としては、IT(情報技術)によって原料の履歴から完全に管理するという方法があります。養殖の魚であるなら生簀レベルから、鶏なら養鶏場のロットレベルから群管理するということになります。また、情報が自社の外部に保存されるクラウド管理なら常に外部の目にさらされますので、不正は容易にはできないでしょうし、それを売りにして商談を拡大できる可能性もあります。しかし、そうした対策による生産コスト上昇分は、最終的に消費者が価格上昇というかたちで負担する結果となります。
今回のような事件の再発防止で重要なことは、次の3点です。
(1)一企業の管理レベルだけではコントロールできないリスクがあり、それゆえ事件を起こした企業批判では解決できない
(2)そのようなリスクは社会的な成熟度の向上によって減少する、つまり時間がかかる
(3)リスクを回避する方法としてはITを使った方法があるが、当然その分のコスト負担が消費者に発生する、つまり安心は無料ではない
この3点を現地の加工企業だけでなく、商品を購入する企業側がよく理解した上で、トカゲの尻尾切りにならない根本解決、つまり調達加工流通の仕組みとその管理方法の根本改革を行う必要があるのではないでしょうか。その具体的方法を示すことを、この上海福喜食品だけではなく、最終商品を提供している企業にも期待したいところです。
有路昌彦/近畿大学農学部准教授
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。