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三菱重工、苦境の造船事業の活路・大型客船、なぜ特損で誤算?海外勢対抗への「高い勉強代」(Business Journal
http://www.asyura2.com/14/hasan89/msg/303.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 7 月 20 日 07:39:25: igsppGRN/E9PQ
 

三菱重工、苦境の造船事業の活路・大型客船、なぜ特損で誤算?海外勢対抗への「高い勉強代」
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140720-00010001-bjournal-bus_all#!bimEP2
Business Journal 7月20日(日)3時0分配信


 三菱重工業(以下、三菱重工)が5月9日に発表した14年3月期連結決算は、売上高が前期比18.9%増の3兆3495億円、営業利益が同26.1%増の2061億円、最終利益が同64.8%増の1604億円となり、営業利益は2期連続の最高益更新となった。好業績に貢献したのは火力発電プラント、化学プラントなどを中心としたエネルギー・環境部門。同部門だけで売上高の37%、営業利益の54%を稼ぎ出した。

 この好業績を株式市場も評価し、決算発表当日の株価は7%上昇した。同社の野島龍彦CFO(最高財務責任者)は「会社が変わってきたと実感している。大宮(英明・取締役会長)改革の成果で事業評価の仕組みなどが現場で機能するようになり、数字が伴ってきた」と、記者会見で決算内容に胸を張った。

 そんな好調な決算内容の中で目を引くのが、641億円も計上された「客船事業関連損失引当金」だ。同社が造船事業分野の生き残り策として取り組んでいる大型豪華客船事業における損失分だが、なぜ巨額損失が発生したのか。

 株式市場では「腰が重すぎて成長できない」と評される三菱重工だが、実際、14年3月期の売上高3兆3495億円は、84年3月期の同3兆3295億円とほとんど変わらない。過去30年間、売上高が実質横ばいだったことを示している。

 この「腰が重すぎる」三菱重工が今、「腰を軽くしよう」ともがいている。その施策は、CFOの野島氏が口にした前述の「大宮改革」と呼ばれる事業構造改革だ。大宮改革とは、社長時代の大宮会長が10年度から開始した改革。限られた資源で企業価値を最大化させる「ポートフォリオ経営」を目指して「戦略的事業評価制度」を導入。全事業を64の「戦略的事業ユニット」に集約して、事業ユニットごとに事業の成長性や投下資本利益率を評価、経営資源の適正分配や事業の縮小・撤退を決める基準にしている。

●大胆な大宮改革

 大宮改革については、次のようなエピソードがある。

 07年当時、副社長だった大宮氏が社内で資材調達の口座数を調べさせたところ、7万口座あったという。当時の社員数は約3万3000人。社員1人当たり2.1口座もある勘定だった。「いくらなんでも、これは異常」と感じた大宮氏は、口座の詳細を再調査させた。すると今度は「実際の口座数は1万口座だった」との報告が上がってきた。

 この大きな違いは資材調達の重複が原因だった。当時の同社では、同じ調達先でも部署ごとに口座を設け、さらに同一部署でも事業所ごとに口座を設けていたからだ。したがって、一括調達できる資材であっても部署ごと、事業所ごとに個別発注していた。大宮氏は「この壮大な無駄を誰も疑問に思わないコスト意識のなさに、唖然とした。これが大宮改革の動機になった」(同社関係者)という。

 こうしたコスト意識向上を目的とする改革進展で腰が軽くなり、「会社が変わってきたと実感している」(野島氏)はずの会社での巨額損失発生だった。このため株式市場関係者の中には「しょせんは自画自賛の改革。コスト意識の低い三菱重工は、やはり成長できない」と揶揄する声も上がっている。

