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政府、日銀の経済見通しと叛旗
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52612708.html
2014年07月19日 在野のアナリスト
昨晩、米株はマレーシア機撃墜のショックから立ち直り、下落分をほぼとり戻す勢いでした。昨日も指摘したように、世界経済が減速、もしくは下落トレンド入りしていたとしても、世界で唯一堅調なのが米国であることに変わりありません。ジャブジャブの流動性はそれでも堅調な市場へ、と向かうしかない。好材料をみつけては、運用先を変えていかざるを得ないのです。
世界経済の変調の原因を、イラクの紛争、ガザ侵攻などの中東情勢に求める向きもありますが、個人的な見解としてはECBによる量的緩和ではないか、と見ています。いくらECBが追加緩和を示唆しても、今以上の好材料は出てこない。そこが天井、経済の上向き波動の終焉を意識させた。そこに中国が国内向けには金融緩和策を打つと同時に、海外へと資金移送する道を断ったことから、資金供給の頭打ち感が台頭、不動産市場に変調をきたしていることが原因と考えています。
日本でも重要な経済指標が発表されました。5月毎月勤労統計の確報値で、所定内給与が0.0%増、いわゆる微増です。なぜ重要かは、速報値では0.2%増とされており、それですら実質賃金はマイナスであったものが、確報値ではマイナス幅が拡大した。賃金ベースではデフレ圧力が大きくなった、ということを示すからです。厚労省は、ベアの広がりはあるもののパートタイムなど、低賃金労働も増えているため、と分析していますが、飲食業などの人手不足から、時間給は上昇したのではなかったか? つまり仮にパートタイム労働が増えても、相対的に待遇面、特に時間給が改善しているなら、全体に底上げ傾向となり、所定内給与も上がっていてよいはずなのです。
ここから分かるのは、人材不足は起きていない。実はブラック企業、労働環境が悪い、賃金が低い、といった口コミ情報が広がると、忌避効果が働き、急速にそうした企業が人材不足となって騒ぎだす、全体が人材不足になっているわけではない。情報の伝播、拡散の形が変わったために起きていることであり、全体の賃金を底上げするには力不足、ということになります。
安倍政権は、月例経済報告で「増税の反動も和らぎつつある」として、基調判断を上方修正しています。6月の日銀会合の議事要旨をみても「持ち直しの動き」とされます。しかし6月の百貨店売上高が前年同月比4.6%減、5月の4.2%減から減少幅が拡大しています。前回の反省を生かし、セールの前倒しなど、百貨店も対応する中ですから、悪影響は相当大きいとみて間違いありません。
最近、日経系のメディアで「円安より円高」と、これまでとは180度異なる見解を示し始めました。これは円安にしても輸出に効果なく、逆に円安による内需企業への打撃が大きくなり、円高になった方が良い、ということを暗に示しているのです。安倍政権の円安礼賛姿勢に、こっそり反発し始めた。経済では一家言をつけたい日経が、先んじて安倍ノミクスに叛旗を翻している、ということでもあるのでしょう。最近の日経は、こうした記事が目だってきましたが、一方で原発推進派の読売などは、原発停止で電気料金が2割上昇、などと型通りの報じ方をします。しかし原発停止前と、停止後では2割以上の円安になっているのですから、原発停止の影響は割合からすればゼロです。そもそも電力会社が赤字に陥っている原因として、止まっている原発の維持、管理費がかかっているのであり、それを緩和するための議論で、読売の論調は完全なミスリードともいえる内容です。
世界経済は変調している。そんな中で安倍政権、日銀は依然として見通しを変えていない。このことも経済運営に影を落としている、と言えるのでしょう。ミスリードをくり返してきた挙句、自らの失敗を認めない。これからは経済政策の失敗が、致命的なミス、回復の遅さに直結してくる中で安倍政権、日銀の何とも心許ない対応が続くのであれば、これからも益々こっそり叛旗が増えてくるのでしょう。国民はそれを束ねて真実を予測する、ということになってくるのかもしれませんね。
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