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資金の借り手と貸し手を結ぶ新たな仕組み、ソーシャルレンディングとは?利点とリスク
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140715-00010002-bjournal-bus_all#!be0qMn
Business Journal 7月15日(火)3時0分配信
あなたが何か事業をしていて借り入れをする必要に迫られたら、どういうところに借金をお願いするでしょうか? まずは自分の親兄弟に頼もう、と考える人は多いかもしれません。もしくは、親兄弟には頼めないから、手っ取り早くカードローンなどでこの場をしのごう、と考える人もいるかもしれません。
もちろん、事業における設備投資などの運転資金ならば、まずは銀行借り入れを考えるのが一番多いケースですが、銀行が使えない理由があり、やむを得ず事業者ローンや土地担保ローンを使うケースもあるかもしれません。お金のことになると、なぜか冷静さを失って高金利のとんでもない相手から借りてしまう人もいますので、冷静な判断が必要です。
さて、個人であれ企業であれ、こういう従来型の方法で借り入れる以外には、どのような資金調達の方法があるのでしょうか?
エンジェル、ベンチャーキャピタルから出資を受けるという方法もありますが、今回は省きます。また、すでに事業を運営しているのなら、売掛金を担保にしたり、在庫を担保にして借りるという方法もあります。しかし、銀行と交渉したり、多数の書類や事業計画を作成する必要があり、そう簡単ではありません。
では、例えばインターネット上で申し込みや書類のやりとりができるような、もっと簡単な方法はないでしょうか?
●クラウドファンディング
最近よく「クラウドファンディング」という言葉を耳にします。簡単に要約すると、
インターネットを通じて不特定多数の人々に比較的少額の資金提供を呼びかけ、一定額が集まった時点でプロジェクトが実行されるという仕組みです。「こんな面白いプロジェクトがある」という話が、FacebookやTwitterなどで広まることにより、より多くの賛同者を集めることができます。
アメリカでは「Kickstarter」というサービスが有名です。日本でも、多数のクラウドファンディングサービスが登場しており、「READY FOR」や「CAMPFIRE」といったサービスが人気です。さらに、アート専門、スポーツ専門、ガジェット専門など、特化型のクラウドファンディングサービスも出てきています。
●人気が出ないとダメ?
とはいえ、これらは調達額が一定金額に達しないとプロジェクトが実行されず、「どうしても今、資金を調達しなければ」という状況の時に、調達できない可能性もあります。新規プロジェクトであればよいかもしれませんが、すでに運営されている事業については不安定で使いにくい部分があります。実際、クラウドファンディングの案件の多くは、新規プロジェクトになっています。多くの人の目に留まり、面白がってもらったり、興味を持ってもらうために「新規性」は重要です。
つまり、すでにリアルの世界で有名人か、少なくともネット上での有名人でもない限り、実行金額に達しない可能性が高いのです。
●ソーシャルレンディング
ここで注目したいのが、「ソーシャルレンディング」です。クラウドファンディングとやや似ていますが、プロジェクト成立時にそのプロジェクトの目的であるモノがもらえるとか、サービスを受けられるかたち(購入型クラウドファンディング)ではありません。ソーシャルレンディングは、「お金を借りたい人」と「お金を貸したい人」をネット上で結び付ける仲介型サービスです。
もちろん、知らない人同士のお金の貸し借りですから、ここでは一定の信用を担保するための仕組みが必要です。
そうした仕組みのひとつが、ソーシャルレンディング運営会社が審査し、借り手個人を格付けし、貸し手個人がどの人にいくら、どのくらいの金利で貸し付けを行うかを決定するというものです。もうひとつは、借り手側が借り入れの目的や信用度をアピールし、貸し手側はそれらを判断材料として投資・融資先を決定する方法です。