●相次ぐ誤算で損失拡大

 同社が今年3月24日、特損計上を明らかにしたのは、11年11月にクルーズ客船運航世界最大手の米カーニバル社傘下の欧州アイーダ・クルーズ社(以下、クルーズ社)から受注した12万5000総トン・3250人乗りの大型豪華客船1番船と2番船の建造費。推定受注額は2隻合わせて約1000億円。三菱重工独自の「三菱空気潤滑システム」をはじめ、最新の船舶省エネ技術を採用した最新鋭客船でもある。

 特損が発生したのは、受注前の見積もりよりも建造費が膨れ上がり、600億円規模の費用追加が必要になったためだが、なぜ見積もり誤算が生まれたのか。

 まず客室内装や空調をはじめとする仕様確定作業が難航した。「仕様に関してクルーズ社と当社の間で認識に大きな齟齬があった。再確認の結果、クルーズ社の要求は当社想定よりもかなり高級な仕様だったことが判明した」(同社関係者)という。

 しかも、クルーズ社からの指示で資材調達先も変更を余儀なくされ、十分な価格交渉をする時間的な余裕がなく、ほとんど相手の言い値で調達せざるを得なかったという。さらに、仕様変更が続出したことで設計の見直しも相次ぎ、資材費と設計費の双方が雪だるま式に膨れ上がった。

 1番船の建造は、顧客側の要求で建造中に仕様変更を余儀なくされるケースが多く、その分、追加費用が発生するリスクが高い。だが、同社は大型豪華客船の1番船を手掛けた経験がなかったため、仕様変更に対するリスク認識が甘く、リスク対策を盛り込まない契約で受注したため損失を拡大させたといわれている。

 造船業界に詳しい証券アナリストは「見積もり誤算は不可抗力的な点もあるが、やはり根底にコスト意識の希薄さがあったのは否めない」と指摘する。

●中韓勢に引き離される日本の造船業界

 同社が今回の受注を獲得した11年は、造船業界にとって最も苦しい時期だった。日本造船工業会によると、11年の新造船受注量は前年比35%減の768万総トンと急減。世界の新造船受注量に対する日本のシェアは14%から13%に後退した。同時期に韓国はシェアを33%から44%に拡大した。

 韓国勢に水をあけられた日本の造船業界は焦り、各社は懸命に挽回策を模索した。そんな中、三菱重工が活路を見いだしたのが客船事業だった。同社は戦前から「浅間丸」「氷川丸」などの客船を建造する、大型客船の建造実績がある唯一の国内造船会社。前出アナリストは「同社は造船事業の生き残り策として、10年7月に決定した造船所集約を機に、中韓勢が世界中で価格攻勢をかけている汎用貨物船建造から事実上撤退。高い技術力を生かせる大型客船、LNG(液化天然ガス)運搬船、資源探査船など付加価値の高い造船建造に事業方針を転換していた。そして、客船事業を造船の収益柱にしようとしていた」という。

 客船は新興国などの景気動向に左右されて需要が大きく変動する汎用貨物船に比べ、需要が安定しているといわれている。現にクルーズ社も、16年までに8隻の大型豪華客船を追加発注の計画とみられており、クルーズ社の1番船受注を確保すれば、追加受注も期待でき、造船事業の安定化につながる。

 また、汎用貨物船の受注金額は1隻当たり数十億円が相場なのに対して、LNG運搬船は200億円、大型豪華客船は最低でも500億円を下らない。一方、汎用貨物船の部品点数が約25万点に対し、大型豪華客船の部品点数は約1200万点にも上る。

 高度な技術が必要なため、造船業の歴史が浅い中韓勢に大型豪華客船を建造する能力はなく、競争相手は独マイヤー、伊フィンカンチェリなど特定の欧州造船所に限られる。同社としては、競合が少ない市場で、しかも10%以上の高い利益率が得られる大型豪華客船は、戦略的にも魅力的だった。

