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公取委が指摘 保育所運営で「社福優遇」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39763
2014年07月13日(日) ドクターZ 週刊現代 :現代ビジネス
保育所の運営について、原則としては運営主体の形態による差別はない。しかし、株式会社の参入が事実上妨げられ、実態として社会福祉法人が優遇されているとして、公正取引委員会が問題を指摘したという。
社会福祉法人については、制度的優遇を受けながらも内部留保をため込んでいるなどの問題点が指摘されている。一方で、保育所の運営について、株式会社で安全性が保たれるかとの意見もある。この「社福優遇」をどう考えればいいのか。
まず社会福祉法人とは何か。そもそも「法人」とは、法的には権利義務の主体たる資格(権利能力)を認められたものである。自然人は当然に権利能力の主体になるが、自然人以外でその主体になるには法人となる必要がある。要するに、社会的に「一人前」であることの証だといえる。
その法人には2種類、各省横断的な「横断法人」と各省縦割りの「縦割法人」がある。株式会社は前者であり、医療法人、学校法人、農業法人、特殊法人、独立行政法人などは後者にあたる。
横断法人の場合、法人格は一般法で与えられるので各省の縄張りはないが、縦割法人は法人格を各省が与えるためその縄張りがはっきりしている。社会福祉法人は後者の縦割法人。保育所や老人ホームを経営するために設立される法人であるため、厚生労働省の縄張りとなる。
縦割法人を守るために、縦割法人を優遇し、横断法人を差別するのは、各省の「掟」である。
農業の分野でも、最近まで株式会社参入はできなかった。ここへきてようやく少しずつ広がっているが、「時既に遅し」の感がある。
教育の分野も同じで、株式会社参入はなかなかできず、最近ぽつぽつと例が出ているが少数。文科省は株式会社を認めたくないようだ。医療では、戦前は株式会社の病院が普通であったが、戦後、株式会社から医療法人への転換が強力な行政指導で行われた。
このように株式会社を嫌うロジックとして、各省官僚は、「営利目的の株式会社では儲け第一主義なので××にはふさわしくない」と異口同音に言う。もちろん、「××」には各省の話をいれるだけ。こんな便利な「理由テンプレート」があるわけだ。
公取委が指摘したのは、自治体の話であるが、各自治体も国の業務の下請けをやっているので、国の各省の意向にはなかなか逆らえないか、これまでの長年の慣行の惰性でやってきたのだろう。
各省の縄張りである縦割法人を優遇してきた名残は、いまだに色濃い。
例えば、株式会社と社会福祉法人では、前者には法人税がかかるが、後者は非営利という形式で基本的に法人税がかからない。また、経営の透明度でいえば、社会福祉法人は株式会社より劣るために、経営を私物化している理事長がいるところも少なくない。
また、公取委の調べでは、補助金を交付する市町村の23%が法人の種類により補助率や交付条件に差をつけているという。その結果、社会福祉法人を株式会社より優遇する事例がほとんどとなっている。
こうした優遇措置の結果、特養ホーム(特別養護老人ホーム)で内部留保が2兆円にものぼったことが指摘されたこともある。
なぜ、社会福祉法人が優遇されているかと言えば、各省の縄張り意識があり、その先には、関係団体への天下りが見え隠れしている。官僚の「性」としか表現しようがない世界が、戦後脈々と作られてきたわけだ。
『週刊現代』2014年7月19日号より
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