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ミツカン、巨額海外買収で狙うグローバル企業への脱皮、その成算は?非上場企業の底力
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140710-00010003-bjournal-bus_all#!bbLWRP
Business Journal 7月10日(木)3時0分配信
「味ぽん」でおなじみの調味料大手、ミツカンホールディングス(非上場、愛知県半田市)が、世界的食品大手の英蘭ユニリーバからパスタソース事業を21億5000万ドル(約2150億円)で買収した。買収資金は三菱東京UFJ銀行などメガバンク3行と日本政策投資銀行からの短期借り入れで調達した。手元資金で一部返済したあとで、長期の借り入れに切り替え、7年で無借金の状態になるとしている。
ミツカンの2014年2月期の売上高1642億円、経常利益は212億円。売上高を上回る2000億円超の買収は大きな賭けといえる。買収したのは北米を中心に展開するパスタソースの「ラグー」「ベルトーリ」の2ブランドと、ケンタッキー州とカリフォルニア州にある2工場。ラグーは1937年にニューヨークで創業。約半世紀を経てユニリーバの傘下に入った。米パスタソース市場でのシェアは25%で1位。一方、高価格帯のべルトーリはシェア8%で4位。両ブランド合わせた売上高は6億ドル(600億円)を超える。
紅茶「リプトン」やアイスクリーム「ベン&ジェリーズ」で知られるユニリーバは利益率が高い会社。新興国で需要が伸びているパーソナルケア用品のブランドを重視している。アジアをはじめとする新興国へのシフトを視野に、今年4月、ラグーを含む北米パスタソース事業を見直すと発表していた。
ミツカンの中埜和英会長兼最高経営責任者(CEO)は買収発表会見の席上で、買収の動機をこう語っている。
「北米、欧州の家庭用市場は寡占化が進み、ナンバー1か2でないと生き残りが難しい。10年以上前からナンバー1メーカーをターゲットに買収の準備をしてきた。今回2つのブランドが売り出された際に『獲得のチャンス』と判断し、入札に参加した」
●グローバル企業に脱皮への挑戦
ミツカンは国内にとどまっていては大きな成長は見込めないとして、グローバル展開に踏み出していた。11年にはチリソースメーカーの米ボーダーフーズを、12年には英国の食酢ブランド「サーソンズ」と「デュフレ」、ピクルスブランドの「ヘイワーズ」を相次ぎ買収した。
グローバル展開を加速させるために今年3月、英語表記の持ち株会社Mizkan Holdingsを設立。従来は日本を除く事業を海外事業として一括管理してきたが、「日本とアジア」「北米」「欧州」の3地域に分けて運営し、資金管理なども地域ごとに行う体制に変更した。5月16日には、創業家以外から初の長谷川研治社長を起用した。
今回の買収により、14年2月期に3割強だったミツカンの海外売上高比率は5割を超える見通し。グローバル企業に大変身する。
●非上場企業の底力
創業者一族の中埜会長が年商を大きく上回る買収を決断できたのは、非上場だからだといわれている。ミツカンの創業は江戸時代後期の1804年(文化元年)。尾張国半田村(現在の愛知県半田市)の酒造家から分家した初代中野又左衛門が、江戸で流行の兆しがあったすしを見て「すしには酢が必要だ」と思いつき、酒粕を原料とした酢づくりを始めたという。
歴代トップは創業家の中野家(4代目から中埜姓)から出ており、和英氏は8代目に当たる。中埜家はソニーの起業を支援した同郷の酒造業、盛田家と人的関係があり、草創期のソニーの大株主に名を連ねていたこともある。国内では祖業である酢を中心に「味ぽん」や「追いがつおつゆ」などで知られ、1997年に本格参入した納豆も国内で高いシェアを誇る。
少子化に直面する食品大手はM&A(合併・買収)で海外市場開拓の「時間を買う」戦略を取る。サントリーホールディングスは今年5月、米蒸留酒最大手、ビームを160億ドル(1兆6000億円)で買収した。サントリーはこの買収に同社の年間売上高の6倍に相当する資金を注ぎ込み、「高値づかみ」との指摘も出ていた。
サントリーの酒類部門は、グローバル化で立ち遅れていた。佐治信忠社長は「ビームとの統合が最後の、唯一のチャンス」と位置付け、買収を決断した。
ミツカンとサントリーの巨額買収からは、非上場企業ゆえの強さがうかがえる。
編集部
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