★阿修羅♪ > 経世済民89 > 231.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
モンゴル、なぜ金融危機前夜に?急激なインフレと通貨下落、広がる国債デフォルト懸念(Business Journal)
http://www.asyura2.com/14/hasan89/msg/231.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 7 月 16 日 06:41:10: igsppGRN/E9PQ
 

図1:モンゴル政府の外貨準備高の推移。「モンゴル経済概況(2014年1月)」(作成:日本貿易振興機構<ジェトロ>/「ジェトロ HP」より)


モンゴル、なぜ金融危機前夜に?急激なインフレと通貨下落、広がる国債デフォルト懸念
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140716-00010004-bjournal-bus_all#!bfCt4Y
Business Journal 7月16日(水)3時0分配信


 2012年11月、モンゴル政府は総額15億ドルの国債(通称:チンギス国債)を発行した。内訳は、5億ドル分が期間5年の利回り4.125%、残りの10億ドル分は期間10年の利回り5.125%である。しかも、国債はドル建てだった。当時、アメリカは量的緩和政策の最中であり、当然政策金利はゼロだった。つまり、ドル建て金融商品の金利はかなり低迷していた。

 このチンギス国債は当時としてはかなりの高金利商品だったため、世界中の投資家が群がり、文字通り飛ぶように売れた。

 しかし、当然そこにはリスクもあった。最大のリスクは、モンゴルが国家破産して期限までに償還できないことである。では、この国債の償還が可能かどうか、以下の事実を総合的に勘案して考えてみよう。

(1)モンゴルは過去22年間で5回経済が破綻し、IMF(国際通貨基金)の救済を受けている。
(2)モンゴルは中国とロシアに挟まれた内陸国である。
(3)チンギス国債の発行総額15億ドルは、発行前年のモンゴルの名目GDPである87.6億ドル(米ドル換算)の約20%に相当する。
(4)当時のイタリアの10年物国債の利回りは約4.75%程度、ザンビアの10年国債の利回りは5.625%だった。
(5)モンゴルの外貨準備は減少している。
(6)モンゴルのインフレ率は2桁台である。
(7)株式市場は10年をピークとして12年時点ですでに30%下落している。
(8)12年の国政選挙で政権交代があり、新政権が突如資源ナショナリズムに舵を切った。その後、世界最大の銅山オユトルゴイの開発が無期限延期となっている。

 チンギス国債の発行から2年が経過した今年、モンゴル株式市場はいまだに低迷しており、インフレの進行もかなり深刻だ。08年のリーマンショック以降、モンゴルの通貨(トグログ)は対ドルで25%も下落したが、現在はその時よりもさらに3割切り下がった水準の中で上下動している。モンゴルの経済学者や評論家は、政府が通貨暴落を容認していることを非難しているが、政府は景気の低迷を恐れて大胆な引き締め政策を採用していない。

 モンゴルではすでに資本取引規制が撤廃されており、投資家は認可された証券会社を通じて国内外に自由に投資することができるが、国民の株式や外貨に対する投資意欲の低さを証券会社は嘆いている。確かに、モンゴルの株式市場は1992年からスタートし、まだ22年の歴史しかない。とはいえ、資源価格高騰を背景とした好調な経済成長に支えられ、モンゴルトップ20株価指数は10年初に6000ポイント程度まで上昇した。11年2月にはさらに急上昇して3万2301ポイントを記録するなど、実に5倍以上の高いパフォーマンスだった。しかし、これは明らかに実力の伴わない数字であり、11年2月にピークをつけた直後から株式指数は急落し、12年半ばには2万ポイント台まで下落した。昨年はさらに値を下げて、現在は1万6000ポイント前後と低迷している。

●低迷する不動産市場

 モンゴルの不動産市場は株価にほぼ連動し、10年から12年ぐらいまでは活況だったが、やはりここ数年は低迷している。国内大手不動産、モンゴリアンプロパティ関係者によれば、最大の問題は通貨の下落である。なぜなら、多くの物件価格はドル表示のため、トグログの暴落によって自動的に値上げになってしまい、顧客が離れていくからだそうだ。さらに、冒頭述べたマクロ環境の変化により、実需という意味では相当低迷しているとのことである。

 現在、モンゴル政府は住宅ローンの政策金利を年率8%固定にする政策を発表し、財政的な援助を行っている。この金利は日本人からするとかなりの高金利だが、モンゴルにおける通常の住宅ローンは月利で1.2〜2%であることに比べると、かなりの低利ローンということになる。しかし、この政策は政府の財政的な負担を増大させ、チンギス国債の償還にマイナスの影響を及ぼすことが懸念されている。

 12〜14年にかけて、状況はむしろ悪化したようにしか見えない。もちろん、背景には国際的な資源価格の低迷があることは間違いない。モンゴル経済はロシア経済と同じく、資源価格が高騰すると投資が増え、投資が増えることによって国内の消費が増え、景気が良くなる。資源価格が低迷する時は、これとは反対のことが起こるわけだ。モンゴルが得意とする石炭や銅の価格はリーマンショック以降一時的に回復したものの、長期的には低迷している。景気が悪ければ税収は増えず、当然国債の償還には赤信号がともる。

 日本の場合、いくら巨額の国債残高があるとはいえ、すべて円建てであり、保有者の9割以上は日本人だ。最悪の場合、円を印刷すれば全額償還することは可能である。これに対してモンゴルのチンギス国債はドル建てであり、モンゴル中央銀行はドルを印刷することはできない。つまり、国債償還のためには、国中のドルをかき集めなければならないのだ。