どんな方法をとったにせよ、お金の貸し借りですから、貸し倒れのリスクはあります。具体的には、返済の遅延や回収不能等が生じた場合、運営会社が督促・回収等の法的手続きを行うことになります。ネットを使うことで、借り手と貸し手のマッチングのコストを下げ、さらに既存の銀行のように多数の行員を抱え、店舗を抱えるようなことをしないで行える仕組みを持つことで、金利を比較的低くしても、貸し手にきちんと利益が残るようにしています。欧米では、2005年にイギリスで「Zopa」、アメリカで06年に「Prosper」、07年には「Lending Club」がスタートしています。日本にも「maneo」「SBIソーシャルレンディング」「AQUSH」「クラウドバンク」などが存在します。
それぞれのサービスは色々な特徴をもち、借り手もさまざまです。例えば「maneo」では、貸し手は借り手が提示する借り入れの目的や事業内容を元に直接選ぶことができ、質問も可能になっています。「AQUSH」では、信用リスクを独自に評価格付けして、投資家は借り手を選ぶのではなく、その格付けと求める金利から投資先(貸付先)が決定します。
借り手も「maneo」は中小企業、「AQUSH」は個人と中小企業(商品によっては、アメリカの法人・個人)、「SBIソーシャルレンディング」はSBI証券に株式を預けている個人という違いもあります。そのほかにも各社不動産担保ローンを手がけてもいます。
●お金の貸し手として
このソーシャルレンディングは、まず投資家、つまりお金の貸し手としての利用方法があります。要は、投資先のひとつとして利用するかたちです。これまでは、小口のお金を貸し付けることは結構、難易度が高かったですが、ソーシャルレンディングの仕組みを利用すれば、1万円程度から始められます。もちろん、そのリターンは利子です。
つまり、多くの人にとっては、株でも、債券でも、銀行預金でも、不動産でもない、新しい投資先のひとつという見方ができます。
●お金の借り手として
では、お金を借り入れる側からしてみると、サービスによってさまざまな特徴がありますので、自分の状況に合ったところを選択する必要があります。そして、当然ですが、借り入れが認められるためには、各サービス運営会社の審査を通らなければなりません。例えば、「AQUSH」では、以下のような借り入れ資格が明示されています。
(1)本人確認が取れること
(2)300万円以上(目安)の年収があること
(3)20歳以上70歳以下
(4)借り入れ過多でないこと
(5)2年以上の信用履歴があること
(6)過去5年以内に債務不履行していないこと
(7)クレジットカードまたはローンの取引実績があること
もちろん、銀行の金利よりは高くなります。消費者金融や市中の不動産担保ローンと比べてどうなるかは、借り手の信用度合いに依存します。
●中小企業の資金調達の将来
14年2月に中小企業庁が「経営者保証に関するガイドライン」を公表しました。これは、銀行貸し付けの弊害であると考えられてきた経営者の借り入れに関する個人保証について、今後の中小企業金融に一定の方向性を示したものです。まだ法制化されていませんが、金融機関はこれに従って対応を迫られることになります。
また、同じタイミングで、これまで緊急避難的に100%あった信用保証制度が段階的に縮小される流れになります。経営者保証ガイドラインにもあるように、世の中の流れとしては、悪しき慣習とも指摘される連帯保証をなくしていこうという方向性です。これまでは、少しくらい危なそうでも銀行は貸しやすいように信用保証制度でフォローしていこう、という仕組みでした。しかし今後は、銀行は経営者の保証も制限され、信用保証制度で最終的な穴埋めもされないため、事業そのものの将来性や、それが可視化された事業計画など、別の要素が重要になってくるでしょう。
こういう社会的な流れの中で、経営者にとっては資金調達方法のバリエーションが増えることは良いことだといえます。選択肢が銀行しかないよりは、自分・自社の状況に合った方法を使える環境はまっとうです。しかし裏を返せば、シビアに事業内容を審査されることになるので、経営者としてはより収益性があり、それが継続的に続くモデルを構築していく必要があるということでもあります。
ネットが生み出した、この普通の人まで活用できるソーシャルレンディングは、投資家(貸し手)の立場から見ても、借り手の立場から見ても選択肢が増えているという点は、頭の片隅に置いておくと役に立つ機会が出てくるかもしれません。ただし、あくまでご利用は計画的に。
藤原実/藤原実税理士事務所所長、内閣府所管公益財団法人生涯学習協議会認定ビジネスモデル・デザイナー(R)
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