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http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20140719/dms1407191000002-n1.htm
2014.07.19 「日本」の解き方
ある経済誌のコラムを読んでいたら、思わずのけぞってしまった。国際決済銀行(BIS)の年次報告書の中で、「良いデフレ」や「無害なデフレ」のときにインフレ目標を達成しようと金融緩和策を行うと、危険なバブルを発生させる−といった記述があるというのだ。そして、BISは日銀の金融緩和のやり過ぎも心配しているようだとも書いている。
さっそく同報告書をみると、たしかに、デフレ下でも、実質経済成長をしている場合や、ほんの一時的な物価下落で取るに足りない場合もある、と書かれている。
デフレの大きな弊害は、賃金などに下方硬直性(下落しにくい性質)があるために、実質賃金が割高になって、失業が発生することだ。
ただ、第2次世界大戦前には、組合運動もそれほど盛んでなかったため、賃金の下方硬直性もあまりなかった。現在ほど失業問題が重要視されていなかったこともあってデフレでも実質経済成長した期間は多い。
そのため、戦前にデフレが問題になったことは少なく、同報告書では1930年前後の大恐慌の際のデフレを「例外」と書いていた。
しかし、報告書には続きがある。「戦後の例外」として、1990年代以降の日本が挙げられている。「その期間の累積的な物価下落は4%にもなっていて問題だ」と明記してあるのだが、なぜか不思議なことに、雑誌の記事ではまったく触れられていない。
一般に「良いデフレ論」を唱える人は、旧日銀に近い市場関係者が多い。そういう人は「量的緩和は効かない」とも言い続けてきた。ところが、新体制となった日銀があっさりと量的緩和を大規模に実施し、予想通りの効果を発揮したので、「効かない」と言ってきた人は信用がた落ちの状態だ。市場関係者として日銀の情報を持っているというのが売りだった人も、今や情報を持っていないようだ。
そもそもBISの年次報告書は、今やインターネットで誰でも簡単に読める。それなのに、誰も原文を読まないと思ったわけでもあるまいが、報告書に例外として日本を挙げていることを書かず、読者が誤解するようないい加減な解説をするのはいかがなものだろうか。
本家本元の日銀が大転換してしまったいま、如才のない市場関係者はちゃっかりと宗旨変えをしているが、変われずに取り残された人もいるのだろうか。
先日の本コラムで『徹底検証アベノミクス』(中央経済社)を紹介した際に書いたように、データで明らかになっても変われない学者もいるが、市場関係者が流れに乗れないようでは困ったものだ。
再任された日銀の雨宮正佳理事は「所詮われわれは、サラリーマンですから、(音響・映像メーカー)パイオニアのように、社長がこれからはプラズマでといえば、一生懸命プラズマテレビを作り、もうプラズマはやめだといえば、作るのをやめるだけです」と言ったとされる。もし本当ならこの柔軟性を少しは見習うべき人も多いのではないか。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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