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一部のマンションではすでにスラム化現象が起きている
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20140720/ecn1407200900002-n1.htm
2014.07.20 本当は教えたくないマンション業界の秘密 榊淳司
最近、私への取材で多いテーマは「マンションのスラム化」、あるいは「マンションが廃虚になる」といったこと。
鉄筋コンクリート製のこの共同住宅が、日本の都市居住者の主要な住まいになってからまだ半世紀ちょっと。近頃では東京や大阪、名古屋などの都市圏で「家を買う」というと、その多くがマンションだ。
マンションというのは、一戸建てに比べて、いろいろ便利なところがある。まず、たいてい24時間ゴミを出せる。一戸建てなら、決まった日の時間、場所にしか出すことができない。
気密性が高いので、エアコンがよく効く。戸締りは玄関のドアとバルコニー側のサッシだけ。不在時に宅配便が届いても宅配ロッカーが受け取ったり、タクシーを手配するコンシェルジュがいたり。都心のマンションなら、ホテルのようなサービスを享受できるところもある。
しかし、そのような便利さにはすべてコストがかかっている。それは「管理費」という名目で各区分所有者から徴収される。常にマンションを十全な状態に保つために「修繕積立金」というランニングコストもかかる。
マンションというのは、区分所有者全員が管理費や修繕積立金をキチンと払うという前提で成り立っている共同住宅だ。中には滞納する人もいるが、それは絶対的な少数派でなければならない。
もし、区分所有者の2割が管理費や修繕積立金を支払わなければ、管理サービスは著しく行き届かない状態になるだろう。3割が支払わなければ、そのマンションは通常の管理が行われないはずだ。
日本全国には600万戸のマンションがあるとされている。地方や都市圏の遠隔郊外の中には、すでに資産価値がなきに等しい物件がある。そういったところの所有者は、共同体の一員として応分のコストである管理費や修繕積立金の支払いに意欲を失っても不思議はない。また、経済的な状況が負担に堪えられなくなることも多いだろう。
区分所有者が管理費や修繕積立金を支払うこの前提が崩れたときに、スラム化の危機がやってくる。
すでに築年数が20年以上のリゾートマンションでは「管理費・修繕積立金を払ってくれるなら」ということで、10万円程度で新たな区分所有者を募集しているところがある。
マンションのスラム化、廃虚化はこれからの時代の大きな社会問題となるはずだ。それを整理する法整備が急がれるが、まだ目立った動きはない。
■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。1962年、京都府出身。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上携わる。不動産会社の注意情報や物件の価格評価の分析に定評がある(www.sakakiatsushi.com)。著書に「年収200万円からのマイホーム戦略」(WAVE出版)など。
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