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サプリの規制緩和、誰が潰すのか?製薬業界・厚労省・消費者庁が露骨なネガキャンか
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140713-00010002-bjournal-bus_all#!bdCVrz
Business Journal 7月13日(日)3時0分配信
昨年、安倍晋三首相が成長戦略の目玉として掲げた「サプリメントの機能性表示解禁」が、ここにきて暗礁に乗り上げている。消費者庁が「身体の部位」への言及を認めず、しかも表示基準の上限を「特定保健用食品(トクホ)に準じる」と主張し始めたのだ。
機能をうたえるのは医薬品――。薬事法にこのような一文がある以上、消費者庁の対応は一見するともっともではあるが、ここまでわかりやすい「岩盤規制」になってしまう背景には、厚生労働省、ひいては製薬業界からのプレッシャーがある。
「サプリの機能性表示解禁をめぐっては、製薬会社側からかなり強い抗議が厚労省に入っているようです。サプリが機能をうたえたら医薬品ではないか、というクレームはもちろんのこと、サプリ会社が海外の論文を引っ張ってきただけでエビデンスとするというのも、多額の費用をかけて臨床試験をしている製薬会社からすればおもしろくない」(厚労担当記者)
製薬会社がサプリメントを敵視しているのには、もうひとつ複雑な理由がある。それを説明するためには、国内最大手・武田薬品工業が2013年1月10日に発売した高脂血症治療薬「ロトリガ」が適当だ。
ロトリガは市販薬ではなく、医療保険が適用される医療用医薬品。中性脂肪値を下げ、血液をサラサラにするということで、13年度売り上げ実績は52億円、14年度は同120億円と順調に売り上げを伸ばしているが、実はこのロトリガの主成分はイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)という、市場にあふれる健康食品やサプリメントではおなじみの有効成分なのだ。このような「サプリまがいの新薬」が日本の製薬業界には増えてきており、それが製薬会社の中でも高い売り上げを上げているという現実があるのだ。
その背景には、日本ならではの特殊事情が関係している。国立大学病院の教授が語る。
「日本は世界で唯一、政府が薬価を決めるという特殊な国。どんなに画期的な薬を開発しても毎年の薬価改定で引き下げられていくので、製薬会社の開発力は落ちてきており、臨床系論文の数は世界で25番目とかなり低い。こういう状況の中、日本の製薬企業が生き残っていく道は2つしかありません。ひとつは海外の画期的な新薬の安全性が確認された後、似たような薬を開発していく。そしてもうひとつが、効き目は微妙だが副作用リスクの少ないものを医薬品として売っていく」
つまり、製薬会社が力を入れる「サプリまがいの薬」というのは「機能をうたえるサプリ」と真正面から競合してしまうというわけだ。もしほとんど変わらぬ「機能」ならば、安価なサプリに消費者は流れる。
●製薬企業によるネガキャンの歴史
事実、アメリカでもそのような現象が起こった。1994年、大規模な規制緩和をしたことで、米サプリ市場は一気に急成長。その牽引役となったのが、抗うつ作用があるといわれた「セント・ジョンズ・ワート」というハーブサプリメントだ。日本では「西洋弟切草」というほうがなじみ深いかもしれない。もともとは欧州では薬草として使われており、ドイツ国内などでは抗うつ剤として50%以上のシェアもあった。それがアメリカでも「抗うつ作用をうたうサプリ」として爆発的に売れたのだが、その一方で抗うつ作用のある医薬品、つまり抗うつ剤の販売が低迷するという現象が起きてしまったのである。
しかし、ほどなく抗うつ剤の売り上げは回復する。セント・ジョンズ・ワートに医薬品と併用した場合の薬効阻害作用があるという結果が、著名な医学誌「ランセット」に報告され、さらにメディアではその有用性に疑問を呈するネガティブキャンペーンが繰り広げられたのである。
このあまりにもよくできた逆転劇に、さまざまな噂がささやかれた。その代表が、このようなものだ。
「ネガキャンを裏で仕掛けたのが、抗うつ剤『セルトラリン』の売り上げに打撃を受けた大手製薬企業のファイザーだったといわれている。臨床論文や研究成果を使ってタバコや生活習慣などにネガキャンを仕掛けるというのは、アメリカの製薬企業ではわりとよく使われるマーケティングだ」(外資系製薬企業社員)
それはなにも、この時代のアメリカに限った話ではあるまい。つい最近、我が国でも「ランセット」に掲載された臨床試験に、ノバルティスファーマ社の元社員がこっそりとかかわっていたことが発覚。データ操作も明らかになり、バルサルタンの有効性をでっちあげるためにねつ造したのではないかと逮捕されたばかりだ。
●消費者庁、厚労省、医療界が三位一体
実際にすでに裏では製薬企業が、それらしい動きを見せている。例えば、安倍首相が「表示解禁」を掲げてほどなく、厚労省の研究所が以下のような研究結果を発表した。市販されている健康食品の約4割に、体内で薬や毒物の成分を分解、排出する「薬物代謝酵素」の働きを促す作用があり、医薬品の効き目を低下させる。しかも、その中で特にハーブやウコンの成分を含んだダイエット関連商品の薬効低下が顕著だ――。
なぜこのタイミングで厚労省が動くのか。なぜ最近、やたらとサプリや健康食品へのネガキャンが繰り広げられているのか。
「機能性表示については現在、検討会が行われているが、そこへ照準を合わせて、消費者庁、厚労省、医療界が三位一体で露骨なネガキャンを展開している。ある程度、予想はしていましたが、ここまでとは」(サプリメーカー幹部)
アメリカのネガキャンは規制緩和後に始まったが、日本の場合、規制緩和すらも認めず、その芽もつぶしてしまおうということなのだろうか。安倍首相肝いりの規制緩和も、このままでは勇ましいかけ声だけで終わってしまいかねない。
藤田京二
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