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WRAPUP 1-日銀が今年度成長率を下方修正、総裁は物価1%割れないと明言
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL4N0PQ2ZE20140715
2014年 07月 15日 19:09 JST
[東京 15日 ロイター] - 日銀は15日の金融政策決定会合で、量的・質的緩和(QQE)の継続を決めるとともに、2016年度までの経済・物価見通しを点検した。消費者物価の上昇率(生鮮食品を除く)の見通しについては、消費増税の影響を除いて2015年度は1.9%とするなど4月の予想を据え置いたが、実質成長率は輸出の回復遅れにより14年度を従来の1.1%から1.0%に小幅下方修正した。会見した黒田東彦総裁は、当面物価が1%台前半で推移するが1%台を割ることはないと明言した。
今回の経済・物価見通しは、4月発表の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を点検したもので、14年度1.3%、16年度2.1%と合わせ、すべて据え置いた。日銀が目標とする2%に向けて、順調に推移しているとの見方を示した。 一方、実質成長率見通しは14年度が1.0%と、4月予想の1.1%から0.1ポイント下方修正した。5月の実質輸出が前月比2.2%下落するなど輸出の回復が遅れているうえ、1─3月が消費税引き上げの駆け込み需要で大きく盛り上がった反動が響くとみているのが理由だ。15年度は1.5%、16年度は1.3%で、4月時点と同じだった。
黒田総裁は会見で輸出について「若干回復が後ずれしている感がある」と認め、要因として「アジア諸国の回復のもたつきや、日本企業の生産拠点の海外移転」を挙げた。同時に、世界経済の成長率に合わせて輸出が回復するとのシナリオを堅持した。
総裁は物価については、「当面1%台の前半で推移し、2014年度後半にかけて物価上昇が再び加速し15年度を中心とする時期に目標の2%に達する」との従来からの見通しを、「変えていないし、変える必要はない」と強調。当面は1%前半で推移していくなかで「月々の変動よりもすう勢を見る必要があるが、1%台を割る可能性はない」と言い切った。
総裁は6月23日都内での講演で「夏場に向けて、前年比プラス幅がいったん1%近傍まで縮小する」と述べたものの、その後再び同じ表現を繰り返しておらず、市場関係者の間では1%割れの有無が話題になっていた。
物価の押し上げ要因としてはイラク情勢を背景にしたガソリン価格上昇、下落要因として携帯電話の通話料金改定が懸念されているが、黒田総裁は「ガソリン価格も、携帯料金の新料金も、物価への影響はそれほど大きなものでない」と指摘。ガソリン価格上昇は「携帯料金と反対側の動き」とし、両者で相殺するとの見方を示した。
足元の成長率見通しを引き下げても物価見通しを維持したうえ、市場では「『すう勢を見る』との発言で、年内の追加緩和はないとの印象」(SMBCフレンド証券・チーフマーケットエコノミスト、岩下真理氏)などと受け止められている。「少なくとも9、10月まで日銀は、無風通過が続きそう」(外為どっとコム総合研究所・調査部長、神田卓也氏)との見方が多いようだ。
(竹本能文)
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