 この新事業がスタートした矢先の特損発生。なお、1番船は今年5月3日に無事進水済みであり、現在は来年3月の引き渡しに向け、客船の機能を装備するための艤装工事中だ。

 株式市場では「今回の巨額特損により、三菱重工は造船事業戦略の見直しをせざるを得ない」との声が強い。だが、前出アナリストは「641億円は確かに痛い冗費だが、捨て金にはならない。転んでもただでは起きないではないが、これを教訓に『中韓勢が容易に参入できない障壁構築』の学習費と、積極的に捉えるべきだろう」と事態を静観している。

 成長戦略に誤算はつきもの。誤算をいかに迅速に修正し、成長戦略を軌道に乗せられるか。同社の造船事業は今、その力を問われている。

福井晋/フリーライター


 

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コメント
 
01. 2014年7月20日 09:03:12 : 5wapEqTMCM
三菱重工だが、戦前の三菱造船、横浜船渠(よこはませんきょ)時代に客船をつくっていたとは言え、戦後は経済復興の過程で貨物船ばかりつくってきたから、客船のノウハウなんて完全に途絶していたのである。

戦前の客船は、北大西洋航路とか北太平洋航路などの「定期航路」に就航していたが、戦争突入と共に海軍に徴用され、連合軍の潜水艦の魚雷攻撃で次々と沈没。日本郵船に残った1万トン以上の客船は、氷川丸だけになってしまった。

戦後は国際間の旅客需要を航空機に全て奪われ、船そのものに乗ることを楽しむ「クルーズ船」が主流になった。国家の産業や経済に貢献することを使命に取り組んできた重厚長大産業の三菱重工には、クルーズ客船は畑違いな気がする。

日本にはクルーズ文化が育っていないことを示す事象があるので、こちらを説明されていただきます。

1977年から1987年まで10年間に亘ってアメリカABC放送で制作され、世界各国で大ヒットした、クルーズ客船パシフィック・プリンセス号を舞台にしたテレビドラマ、The Love Boat。この、世界的に大ヒットした番組が、日本では全く受けなかった事例があります。実は1970年代末期に、深夜番組で放送したらしいが、人気が出なかったので、夜8時枠に移行できずに放送打ち切りになったそうです。

The Love Boat
http://en.wikipedia.org/wiki/The_Love_Boat

●オープニング・テーマ曲は、ジャック・ジョーンズさんが歌っています。

The Love Boat
http://www.youtube.com/watch?v=m_wFEB4Oxlo

このラブ・ボートですが、日本以外の主要国では大抵放映されているそうです。こちらオーストラリアでは再放送までされています。中華民国台湾でも南朝鮮でも放映されている。このため、知名度が高くて、あちこちの国の人たちと話題にするのに向いています。

この番組が人気出なかった日本で、クルーズ客船を建造するのは無理じゃないかと当方は思っています。


02. 2014年7月20日 14:33:07 : aoFs1L3mPg
金と暇を持て余している年寄りがたくさんいるのにクルーズ文化がなかったとかありえないし。ただ単に営業も経営もダメダメな会社でした。


03. 佐助 2014年7月20日 15:06:35 : YZ1JBFFO77mpI : wpmCg8U5S6
世界恐慌と産業革命に発生する大企業・大財閥の消失と次世代産業の誕生は必然的
彼等財閥は戦争で経済的危機を乗り越えようと幻覚し。大企業は消失していくことになる。

カジュアル期(2000-2020年)は、新しいルールを受け入れ、古いルールを破壊する社会的心理が多数派となる。そこで、新しいカジュアル商品と、新しい技術商品の市場の普及が加速される。そのために、先覚商品市場の打撃は、更に軽減される。

個人が一番関心のある商品に、消費支出を集中させると三度のメシを二度に減らしても購買するので、先覚市場の打撃は軽減される。

乗用車の購買選択決定要因の比率は、テクノロジーが50%、スタイリング50%である。エレクトロニクス商品の購買選択決定要因の比率は、テクノロジーが75%、スタイリング25%である。