●激減する外貨準備高

 ところが困ったことに、モンゴル政府のドルの量(外貨準備高)は昨年から激減している(本文冒頭の図1参照)。

 外貨準備高はチンギス国債発行の翌月をピークとして、その後は急減した。すでに、昨年末の段階で20億ドルを大きく割り込んでいる。多くの生活物資を輸入に頼っているモンゴルにおいて、貿易の決済可能期間も重要だ。しかし、昨年初は35週間だった決済可能期間は、1年後には10週間まで短縮してしまった。これは下手をすると、運転資金のショートが起こるかもしれない。

 加えて、14年に入ってからモンゴル中央銀行は外貨準備高の公開をやめたが、「よほど外貨準備が減少しているのではないか」との懸念が広がっても仕方ない。図1のグラフを現在まで表示すれば、外貨準備高は2億ドル程度まで減少している可能性すらあり、チンギス国債の償還はますます遠のいているかもしれない。

●3つの解決策

 以上見てきたように袋小路に陥りつつあるモンゴル経済について、英フィナンシャルタイムズ紙は、以下の3つの解決策を提案している。

(1)オユトルゴイ銅山の開発を再開し、キャッシュを稼ぐ
(2)中国に支援を仰ぐ
(3)世界銀行、アジア開発銀行、韓国、日本など第三者に支援を仰ぐ

(1)は時間がかかりすぎて、キャッシュを得られる頃には国家破産してしまう恐れがある。(2)は中国への依存が高まりすぎるリスクがある。もちろん、モンゴル政府も国民も中国の属国になることは望んでいない。

 となると、俄然(3)の可能性が高まるが、モンゴルには対外債務を対GDP比で40%以内に収めるという法律があり、支援を受けるためには法改正が必要だ。上限を70%に上げる法案は一度国会で否決されており、この解決策も採用するのは容易ではない。

 このままいけば、17年から始まるチンギス国債の償還は、非常に困難になることは間違いないだろう。利払いに窮したり、元本が返せなかったりした場合、いわゆるアルゼンチン型の国家破産に至る可能性もある。

 しかし、アルゼンチンは国家破産したそのたった2年後に、奇跡の復活を遂げた。この復活以降、アルゼンチン経済は強くなった。例えば、リーマンショックの影響も最小限に抑え、高い経済成長率をキープしたことはあまり知られていない。

 01年にアルゼンチンが国家破産した時、実質GDP成長率はマイナス4.41%だった。翌年の02年はさらに悲惨で実質GDP成長率はマイナス10.81%まで低迷したが、03年に8.96%にV字回復すると、その後11年まで概ね8%程度の経済成長が続いた。最近でこそ成長率は4%まで鈍化しているが、03年からの約8年間の経済パフォーマンスは極めて良好だったと言っていいだろう(ただし先月、アルゼンチンは債務減免に応じない一部少数投資家との裁判に敗訴したため、返済資金はあるのに債務の返済が禁じられるという事態、「テクニカル・デフォルト」に陥る可能性がある)。

 モンゴル経済についても、これと同じことが起こるかもしれない。その理由は為替レートの大幅な切り下げなのだが、詳しいメカニズムについては拙書『「日銀貴族」が国を滅ぼす』(光文社新書)などを参照してほしい。

 モンゴルには莫大な天然資源が眠っており、そのほとんどがまだ手つかずのままである。オーストラリアやカナダをモデルとして、少ない人口ながら資源を輸出しつつ経済発展する道も残されている。また、2年後の16年には国政選挙があり、再び政権交代によって政策が大きく転換する可能性もある。

 モンゴルの不動産業界は、オユトルゴイ銅山の操業で多くの外国人がウランバートルを訪れるだろうと見込んでいた。しかし、操業延期となったことで、彼らの需要を見込んでいたコンドミニアムの買い手が付かない状態だ。中国の金持ちも不動産バブル崩壊で元気がない。韓国も景気は低迷しており、まさに中国と共倒れの様相だ。

 そんな中、唯一ウランバートルの不動産に手を出せそうなのは、アベノミクスで好調の日本の投資家だけかもしれない。金融危機で投げ売り状態になれば、理想的な底値買いができる可能性もあり、金融危機でモンゴルトグログが暴落すれば価格そのものも安くなり、相対的にリスクも小さくなってくる。もちろん、極めてリスクが高い投資なので、慎重な判断が必要なことはいうまでもない。

上念司/株式会社「監査と分析」代表取締役


 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
01. 2014年7月16日 08:20:50 : nJF6kGWndY

欲だけは強い愚かな政府=国民がいる国家は、いくら資源があっても破綻する

同じく高金利に釣られた投資家がリスクを無視して投資し財産を失い

よくある珍しくもない話だ


02. 2014年7月16日 12:56:53 : CQ9n15woH2
どこが好調だ。結局日本にカネをたかろうという話ではないか。IMFを通し、根こそぎ毟ればよい。だいたい日本が損した話はよく聞くが、儲かった話は聞かん。そのわりに無限に等しい資金を持って世界を札束で叩きまくってるね。

03. 2014年7月17日 01:44:23 : JG8j2rQxWE
解決策を3つだけに限定しているが、
アイスランドの例(アイスランド無血革命)も、解決策のひとつでは!
また、これから誕生するBRICS開発銀行に鞍替えするのもありかも!

04. 2014年7月17日 03:49:50 : zMUuPpV3Vs
日米両政府はモンゴルの前政府との間で核ゴミ処分の密約を進めていた。両政府はモンゴルの財政危機に乗じて、支援と引き替えにモンゴルを核ゴミ処分場にする計画を蒸し返すことがあろう。

  拍手はせず、拍手一覧を見る

フォローアップ:

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)  recommend
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
  削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告する?」をクリックお願いします。24時間程度で確認し違反が確認できたものは全て削除します。 最新投稿・コメント全文リスト

▲上へ      ★阿修羅♪ > 経世済民89掲示板 次へ  前へ

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