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人手も設備も足りない日本の“豊作貧乏“ 主要10分野で人手不足の現場を徹底取材
http://toyokeizai.net/articles/-/43055
2014年07月21日 西村 豪太 :週刊東洋経済記者
都内・桜新町の「すき家」店舗。長らく休業していたが、7月に入って営業を再開。だが、まだ24時間営業はできていない(撮影:梅谷秀司)
人手不足が、日本企業の経営を根底から変えつつある。
ゼンショーホールディングスが展開する牛丼チェーン「すき家」では2月以降に人手不足から一時休業に追い込まれる店舗が相次ぎ、全店の1割に当たる200店が一時休業を余儀なくされた。その後に同社は、時給を最大で1500円に上げるなどしてアルバイトを急募。現在では一時休業店舗は70店前後に減った。だが、早朝や深夜のアルバイトが集まらず、営業時間短縮をしている店も少なくない。
学生が卒業する3月は、アルバイトの需給が厳しい時期だ。居酒屋チェーン「和民」を展開するワタミでは、通常は1.8万人ほどいるアルバイトが今年3月には1.25万人まで減少。ワタミは同月に全店舗の1割にあたる60店を閉鎖すると発表した。アルバイト不足に伴う過剰労働を解消するのが狙いだ。アルバイトの時給を見直した結果、5月に入ると4000人強のアルバイトを確保できた。ワタミの桑原豊社長は「企業の求人が増えたことで、アルバイトを探す人も仕事を選ぶのに時間をかけたのだろう」と分析する。
■首都圏のアルバイト時給は1000円台
この2社のアルバイト不足については、ネットで労働環境が劣悪な「ブラック企業」だという批判を浴びたことの影響が大きいとみられる。そういう意味では極端な例だが、ほとんどの外食大手も人手不足対策でアルバイトの時給を引き上げており、首都圏の時給は1000円の大台に迫っている。
求人情報サイト「バイトル」を運営するディップの渡辺永二・執行役員は「これ以上上げると、店舗運営が難しいところまできている」と語る。スーパーなどでも、人手不足によって出店を見直す必要に迫られている企業が出ている。これらの事例が示すのは、企業が必要なときに、必要なだけの労働力を簡単に調達できる時代は終わりつつあるということだ。
建設でも人手不足は慢性化している(写真は豊洲新市場、撮影:尾形文繁)
そもそも「ブラック企業」という言葉を生み出したのはシステムエンジニア(SE)の世界だが、ここでも「ホワイト化」が進行中だ。ITを駆使して生産性を高めることは金融、製造など業界を問わず必須のテーマとなり、システム開発の需要は右肩上がり。特に金融業界ではリーマンショック以降控えていたIT投資を再開する企業が増え、2000億〜3000億円程度の大規模案件が多数進行中だ。これを受け、人材獲得合戦が熾烈化している。システム開発大手は人材獲得のため、残業時間の削減や朝型へのシフトなど勤怠管理を徹底する方向にある。
こうした状況を反映して、5月の有効求人倍率は1.09倍と、1992年以来の高さとなった。だが、正社員の有効求人倍率はまだ0.67倍に過ぎず、固定費負担の増加を嫌う企業が、非正規雇用で何とか目先の繁忙期を乗り切ろうとしていることがうかがえる。
■設備の経過年数も15年超
日本経済全体を見渡すと、足りないのは人材だけではない。日本の設備の平均経過年数は15年を超えており、老朽化による生産性低下が顕著だ。デフレ下で投資を怠ったつけが、人手不足による供給力の減衰に追い打ちをかける。
足元では、円安や消費増税の影響を受けた物価上昇に、賃金の伸びが追いついておらず、実質賃金は5月まで11カ月連続でマイナスだ。いわば、日本経済は仕事は増えているものの、豊かさを実感できない“豊作貧乏“の状況にある。この状況を打破するためには、人、設備の生産性を引き上げることが必要である。日本企業には、デフレ時代のビジネスモデルを抜本的に見直すことが求められている。
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