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O2O市場規模推移(「野村総研ITナビゲーター2013年度版」より)
小売り激変、O2O市場50兆円の衝撃 店舗革命、原宿・竹下通り復活の起爆剤に
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140717-00010005-bjournal-bus_all
Business Journal 7月17日(木)3時0分配信
今回は、マーケティング手法として注目を浴びている「O2Oビジネス」について、企業事例をみて、今後の展望を探りたい。
O2Oとは、Online(オンライン) to Offline(オフライン)のことを指す。ある企業や店舗のインターネット上での活動(Online)が、実際の店舗での購入や集客(Offline)に影響を及ぼすという考え方だ。冒頭の図を見ていただくとわかる通り、O2O市場規模は2017年には11年の2倍の50.6兆円になると予測されている。
14年4月に米Deloitte Digitalが、13年11月に米国内で実施した調査の結果を「The New Digital Divide」と題したレポートにまとめている。この中で「13年、米国内における実店舗による売り上げの36%は、デジタルの影響を受けたものである」という報告がある。金額にすると、約1.1兆ドル(約110兆円)に相当する。さらに12年は実店舗の売り上げの14%がデジタルの影響を受けており、金額は約3400億円だったともいわれている。
このように、O2O市場は消費活動において、あらゆるシーンで多大な影響力を持っており、もはや無視できない存在となっているといえよう。
●オンラインとオフラインを結ぶアプリ・WEAR
人気ファッション通販サイト・ZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイが提供するスマートフォン向けアプリ・WEARは、13年10月末にサービスが始まったが、5カ月で200万ダウンロードを達成している。
このアプリの使い方は色々とある。簡単に仕組みを説明するとこうだ。
コーディネートを見ることに特化したアプリになっているため、ショップ店員や、芸能人、モデル、一般ユーザーのコーディネートを、雑誌を眺めるような感覚で見ることが可能になっている。「身長」等の切り口もあるため、自分の体型に似た好みのユーザーをフォローすることもできる。
現在1日1万件以上投稿されており、コメント欄でのコミュニケーションや、TwitterやFacebookなど外部SNSとの連携も活発なため、「花柄」「古着MIX」「黒縁メガネ」などのアイテム別、または「入学式」「お花見」などのシーン別にタグを付け、コーディネートを友人と共有できる。また、気になったコーディネートやアイテムは保存して、いつでも見ることが可能になっている。洋服を選ぶ際に、自分の手持ちの服とのバランスや、コーディネートで悩むことが多いというユーザーの悩みを反映させたアプリとなっている。
アプリで表示される商品は、ZOZOTOWNやメーカーの専用サイトにリンクが張られているため、そのまま購入することもできる。
当初は、店舗(オフライン)で気に入った服やアイテムがあった場合、そのバーコードをアプリで読み込ませると、その服やアイテムを使ったコーディネートパターンが見られるだけではなく、ZOZOTOWN(オンライン)でその商品を購入することも可能という、まさに逆O2Oの仕組みを実装していた。しかし、店舗でスキャンがしにくい等の諸問題もあり、バーコード読み取りサービスは停止されている。ただし、ショップスタッフ向けには同サービスの提供を続けており、商品のサイズやカラー展開、関連コーディネートなどを確認し、接客の幅を広げるために活用されている。
課題はあるが、買い物をする際にインターネットの情報を参考にするユーザーは増加しているため、WEARも洋服を買う際に活用するアプリとして、今後ますます浸透していく可能性は高い。
ほかにも、アパレル業界ではファーストリテイリングが展開するGUが写真投稿アプリ・インスタグラムで専用アカウントをつくるなど、O2Oの取り組みを進めている。
●新ビジネスモデルで竹下通りに賑わい戻る
O2Oの仕組みを使った面白い事例が、東京・原宿の竹下通りにある。竹下通りというと、裏原宿や渋谷に進出してきたファストファッションなどに押され、一時期の賑わいが遠のいていた。しかし、最近は海外からの観光客が増えており、少し元気を取り戻しつつある。そして、ここ1年、ちょっとした変化が起きている。
それは新しい店が次々と生まれていることである。しかも非常に小規模であり、その回転も非常に速い。竹下通りは「腐っても鯛」ではないが、やはり駅から続く目抜き通りであることに違いない。当然、路面店の賃料は高止まりとなっており、資本力がある企業でなければ店を開くことは難しい。それが最近は一風変わった店が見受けられるのである。
その一つは、少々殺風景なアパレルショップで、ハンガーに洋服が整然と並び、靴や帽子、アクセサリーの類いも机や床にディスプレイされている。しかし通常の店にあるものがないことに気付く。まずレジがない。またバックヤード(主に在庫などを置くスペース)がないのである。どういった仕組みになっているかというと、お客は気に入った商品があれば、Square、PayPal、Coiney、楽天スマートペイなどのモバイル決済を使い、モバイル上でショッピングするのである。店舗側は送料を負担するが、デッドスペースを活用できることと比較して考えれば、十分にメリットがある。客にとっても、荷物を持たずに街を歩くことができるというメリットがある。
上記のようにデッドスペースを活用することで、ビルのオーナーは大がかりな店舗改装をしなくても、小さな区切りをいわば「貸しスペース」のような感覚で貸し出せる。また、ファッション好きな人がフリーマーケットのように出店することも可能で、最近ではカリスマバイヤーがシークレットで店をゲリラ的に開くこともあるようだ。こういった取り組みが話題を呼び、竹下通りに人がまた戻ってきているのである。
この機会に、「オンラインとオフラインをつないで、どういったサービスができるか?」と頭をひねらせてみてはどうだろうか。
岡田和典/経営コンサルタント・大学院客員教授
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