新テクノロジーと新スタイリングの商品は、景気後退期でもスーパーバブル期でも、市場の縮小度が軽減され、成長テンポは減速するが市場は拡大する。

1930年代の米国と世界のエレクトロニクス産業が、次々と魅力的な商品を開発し、どの産業よりも、縮小&倒産は軽微だったのは、そのためだ。又、自国の若手デザイナーのカジュアル商品だけを販売した流通企業は、大不況の中で急成長することができた。

今回も慣習期の商品にあぐらをかき、市場拡大のインパクトのある商品を開発できなかった企業は、縮小&倒産は避けられない。90年代の失われた10年を、激烈な輸入と店舗拡大競争によって成長した流通企業と不動産企業は、借金が売上を上回る。そのために、その縮小スピードを、景気の縮小速度より遅延させれば、倒産消滅は避けらない。

米国を襲った30年代の大恐慌が、各産業のトップ企業を入れ替え、次の時代をリードする企業を誕生させ急成長させた理由は、以上のとおりである。1950年代以降の世界的企業の多くは、1930年代をチャンスにして登場した企業なのだ。

本物の長期ブームは、三年間もかけて市場を拡大して認識されるのに対し、ニセ物のファドは、最初の年をピークに突然登場するため、記憶に残る。本物の長期ブームの先覚期(3〜4年間)は、過去の経験を否定されるために認識できない。そのために人類は過ちを繰り返すことになる。

人類は世界の基軸通貨の信用膨張と、各国の通貨の信用膨張は、株や土地や石油や原材料を高騰させながら、世界中にデフレを撒き散らし、国内の生産販売を縮小させる。しかし、海外貿易の拡大は、この危機を隠し、第二次世界的スーパーバブルの迫り来るインジケータの足音を聞こえなくさせる。そして長期不況期では「多機種&異業種の商品を生産&販売する企業は不況に強い」という経験則は破産することになる。

自動車産業とエレクトロニクス産業と建築産業の三大基幹産業が、国内の好不況の景気循環に影響を与えている。これらの基幹産業の売上と利益の25〜75%をしめる主要な商品アイテムが、ミニバブルとミニパニックを発生させる。それが同期すると、景気後退の谷は深くなる。そして、長期の景気上昇期には、山と谷の期間の比率は3対1となるが、長期の景気下降期には、比率は1対3に逆転する。

すべての経済現象は、結果から観察すると、需要と供給の均衡と不均衡で説明できる。だが、ナゼ需要と供給は、均衡と不均衡の景気循環を発生するのだろうか?  アダム・スミスは「神の手」だと解いた。マンガ経済教科書はダーウィンの進化論ばりに「生存競争と淘汰によって需要と供給は自然に均衡されるので、景気は自動的に回復する」と解いた。このような競争と淘汰の常識をもっている大蔵大臣は「貧乏人や中小企業は首をつって死ね(そうすれば淘汰され景気は早く回復する)」と、常々思っているために、ついついホンネの失言をしてしまう。

どんな大企業、どんな国家といえども、人工的・人為的にブームをつくることはできない。だが政治も経済も対立要素と周期により、その反転のタイミングにジャストミートさせれば、ロングランの大ヒットが可能となる。しかし大財閥や大企業は法人税減税で内部留保.そして補助金もらいながら楽することしか考えない。私は定年前に一流の大学・一流の大学院を出た博士や優秀に入社してきた人を1年間,何人も指導してきた,そして若い将来性に期待し開発に努力を重ねて欲しいと希望すると,彼らの75%が,もう二度と勉強や苦しいことは避けたい,あとはらくして楽しく生きていきたいと殆どの人が述べていた。私はこれで日本も三代目では終わると感じた。

そして世界恐慌と産業革命に発生する大きな出来事に,大企業の交代劇があることを感じ取った。まず100%外れることはないだろう,エンジンレスに成功した巨大な企業が出現すること,そして個人と中小企業にチャンスが訪れることに自信を持った。


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