01. 2014年7月14日 21:56:23
: nJF6kGWndY
>これで景気回復?と言えるでしょうか?人によるということだろう そもそも景気それ自体には実体はなく、各人(各集団)の思考の中にあるだけだからなw http://jp.reuters.com/articlePrint?articleId=JPKBN0FJ0BM20140714 コラム:世界経済の回復狂わす「3つの不均衡」=カレツキー氏 2014年 07月 14日 15:56 JST アナトール・カレツキー [14日 ロイター] - 世界経済への信頼感が徐々に増している。過去数週間の金融市場の力強さや、企業や政策当局者らの自信に満ちた発言を見れば一目瞭然だ。当コラムは強力な景気回復を予想し続けてきたが、投資家が強気一色に傾いた時には、悲観的なシナリオにも目を向けてみる価値があろう。 多くの著名エコノミストは現在の世界経済の改善について、一時の輝きにすぎないと考えている。世界は今後何十年ではないにしろ、何年間も「長期的停滞」に直面するというのが彼らの主張だ。これはどのくらい真面目に受け止めるべきなのだろうか。 朗報は、国際統計を見ても長期的停滞の証拠は乏しいことだ。2008年以来の世界経済の「ニューノーマル」は、危機前と別世界ではない。国際通貨基金(IMF)のデータによると、危機に先立つ20年間、すなわち1988年から2007年までの世界経済は平均成長率が3.6%だった。IMFが直近で示した2014年成長率見通しも、ちょうど同じ3.6%。ラガルドIMF専務理事は6日、小幅な下方修正を示唆してはいるが。 一見すると、こうした成長率の継続性は2008年以降の全主要国の景気減速と整合性が取れないように見える。IMFの予想では、ことしの先進国の成長率はわずか2.2%。危機前の20年間は平均2.8%だった。新興国の成長率はことし4.8%と、20年間の平均4.9%をわずかに下回っている。 新興国と先進国の経済がそろって減速しているのに、世界経済全体が減速していないのはどういうわけだろう。答えは、成長率が低めの先進国から高めの新興国へと経済活動の重心が移っていることにある。 新興国は今や、世界の経済活動の51%を占めるようになった。1994年は36%だ。これは新興国経済が減速してもなお、かつてないほど世界の成長に寄与していることを意味する。 例えば中国の成長率は現在7%前後と、危機前20年間の平均10%から下がった。しかし国内総生産(GDP)が土台の10兆ドルから7%増えれば、世界需要は7000億ドル押し上げられる。GDPが2兆ドルから年間10%成長した15年前に比べ、3倍以上もの増加幅だ。 悪いニュースに移ろう。世界経済はIMFが予想するように同じペースで回復を続けるか、あるいはわずかに加速する可能性が最も高いが、3つの不均衡ゆえにこれを達成できない恐れもある。社会的、地理的、人口動態的な不均衡だ。これらは今日のグローバル資本主義の構造に深く埋め込まれているように見える。需要を損ない、過剰な貯蓄を生み、世界金融危機の原因であり結果でもある借り入れと貸し出しの蓄積の主因となっている。 最も危険な不均衡は富と所得の配分にある。所得格差は政治、道徳面の論争を呼び起こしたが、マクロ経済への影響はさほど注目されていない。所得の不平等が経済停滞を引き起こすメカニズムはカール・マルクスその他19世紀の著述家らが指摘した。 資本主義の生産拡大能力により生み出された所得のうち、既に裕福で支出よりも貯蓄を増やしそうな人々に流れる分が多過ぎると消費不足の危機はほぼ避けられないというのは、マルクスが資本論で論じたところであり、1930年代に入るとジョン・メイナード・ケインズがより鋭い分析を加えた。こうした危機を避ける唯一の道は、債務の蓄積を通じて裕福な貯蓄者の過剰な所得を貧しい消費者にリサイクルする金融システムの創設である。 地理的不均衡が、低需要の2番目の原因だ。危機前に論議を巻き起こしたのは米国とアジア間の不均衡だった。米国の消費と借り入れが鎮静化する一方、中国と日本が輸出依存型の成長モデルから移行したことで、こうした不均衡はほぼ消滅した。 しかしこの間、ドイツとその他欧州諸国の間で同じくらい厄介な不均衡が持ち上がってきた。ドイツの経常収支黒字はGDPの7%と、危機前の日本や中国よりも大きく、かつしぶとい。しかしドイツは国際舞台で同種の圧力にさらされていない。ドイツは欧州においても政治的支配力ゆえに、米政府がかつて日本と中国に求めたような政策転換要求とは無縁だ。アジアと米国の不均衡は最終的に為替調整によって取り除かれたが、ユーロが存在する欧州ではその道が絶たれている。 3番目の不均衡は人口動態にある。長期的停滞論の信者たちは、ベビーブーム世代の退職に伴う労働供給への下方圧力に注意を喚起してきた。しかし失業率が高く、労働者不足によって経済生産が制約されない局面において、このことは重要ではない。高齢化による影響がより大きく表れるのはマクロ経済的な需要だ。若年層よりも退職者や高齢労働者が有利なように所得と経済機会を移転させる社会保障・労働政策が存在し、問題に拍車をかけている場合にはなおさらである。 2008年以来、世界中の政府は年金や医療保障といった「給付金」を保護し、拡大さえする一方、現役労働者の社会保障費や教育、家族政策、児童支援といった方面の予算を削減してきた。高齢有権者に対するこうした所得再配分は、若者に機会を与えるような雇用柔軟化や雇用創出政策よりも、高齢労働者の雇用保護を優先する政策によってさらに深刻化した。特に欧州において顕著だ。 高齢のベビーブーム世代は既にその子供や孫よりも裕福なのだから、こうした政策不均衡によって富の格差は広がり、若者の債務負担はいやが応でも増え、貯蓄過多が進んで需要にはデフレ的な圧力が加わった。しかし有権者に占める高齢者の比率の高さゆえに、ベビーブーム世代を厚遇する政治は大半の近代民主主義国家に深く根を下ろしている。 現在の景気回復局面が息切れして長期的停滞に転じるとすれば、大半の原因はこれら3つの不均衡に求められるだろう。あいにく所得再配分、地理的不均衡是正、世代間不公平の3つはあまりにも困難な不均衡であるため、どれも長年にわたって残り続けそうだ。 *筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。 *アナトール・カレツキー氏は受賞歴のあるジャーナリスト兼金融エコノミスト。1976年から英エコノミスト誌、英フィナンシャル・タイムズ紙、英タイムズ紙などで執筆した後、ロイターに所属した。2008年の世界金融危機を経たグローバルな資本主義の変革に関する近著「資本主義4.0」は、BBCの「サミュエル・ジョンソン賞」候補となり、中国語、韓国語、ドイツ語、ポルトガル語に翻訳された。世界の投資機関800社に投資分析を提供する香港のグループ、GaveKal Dragonomicsのチーフエコノミストも務める。 |