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政府、国策として日経平均株価2倍を目標に?新成長戦略で迎える株式市場の大転換
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140723-00010004-bjournal-bus_all#!bj1vEa
Business Journal 7月23日(水)3時0分配信
6月下旬に閣議決定された新成長戦略は、国内株式市場にとって長期的な観点から非常に意義のあるものだ。大袈裟かもしれないが、あとで振り返ったときに、この成長戦略の策定が株式市場の大きな転換点となったと語られる日が来るだろう。未来への挑戦と副題がつけられた「日本再興戦略 改訂 2014」は、「日本の『稼ぐ力』を取り戻すこと」を鍵となる施策として真っ先に掲げている。以下は、その部分の抜粋である。
「日本企業の『稼ぐ力』、すなわち中長期的な収益性・生産性を高め、その果実を広く国民(家計)に均てんさせるには何が必要か。まずは、コーポレートガバナンスの強化により、経営者のマインドを変革し、グローバル水準のROE【編註:自己資本利益率。企業が株主から預かった資本を使って、どれくらいの利益をあげているかを測る指標。後述参照】の達成等を一つの目安に、グローバル競争に打ち勝つ攻めの経営判断を後押しする仕組みを強化していくことが重要である」
コーポレートガバナンスの強化という観点からの施策が、続々と打ち出されている。社外取締役の選任を促す会社法の改正、公的年金の運用改革の検討、日本版スチュワードシップ・コード(機関投資家に、顧客と投資先企業双方の中長期的利益の観点から責任ある行動をとらせるための原則)の導入などだ。これらはいずれも企業のROE向上に寄与するものである。加えて、ROEの高い企業が組み入れられる新しい株価指標「JPX日経400」を重視する投資家や企業が増えているのも、こうした流れに沿った動きといえる。政府、企業、市場参加者がまさに一体となって、真に魅力ある株式市場に生まれ変わろうとしている。これが大いなる転換点でなくてなんであろうか。
見逃せないのが「グローバル水準のROEの達成等を一つの目安」とすると明言している点である。これは、「株価を上げる」ということを国策とする、と言っているに等しい。これまで日本株のパフォーマンスが振るわなかったのは、一言でいうなら日本企業の稼ぐ力が弱かったから、つまりROEが低かったからである。ROEとは自己資本比率のことで、企業が株主から資本として預かったおカネを使ってどれくらいの利益をあげているかを測る指標だ。米国企業のROEは平均15%であるのに対して、日本は同8%程度と、欧米企業の半分程度である。
●ROEが2倍になると、日経平均も2倍に
ではどうしてROEを上げると株価が上がるのだろう。やや専門的になるが、お付き合いください。
ROEは自己資本利益率で、自己資本(=純資産)に対する利益の比率だから、
・ROE=利益/純資産
という式で算出される。
株価水準の評価尺度を測る代表的な指標が2つある。株価純資産倍率(PBR)と株価収益率(PER)だ。前者は純資産に対する株価を、後者は利益に対する株価を比率(倍)で表す。
・PBR=株価/純資産
・PER=株価/利益
そうするとこの3者の関係は
・PBR=ROE×PER
となる。上記式からわかるように、PERが一定ならばPBRとROEは比例する。だからROEを上げるということはPBRを高くする、すなわち株価の評価尺度を上げることと同義なのである。
具体的にいうと今や日米のPERはともに約15倍で変わらない。ROEが平均15%の米国企業のPBRは同2倍強で、ROEが同8%の日本企業のPBRは同1倍をやっと上回った水準だ。仮に日本企業のROEが米国並みになると、日本のPBRも2倍になる。現在、1万5000円を超えた水準にある日経平均が3万円になるということである。
以上の解説は、「そうなればいいな〜」という願望や希望的観測ではない。このような論理関係にあるのだから100%そうなる。「1+1」が「2」になるのと同じである。PERが一定なら、ROEとPBRは比例する。ROEが2倍になればPBRは2倍になる。「グローバル水準のROEの達成等を一つの目安」と謳った成長戦略の含意は、ここから株価を倍にすると宣言したのと同じことなのである。
広木隆/マネックス証券チーフ・ストラテジスト
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