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サントリー、新浪新社長に不安?グローバル化の力量不足、キリンとの統合話が再燃かhttp://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140724-00010005-bjournal-bus_all
Business Journal 7月24日(木)3時0分配信
2大経済誌で、サントリーの特集が相次ぎ組まれている。
「週刊東洋経済」(東洋経済新報社/7月12日号)は『サントリー創業116年目の決断 名門はプロ社長に頼った』、「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド社/7月19日号)は『“やってみなはれ”世界へ 佐治サントリーの25年 凄みと死角』という特集だ。
「東洋経済」は「創業116年目を数えるサントリーが下した決断は『プロ社長』をトップに招くことだった。衝撃人事は名門企業に何をもたらすのか」と、サントリーの社長交代に焦点を当てている。
7月1日に行われた、サントリーホールディングスの社長交代の記者会見。同社の佐治信忠会長兼社長が下した決断は、創業家以外から迎える5代目社長として、外部のプロ社長をトップに招くこと。そして、それはつい最近までコンビニ業界第2位のローソン社長として辣腕を振るってきた新浪剛史氏だった。
●実績抜群な佐治家
「ダイヤモンド」によれば、これはサントリー内部でも衝撃の人事だったという。
「有力視されてきた創業家出身の鳥井信宏・サントリー食品インターナショナル社長に後を継がせるには『時期尚早』として外部からの抜てきとなった。だが、信宏氏が成長を果たすまで、とも佐治社長は言及しており、最大で10年程度のリリーフになる公算は大きい」
「ダイヤモンド」同号巻頭の信忠氏インタビューでは、信宏氏に足りないものとして「成功体験だね。彼は経営で実績をまだ出していない。これという実績を社内外に示す必要がある。例えば国内で日本コカ・コーラを抜くとか、買収したオランジーナ、ライビーナ、ベトナムなどで実績を示すとか。そうすることで新浪さんにも社内にも、そして社会にも認められるはずだ」と語っている。創業家という身内にもかかわらず、厳しい。
なお、サントリーの初代社長・鳥井信治郎氏は「赤玉ポートワインで築いた財産ほぼ全てを投じて日本初のウイスキー蒸留所を建設。その優れたブレンダーとしての才能は『大阪の鼻』として知られた」。
信治郎氏の長男は鳥井吉太郎氏だが早世し、佐治家を継いでいた次男の佐治敬三氏が2代目社長となり「『トリス』『山崎』『白州』などの中核商品を生み、ビール事業にも参入した中興の祖」となる。その敬三氏の長男が4代目で現社長の信忠氏であり、国際化、多角化に先鞭をつけ、サントリーを世界企業にまで押し上げた。
一方、「成功体験が足りない」と評された信宏氏は、吉太郎氏の孫に当たる。なお、吉太郎氏の子は3代目社長の信一郎氏だが、任期は11年と短かった。
実績は、鳥井家よりも佐治家のほうが安定しているが、「佐治信忠現社長には子供が居ない。さらに(創業者の三男・鳥井道夫氏の息子である)鳥井信吾サントリーホールディングス副社長の子供はサントリー社内に居ない」(「ダイヤモンド」より)ため、この先考えられるのは、信宏氏の子供へ創業家のバトンをつないでいくこととなる。
●キリンとの経営統合構想再燃の可能性も
東洋経済は今回の社長交代を、サントリー内部だけではなく、サントリーの取引先さえも刺激しかねない衝撃人事だという。それは、ローソンからの引き抜きは流通業界からは「ローソンとサントリーの一体化」と受け止める向きがあるからだ。飲料業界では圧倒的な販売量を誇るコンビニ最大手・セブン-イレブンがどう出るかに注目が集まっている。
さらに、同誌では新浪氏のサントリー社長就任について、興味深い見方を紹介している。それは、2010年に断念したキリンとの経営統合構想が再燃するのではないかというのだ。
「信忠氏は日本の食品業界の利益率の低さを憂いていた。過当競争を脱し、再編が進む海外の食品大手と渡り合える体制を作る。キリンとはそんな思惑が重なっていた。交渉当初、『これまでのキリンともサントリーとも全く違う会社を作る』と信忠氏は意気込んでいたが、統合比率問題が最後まで解決しなかった。
キリンが示した統合比率はキリン1に対してサントリー0.5。サントリーの企業価値をキリンの半分と評価した。対等にこだわるサントリーもキリンに歩み寄りを見せたが、サントリー創業家が新会社の経営に口出しできる体制を避けたいとの思惑は変わらない。10年2月には統合を断念することになる」(「東洋経済」より)
ローソンの社長として有名な新浪氏だが、もともとは三菱商事出身だ。つまり、ダイエーから三菱商事に委ねられたローソンの経営を任されたのが新浪氏だったというわけだ。
「三菱商事首脳陣からも『ローソン成長の功労者』という評価を受ける新浪氏、同じ三菱グループのキリンとサントリーの橋渡し役になりうるのではないか。流通や食品業界ではそんなうわさがくすぶる」(「東洋経済」より)
というのも、信忠氏は世界第5位のスピリッツメーカー、米ビーム社を総額1兆6000億円で買収するなど、グローバル化を目指してきており、その方向を引き継ぐための新浪氏の社長就任とされているのだが、国内的な実績(11期連続の営業増益。13年度の営業利益は681億円と就任当時のおよそ2倍に押し上げた)はともかく、ローソンの海外事業はむしろ他社よりも遅れているからだ。
「ローソンが力を入れる中国事業はまだ赤字を脱却できないでいる」「並みの経営者以上であることは疑いようがない。だが、売上高2兆円規模を誇り、グローバル化を本格化させる巨大食品グループを率いる力量を持っている人物なのかどうか。そこは判断が分かれるだろう」(「東洋経済」より)。つまりグローバル化への力量はあまりにも未知数なのだ。
●ローソンに残る不安
一方、社長が引き抜かれた側のローソンも不安が漂う。不安のもとは今年3月、社長に就任したばかりの玉塚元一氏。玉塚氏といえば、「ユニクロ時代、柳井正会長(当時)のお眼鏡にかない、社長に引き上げられたが、結局力を発揮しきれず退任。そんな経緯から、玉塚氏には『手腕は未知数』(ローソンOB)との評価がつきまとう」(「東洋経済」より)。
玉塚氏がローソン社長に就任できたのも、代表権のある副社長に三菱商事出身の竹増貞信氏の就任を認めたためだという。結果が残せなければ、三菱商事人脈で経営を行うことになる。
こうした裏側を見ると、もし、信忠氏がサントリーではなくローソンの経営者だったら、信宏氏に言ったように、玉塚氏にも「成功体験」が足りないとして、社長就任は許さなかったのではないか。
最近、話題に上るようになった「プロ社長」だが、後継の社長の発掘・教育についてはほとんど無関心なのが特徴なのかもしれない。後継社長を育てるというのは「プロ社長」の役割ではないということか。
なお、今回、新浪氏のグローバルな経営手腕について疑問を投げかけたのは、「東洋経済」だが、ライバルの「ダイヤモンド」は新浪氏を連載陣に抱えているためか、十分に配慮した特集になっていた。
松井克明/CFP
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