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スーパー事業の苦戦が鮮明に。ここからどう挽回するか(撮影:今井康一)
イオン、「本業のスーパーが赤字」の深刻度 第1四半期決算はダイエーの赤字も響いた
http://toyokeizai.net/articles/-/42315
2014年07月10日 石川 正樹 :東洋経済 編集局記者
本業が惨憺たる結果だった。7月4日にイオンが発表した第1四半期(3月〜5月)決算は、本業のGMS(総合スーパー)事業、SM(食品スーパー)事業が、ともに営業赤字に沈んだ。GMSは38億円、SM22億円の営業赤字(前年同期は各35億円、4億円の営業黒字)。GMSは、今期は第1四半期からダイエーが連結対象になった影響(営業赤字39億円)もあるものの、中核子会社イオンリテールも20億円の営業赤字となっている。
赤字転落の要因は、売上高の伸び悩みと販促費の増加だ。イオンリテールは4月初め、PB(プライベート・ブランド)、NB(ナショナル・ブランド)合計2万品目の価格を据え置き、増税後、実質的な値下げを行い、第1四半期の既存店売上高は前年同期比横ばいを維持した。だが、「当初の計画より下回った」(イオンリテールの梅本和典社長)。客単価は3.5%増となったものの、想定外とも言える客数の3.4%減が響いた。同社では「価格を据え置いただけでは、消費者に値下げや安さの意味が伝わらなかった」と分析している。
■イオンが赤字、ヨーカ堂は増益
一方、拡販を狙ったワオンポイントの還元セールの拡大や改装投資を行い、販促費が38億円増加。販管費全体でも78億円増え、営業赤字を余儀なくされた。同業のイトーヨーカ堂が第1四半期に既存店売上高が2.8%の減収になりながら、PB商品拡充による粗利率改善と販管費を前期並みに抑えたことで7.7%の営業増益になったのとは対照的だ。SMの既存店売上高では、マルエツが第1四半期5%増、ヤオコーが4.2%増(単純平均、4〜6月)と軒並みGMS凌いでいる。
イオン経営首脳から出てくるのは「想定よりも消費者の価格志向が強く、消費増税後には、その傾向がより顕著になった。PBやNBの一部のディスカウント、ポイント戦略だけにフォーカスした第1四半期の増税対策は、中途半端な対応となり、お客様に安さのメッセージが伝わらなかった」(イオン・森美樹副社長)、「関東圏の同業他社とイオンリテールの食品の既存店伸び率には大きなかい離がある。増税後、生鮮3品を中心に組み立てたが、他社の店頭やチラシを見ると価格対応が不充分だった」(梅本社長)と反省の弁ばかりだ。
今後の対策として、価格対応を強化する。「購買頻度の高い商品の価格訴求を強化していく」(森副社長)として、7月4日から、競合他店の調査を徹底した上で、個店ごとにNBを中心に100品目の値下げを実施した。期限は設けずに、当面続ける方針だ。また、各店長の価格決定権限も強化する。PB「トップバリュ」のリニューアルや新商品投入など、こうした価格対応強化で客数増を図る方針だ。
さらに「ザ・ビッグ」や「アコレ」などディスカウント業態の出店を加速させる。懸案のダイエーも、食品への特化や、出店エリアも首都圏、京阪神に集中させる方針で、他エリアの店舗や子会社はマックスバリュなどイオングループの同一業種と一体運営を進め、採算の改善を図る。
■利益計画達成には要努力
イオンの岡田元也社長は「(第1四半期の)結果は非常に残念だと思っている。様々な要因が重なってこうなった。的確に手を打ち早期回復を狙っている。ただ昨年から今年前半にかけ、ダイエー子会社化や首都圏SM連合構想の実現など大きな変化があった。これらをグループ全体に最も効果のある形でやり抜くことが重要。必ず成果を出していく」と強気の姿勢を崩さない。
2015年2月期の営業利益計画は2000億〜2100億円。第1四半期実績は224億円で、通期計画の達成には、第2四半期以降、相当な努力を要する。価格対応強化だけで計画達成が可能かどうか、不透明感が拭えない。前期も当初の営業利益計画は2000億円〜2100億円としていた。今年1月に発表した第3四半期決算の時点でもこの計画は変えていなかったが、3月になって大幅な下方修正を公表。最終的に営業利益は1714億円(前期比10%減)で着地した。
期末決算間際の業績修正に市場関係者から不評を買った。だが今期、その轍を踏むことは許されがたい。岡田社長は「イオン全体が大きく次の段階に進める、そういう年にしたい」と語っている。早期の回復を実現し、今期を節目の年とするには、高いハードルが待ち構えている。
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