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日本の人手不足の真因
人手不足らしい。というのは、身近では全くそのような気配がないからだ。景気の方も、人手不足になるほど、好調とは思えない。一体何が原因というのだろうか。
一言で言うと、労働者の働きたい場所、働きたい業種、使いたい技術、能力と企業の進出場所、企業の目指す業種とのミスマッチとなろうか。
その原因の多くは、政府の間違った政策が作り出したものだ。
デフレ下で為政者と言われる人達が取った政策は、ほとんどすべてが公共投資であり、低金利政策であり、
各種補助金による生産刺激策であった。
その結果が今の人手不足を招いている。
度重なる公共投資によるインフラの整備などによる労働者の新規需要、何年にもわたる企業への低金利や、補助金による景気刺激策は、企業の新しい試みの事業や、補助金目当ての投資を誘い、その分野で労働不足の多くは生まれている。
しかしながら既存の分野では一向に景気は回復せず日々たそがれているのが現状だ。
私達は、自分の好み、場所で働きたい。政府が仰々しくお膳立てしたところや業種で働きたくない。若い時に取得した技術や熟練で稼ぎたいのだ。
民主党政権の時、特に激しく感じた事だが、俺達は国民に働き先を作ってやっているんだ、という上から目線で、公共投資や、補助金を付けていた。
本来、民間の拡大再生産によって市場が活性化されていくものだ。そのような発展は今現在働いている場所や業種で行われると自然と実入りが良くなり、市場が膨らみ後継者も育っていく。
しかし政府主体の事業による生産量の増大は、余計な必然性に欠けるものが多くなる。しかも既存の働き場所なくなり、違う場所への移動を促される、あるいは違う業種の異なった技術、能力が要求される。
デフレの根本原因は、借金による消費の不足であり、生産量を増やしてもデフレは解消できない。消費不足を補う政策が必要なのだ。
しかしこの20年間にわたる政府の無駄な公共投資や無茶苦茶な低金利による企業への生産刺激策が、労働不足を呼んでいる。しかし既存の働き場ではどんどん仕事がなくなっているのだ。
政府の支出はいやおうなくえこひいきを生む。業種、地域などある種に片寄りがちである。そのためその恩恵を受ける企業は大きな内部留保を保持しているものが多く、既に大問題になっている。
片寄りが少なく、平等に広範囲に支出するには、消費者よりの政策を実施すべきである。それはどの会社にも平等に与えられ、売上の増加という形で企業に資金が注入される。しかし日本の政策は、消費者側にほとんど行われず、生産者側に片寄っているのである。
今でも消費税をアップし幅広く消費者からお金を徴収し、大企業や輸出業者、片寄った国内産業にお金を配っている。その内容は、補助金という名目であり、法人税減税という形であり、住宅ローン減税という名であったり、NISAという名の社債や株式への投資減税であったりする。
介護施設や、その関連分野は大きく伸び、それに要する労働者もたくさん必要になった。そこには莫大な補助金が流されている。また多くの労働者を吸収している。しかし本当に介護の仕事をしたい人だけが働いているのではなく、単に仕事がないためにこの分野で働いている人も多い。
公共投資の場合、
格好の例が東北復興計画であろう。これは災害のため復旧が必要なことであるが、そこへ多くの労働者がまわされて行く。地元で働きたくても、仕事がなく、やむを得ず東北へ出張することになる。
ダンプカー、重機、セメント、などの資材類もどんどん東北へ流れ、その他の地域は、労働者、資材類、資金が枯渇していく。
次は東京オリンピック関係、リニア新幹線、さらにあちこちで無限におこなわれていくインフラ整備に、流れていく。
デフレ下のこれらの公共投資は、投資分の効果があるだけであり、景気の拡大にはなんら貢献せず、投資が終わると同時に、しぼんでしまうものである。
低金利は企業の借り入れに非常に有利になっている。
そのため企業は既存の分野には投資せず、新しい分野に投資をしがちである。既存の分野は枯渇するばかりで先行きが見込めないからである。
小売店の出店競争、アウトレット、や巨大なモールがあちこちに作られ、既存の商業施設としのぎを削っている。人手不足は新規の事業側であり、その事業が果たしてどれほど地元に必要かは問わない。
別段なくても良いものが多い。余計に競争が激しくなり、小売店のつぶしあいになり結局は遠くの不便な所が残っていく。
そして大規模な店が勝ち残るが、多くの中小店が廃業倒産する。結局その地域全体では、廃業や倒産、失業が増え、売上が縮小することになる。大規模店の林立が地域を活性化するのではなく、よりわびしくし、よりデフレ化を促進するのである。
和民の居酒屋チェーンやユニクロの拡販も、同じように既存店の脅威であった。彼らの躍進が、より安い価格を追い求める消費者のニーズに合っていたため、それに応じた従業員の賃金も安くなっていたのである。
さらに政府が主導する経済特別区は、日本の労働者が望んでいるものではなく、既存の労働者にとって脅威となる失業を生み出すものとなるだろう。
消費税を日本全体に掛け、一部の特別区になんらかの補助や減税を行うことは、デフレ下の地デジの助成金などと同じで、それがなくなれば、倒産の危機が訪れるものだ。デフレ下の減税は天と地ほどの違いがあり、不必要なものがのさばることになる。
現在の人手不足の大半は、政府が無理やり作り出しているものであり、民間が作り出したものではない。
民間の需要増が労働不足を作り出しているのではない。明らかに政府の部門が労働不足を作り出しているのである。
デフレ下の公共投資や低金利にょる企業優遇、法人税減税などにより、企業もまた従来の主戦場を離れ、新たな事業体を作ろうとしている。
それが旧来の職場と、新しい職場とせめぎ合いにつながっている。
企業が現在目指している事業体は、よりデフレに特化したもので、価格競争力が強く、低コスト、で、よりデフレを促進して行く。
このような事業に労働力をつぎ込むほど、日本全体の活性化が失われ枯渇していくのである。
まして特別区や労働不足の産業に低所得国の労働者を増やしたなら、ますます日本は衰退していくであろう。デフレ下では労働力の増加が国の活性化につながらないのである。
日本の労働不足は、デフレ解消の失敗からきており、
それを補うために、他国の労働者を使ったり、既存の労働者を移転させ、雇用したりすればするほど、衰退していく。
今の政策担当者が以前の間違った教科書どおり、労働者の増加が所得を増やし国を活性化するというのは、デフレ下では全く通用しない机上の空論なのである。
まずは消費の活性化のため、ガソリン価格を下げる段取りから始めることだ。これになんら対策を立てない所に、為政者がデフレの何たるかを知らないことが分かる。
一言主
http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou
http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi/
参照
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